中国 大連 初日
8.中国 大連 初日
北海道は真っ白な雪景色になり、そして雪が溶けて春が過ぎ7月初旬富良野はラベンダーが満開になった頃、二人はとうとう1週間の長期休暇を取って中国を目指した。
中国滞在は1週間、まずは上海経由で大連を目指す事にした。
上海便は数多くあるので、そこから乗り換える事にした。
千歳空港から朝イチの便で羽田空港に向かう為、千歳空港の中にあるホテルに泊まる事にした。
千歳空港は流石に北海道の玄関口である為、空港内は活気があり土産に飲食店、映画館や温泉まであった。
田舎者二人の初めての海外旅行であり千歳空港内のホテルで早めに就寝したが、眠ることが出来なかった。
月曜日の朝。
ほとんど寝てないまま、朝一の羽田行きの飛行機に乗り込んだ。
羽田空港の国内線ターミナルに到着してからバスで国際空港に移動、何度も予習しており無事に国際線ターミナルに到着する事が出来た。
羽田空港の国内線は大きかったが、この頃の国際線ターミナルは小さく拡張の工事の真っ最中であった。
現在の羽田空港国際ターミナルはすごく大きくなったが、2010年頃はまだ小さかった。
出国審査を無事通り抜け、上海虹橋空港行きの便に乗った。
ここまでは順調であった。
上海に近づき飛行機の窓から外の景色を眺めて見ると海は茶色で空はどんよりとして来た。
日本の清々しい空と違い、上海の空は色の薄い白黒の風景が広がった。
上海虹橋第一空港は国際空港であるがそれほど大きくなかったが、そこから国内線が大変だった。
虹橋第二ターミナルはタクシーか地下鉄で行かなければならない。
しかも地下鉄の駅乗り場は空港から遠く、表札も分かりずらかった。
ネットやブログで何度も見て予習したので切符は無事買う事が出来地下鉄に乗る事ができた。
虹橋第二ターミナルは一駅先で直ぐに着いたが、虹橋第二ターミナル国内線は無意味に広い、地下鉄からターミナルまでかなり歩いてからエスカレータで上に登る。
しかも、標識は中国語だけ不親切で分かりずらかった。
日本だと標識は日本語、英語、中国語に韓国語など色々と書いてあり館内放送も色な国の言葉でアナウンスされるがここはそんな気遣いは、まるでない。
ターミナルは広く人がいっぱいて中国人は皆声がでかく、人に話声が聞かれるくらいの大きな声で携帯電話で話している。
二人が、おどおどしていると聞き慣れた声が聞こえてきた。
日本語である。
サラリーマン風の日本と中国人が日本語で会話していた。
達也と哲夫は、その日本人の方に近づき聞いて来た。
「済みません。大連行きの飛行機にはどうやって乗ればいいんですか。」と言いチケットを見せた。
サラリーマン風の男は高橋と言い、北京まで出張に行く途中であり初め驚いたようだが、隣の中国人通訳が親切に教えてくれた。
達也と哲夫は深々とお礼し搭乗手続き無事済ませる事が出来た。
今更だが、大連直送便に乗れば良かったと思ったが、最終日は上海観光も居れており勉強の為、上海経由にしていた。
よく回りを見ると日本人も結構多かった。
観光客に仕事絡みのビジネスマンおり多く日本にとって中国は大きなビジネス大国である事がよく分かった。
受付のCAは日本人だと分かると直ぐに英語で話し始めたが、達也と哲夫は分からずただ頷いていた。
日本のCAと違い態度が悪く作業も遅い、しっかりとした教育がされていない。
搭乗口に入り手荷物検査をした。
「電脳 要 ま?」と聞いてきたが何か分からず時間を掛けてしまった。
見かねた後ろの中国人が「没 要」と答えてくれた。
後で確認して、「パソコンは持っているか。」と、言う事であるのが分かった。
哲夫が持って来ており、達也の方は持って来ていなかったのでパソコンを提示してなかったので聞かれた事らしい。
二人は、中に入って更に驚いた。
中はもっと広かった。
搭乗口までかなり歩いた。
中国恐ろしい、デカ過ぎる。
定刻通りに搭乗し飛行機に乗ったが、ここからが長かった。
とりあえず、飛行機に乗せただけで、すぐに食事が運ばれてきた。
国内線なのに、食事と飲み物が運ばれてくる。
飛行機の発着は過密スケジュールとなっているが、日本のように時間通りにいかないのが中国である。
朝の便から少しずつ遅れて行き、昼過ぎには大幅な遅れになるし大連はよく霧で欠航になるケースも度々ある。
20分遅れは定刻通りであり、1時間遅れは通常範囲内であった。
飛行機は、40分遅れで離陸した。
二人は飛行機の中で疲れて寝ていたが、しばらくして起きた。
うるさい、周りの人は全く他人の事は全く考えておらず、DVDを大音響で楽しんだり、色んな食べ物を出して食べている人もいた。
着陸のアナウンスが流れたがお構いなしにDVDを楽しんでいる中国人がいた。
CAに注意されると直ぐにしまうが、CAが居なくなるとまたDVDを見だした。
ようやく、飛行機は大連に着いた。
そこからは、タクシーでホテルまで行く事にした。
ホテルの行き先は紙に書いて運転士に渡した。
ホテルに着き300元を払い少し高いと思ったが、二人は何も言えなかった。
ホテルは綺麗で日本人が多く宿泊しており、フロントは日本語も通じた。
一階には日本料理屋もあり多くの日本人客で盛り上がっていた。
大連は海に面していて海産物が有名な場所でもあった。
達也と哲夫は、日本料理屋の従業員に橘さんから貰ったリラックスの名刺を見せて何処にあるのか聞いた。
女性の中国人従業員が、その名刺を見て笑いながら片言の日本語で答えた。
「すぐにそこにあります。ホテルを出て右。」
ホテルを出るとすぐ目の前にネオンがあり、「日本人クラブ リラックス」と日本語で書かれており、横には「完全チップ制で安心」と書かれている看板が目についた。
達也と哲夫は立派なドア恐る恐るドアを開けると女の子達の声が聞こえてきた。
「いらしゃいませ。」
沢山の女の子が集まって来た。
そこは、達也と哲夫が一度も経験していない大人の世界であった。
流暢な日本語を話す中国人男性がやって来た。
「当店は初めてですか、当店はチップ制となっており安全です。女の子一人600元で、アルコールはこのような料金となっており、安心して楽しめます。」
達也と哲夫は驚いた。
沢山の女の子達が彼らの前に集まってきた。
「どの子がいいか、恥ずかしがらず選んで下さい。」と、男が笑いながら言った。
二人は真っ赤になり沈黙が続き女性の熱い視線が彼らにプレッシャーとなった。
そして、哲夫が先頭に一人の女性を選び、達也が続いた。
これが良く海外駐在者がハマるハニートラップである。
達也と哲夫は冷静になり辺りを良く見ると店の中には多くの日本人客がいた。
駐在者は、ここで良く日本人同士で情報交換をしているおり、そんな事を知らない本社の偉い人は、一件、情報が多い駐在者を仕事ができる男と勘違いする者が多く、実態はたまたまクラブの隣の客の情報で、昇級させたが、結局何も出来ない無能だと気がつくケースがよくある。
達也と哲夫は、なんだか分からないまま、楽しい時間を過ごしてしまった。
料金は初めに言われた通りの値段であり、それが安いか高いかはわからないが、日本でクラブで飲むのと比べたら安いのは二人とも分かった。
翌日になり二人はフラフラと千鳥足でホテルに戻った。