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桜と向日葵 (上海 冒険旅)  作者: いずたく
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達也と哲夫

 時は遡り,2008年世に言うリーマンショックが起こり世界の経済が暴落した時代に中国が経済大国へいと移り変わり多くの世界の企業が中国に仕事を求めて、世界の工場と中国が呼ばれだした。

 この頃には、多くの日本企業、日本人も中国へと出て行った。

 2010年の日本。

 そんな経済の移り変わりには縁遠い北海道の真ん中で山と湖に囲まれた場所に小さな村があった。

 この村も他の村と同じく若者が少なく過疎化が進んでいた。

 この村の人々は農家や酪農で生計を立てる家もあったが、石灰が取れる鉱山がありそこで働く者もいた。

 この村の山を越えてた場所には大型リゾート施設があり多くの人々が訪れ賑わっていたが、この村には何の恩恵もなく人々はひっそりと静かに暮らしていた。

 さらに夜は静かで虫の鳴き声と時より夜勤で働く鉱山の音が山にこだました。

 今日も夜勤に精を出して働いている若者が二人いた。

 二人共、三十歳前の独身男性で彼女もいなく、古びた事務所の一角に作った手作りのプロレスのリングで、二人は暇な時間を見つけてはプロレスの練習にも精を出していた。

 彼らは別にプロのレスラーを目指しているわけでなく、単にプロレスが好きな男達であった。

 彼らは普段から石灰の粉を袋詰めした重い岩粉を運んでたりしながら体を日々鍛えていた。

 更に二人共、背が高く180センチ近くあり胸板ははち切れるばかりに厚かった。

 空が薄明るくなって来て仕事も一段落してきた。

「哲夫。俺、今からコンビニ行くけど、何か欲しい物あるか。」と男が汗を拭きながら言った。

「そうだな。ビールとつまみ、柿の種でも買ってきてくれないか。達也。」と、哲夫もタオルで汗を拭いながら言った。

 「分かった。じゃあ、後片付け頼むわ。」と、達也が言い古く木造建ての事務所を出て愛車に向かった。

 北海道と言う事もあり、愛車は赤い四駆であった。

 コンビニは車で30分程の場所にあるセイコーマートであり、その間は信号機が一箇所のみである為、渋滞も無くほとんどの道を気持ち良く車を走らせる事が出来た。

 達也はコンビニで買い物を済ませ帰り道も軽快に湖沿いの山道を走っていた。

 時折、キタキツネや蝦夷鹿が現れるだけの山道で対向車も一台も現れない道路であった。が。今日は後ろの方から何台かの車がタイヤを鳴らしながら猛スピードで走って来ている音がしたので達也はバックミラーから確認した。

 達也は音楽を切りバックミラーから後ろの様子を見ながら運転していた。

 「何、考えているんだアイツら。レース場じゃあ無いんだぞ。よそ者か。」と独り言を言いながら、ハンドルを切っていた。

 車は、あっと言う間に達也の四駆に追いついて来た。

 この先にはキャンプ場があり、その場所の道はカーブの無い一直線であり達也はあまり関わりたくない為、車を路肩の方に寄せ後ろの車を通してあげる事にした。

 赤い車が一台、達也の四駆の横を通り過ぎて行った。

 一瞬だが女性が一人乗っていたのが見えた。

 直ぐに2台の黒い車が通り過ぎた。

 「おい、おい。あのままスピードも落とさず走って行ったら事故るぞ。」と、達也は思い走り去って行った車の方を見ながら言った。

 キャンプ場の直線を過ぎると緩やかに下り坂であり降りた先にカーブがある。

 カーブは見た目は緩やかだが途中から急激に曲がっている為、この場所ではよく事故が起きる場所でもあった。

 達也を抜いて行った車は、物凄い急ブレーキの音の後、大きな音が次々と山にこだまして行った。

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