表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

短編大作選

誰が××だよ

ドラッグストアにいる。

迷路ではない。

規則性があるから。

だが、抜けられない怖さのある棚だ。


普通のドラッグストアは、棚にすき間がある。

途中で、他の列に移動できる。

でもここは、その列の棚に行くと、逃げられない。

長く長く途切れない、棚がある。


奥から手前まで、ズラッと棚があるんだ。

店内の端から端まで、ずっとある。

続き高棚恐怖症の僕からしたら、かなりの天敵だ。



そんな僕に、天使が現れた。

天敵がいるなかに、点滴が現れた。

救いの点滴、みたいなものが現れた。

そう言った方が、いいかもしれない。


ダジャレになったのは、たまたまだ。

本当に、点滴だと思ったから。

オアシス的な意味で、本当に点滴だと思ったから。


その点滴というのは、男性客だ。

電話をしながら、買い物をする男性客である。





「ちょっ、ちょっ、ちょっ。だっ、だっ」


やけに、盛り上がっていた。

電話の相手は、当然見えない。

でも、その相手がパーリーピーポーなのは、ハッキリと分かった。


「おいっ。誰が、築75年の古民家の寝室の、天井にある木目みたいな顔だよ!」


笑ってしまった。

相手の言葉が、気になる。


普通に復唱して、突っ込んだだけか。

それとも、ボケ技術のあるツッコミができる人なのか。

気になる。



「ちょいちょい。誰が、一時間にほんの数回、一回の遮断機が開いてる時間もほんの数秒の、都会に近いわけではない、開かずの踏み切りみたいな性格だよ!」


どんなことを言ったら、そう突っ込めるんだ。

何を言ったら、こうなるんだ。

どんなイジリ方を、したのだろう。

それが気になって、仕方ない。


でも、今回はイメージしやすかった。

こんな性格かと、納得できた。

納得できている自分が、怖くなった。

ヤバイ、完全に呑み込まれてる。



「ほーいっ。誰が、流しにカップ焼きそばのお湯を捨てたときに鳴る、ボンッと同じ部類に入る声だよ!」


なんとなく、分かってしまった。

そんな、自分が怖かった。


気付いたら、カゴがお菓子だらけだった。

電話に夢中になりすぎて、お菓子を無意識に、たくさんカゴの中に入れていた。



ちょっ、ちょっ、ちょっ。だっ、だっ、誰が『コンビニエンスストアに生まれて初めて来た、お嬢様セレブの爆買い、みたいな買い方をしている人』だよ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ