獣医 佐藤先輩
北海道の山中に暮らす達也は、中国人女性を助けるが、追っての人たちが達也と桜のいるキャンピングカーに近づいて来た。
四駆を走らせ、助けに行く哲夫。
三人の運命は?
達也は、すぐさま外を見た。
森の茂みの暗闇から人影が見えていた。
達也は桜の手を取って言った。
「桜、早く逃げるぞ。」
達也と桜はキャンピングカーから出て四駆の車を目指そうとした時、銃弾が飛んで来て達也の頬をかすめたので、二人はキャンピングカーの外に出られなくなった。
その時、哲夫の四駆がもうスピードでやって来て二人を発見するキャンピングカーの出口の前に止まった。
達也は桜をかばいながら哲夫の四駆に近づき桜を車に乗せて自分も哲夫の四駆に乗ろうとした時、達也が撃たれた。
達也は倒れ込んだので桜は急いで達也を引っ張り車の中に乗せドアを閉めた。
哲夫は達也が乗ったのを確認してからアクセルを全開に踏み込む走らせてその場を立ち去った。
銃を持った男達は走り去る哲夫の四駆を撃ちながら追いかけて行ったが、追着く事は出来ずに哲夫の四駆は遠くなって行った。
桜は達也のお腹を押さえていたが、撃たれた傷口からの血が止まらなかった。
「哲夫、お願い、達也 助けて 病院。」と桜が叫びながら言った。
「心配するな、直ぐに知り合いの医者に連れて行ってやる。」と哲夫が言った。
達也は苦しそうにお腹を押さえていた。
哲夫の四駆の車は、一旦舗装された道に出たが直ぐに山道に入って舗装されていない山道を走り続いて行った。
車は激しく揺れていた。
「医者、こんな場所 居るのか。」と桜が不思議そうに言った時、 哲夫の四駆の山の中の一軒屋の前で急ブレーキを掛け止まった。
哲夫は素早く車から降りて、その一軒家に走り家のドアを思いっ切り叩きながら言った。
「佐藤先輩、先輩、早く開けて下さい。」
桜は家の看板を見つけ読んだ。
「佐藤獣医。」
すると、玄関に灯りがともり中から髭面の男が不機嫌そうな顔で出て来た。
「なんだ、煩いな哲夫。」と、佐藤獣医は怒りながら言った。
「達也が銃に撃たれたんだ。早く助けてくれ。」と哲夫が叫びながら言った。
「撃たれたって、ハンターに熊に間違えられたのか。」と佐藤獣医が驚いたように言った。
「違うよ。詳しいことは後で話すから早く達也を中に入れてくれ。」と哲夫は言った。
佐藤獣医はタンカを持って来て達也を乗せ部屋の中に運んだ。
桜も周りを見渡して二人の後を追った。
達也をベットに寝かせて佐藤獣医は達也の傷口を見て言った。
「銃弾がめり込んで居るな、早く取り除かなくてはいけないが、血液が足りない。今さら町の総合病院まで行く時間がない。達也は何型だ。」と、佐藤獣医が哲夫に聞いてきた。
「確か、B型だよ。」と哲夫が言った。
「哲夫、お前なに型だ。」と佐藤獣医が言った。
「A型。」と哲夫が答えた。
「そうか、俺はO型だし。」と佐藤獣医が言った。
「私、B型。」と桜が大きな声で言った。
「この子は、」と佐藤獣医が不思議そうに言った。
「いや、なんて言うか、達也の友達...。他人。」と哲夫が悩みながら言った。
「達也の彼女です。」と桜は言い、右腕を差し出した。
「分かった分かった。詳しいことは後だ。早く弾を取り出さないといけない。」と佐藤獣医が言い手術道具を用意した。
「まあ、達也なら牛や馬くらい頑丈だろう。」と言い麻酔薬を用意していた。
その麻酔の注射は家畜用なので大きかった。
桜は、それを見て驚いていた。
手術が始まった。
桜は達也の隣に簡易的なベットを置き、そこに寝ていた。
哲夫はウロウロしていたので、佐藤獣医に怒られた。
「ウロウロするな、気が散るだろう。外に出て静かに座っていろ。」
そして、手術は無事終わった。
達也と桜はベットの上で寝ていた。
桜は、顔色が良くなったが達也の顔を見て微笑み、手をゆっくりと伸ばし達也の顔に触れた。
「二人は良く寝ているな。」と佐藤獣医は哲夫に言い、缶のハイボールを哲夫に渡し二人きりにさせてあげた。
哲夫はハイボールを飲まずに窓から隠れるように外を見ていた。
「外に何か居るのか哲夫、お前たち、何があったんだ。」と佐藤獣医がハイボールを飲みながら言った。
「ごめん、佐藤先輩、不味い状況になった。」と哲夫が言い部屋の周りを回った。
家の周りは既に謎の男達に取り囲まれてしまった。
その時、桜が起きて来た。
「君、駄目だよ。まだ、寝ていなければ。血を抜かれてふらつく状態で歩くのは良くない。」と佐藤獣医が言った。
「哲夫。ありがとう。 達也、元気になって。」と桜は言い佐藤獣医に御礼を言い外に出た。
桜の周りに謎の男達が集まって来た。
彼らは銃を持っており、哲夫と佐藤獣医は外に出てこれなかった。
桜は彼らに捕まり黒い車に乗せられ、この場を離れて行った。
北海道 中国を舞台に達也と哲夫の大冒険が始まる。