表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/14

5家の事情で仕方ないのです

 この世界の仕組みだか、魔法が使えるのは貴族とそれに近い血統のみとなっている。

 因みに、家ごとに「血統魔法」というものがあり、各一族、決まった属性の魔法しか使えない。


 そんな中、私の生家であるサフィール侯爵家は、我が国トーラス国において、希少一族となっている。

 我が家の血統魔法は「水属性」なのだが、実は直系の男子のみ、「裏血統魔法」と言う、有り得ないオプションが付いている。

 本来、一つの一族に一属性が当たり前なのだが、その常識を我が家は無視し、水属性と、裏血統魔法として、「闇属性」という、何故か二属性を操る事ができるのだ。


 因みに、この事情を知っているのは他家では王家のみとなっている。

 まぁ、他の家に知られると色々面倒と言うのが理由なのだけど。


 と言う訳で、魔法に関しては若干チート気味な我が家ですが、弊害もある。


 それは「男子の出生率がかなり低い」と言う事だ。


 しかも、男子が生まれても、成人する十六歳までに何らかの病気になり命を落とす者が多い。

 二属性による弊害だった。

 そう言う理由で、一族にとって、男子は保護対象なのだ。


 そして、その保護対象の男子は成人するまで、魔除として女性の姿で過ごすのが習わしとなっていた。


 因みに、女性の姿でと言うのは、他の貴族も周知している家が多い。

 二属性は口外されてはいないが、男子の出生率が低い事は知られている。

 と言う訳で、私が女性の姿をしている事は、私の性別を知る人なら知っている事実だった。


 で、話は戻ります。


「……%$☆〆!」


 殿下の手を自身の胸に当てた瞬間、彼は声にならない声を発した。

 そして、凄い勢いでその手を振り解いてきた。


「きっ……貴様!淑女としての嗜みはないのか!」


 あれ?


 (おーい、話し聞いてました?)


 先程私は自分が「男」だと言ったはずですが?

 と言うか、この事は王族なら知ってておかしくなかったんだけど…このお花畑王子は右から左だったんだろうな。


 だいたい、私が男なのは、学園の同級生のほとんどが知ってる事なんだけど。


「殿下………私の話し聞いてましたか?」


 呆れて果てて、もう相手するのも疲れた。

 と言うわけで、バカ王子の勘違いをこの場で全部正す事にする。


 (本当は後一年待つはずだったんだけど)


 本当は、ちゃんと男性として彼女の隣に立ちたかったけど仕方ない。


「失礼します」


 私は隣にいるエリオット様に微笑むと、その手をそっと握った。


「私達が幼少期に、陛下と宰相である父が決めた婚約ですが、それは私とエリオット様の事ですよ?」


 その瞬間。


 会場内が一気に騒ついた。

 宣言された当の王子殿下は、余りの事に真っ白になっている。


 そして、忘れていたが、男爵令嬢。


 王子殿下の後ろでへたり込んでました。



*****



 パーティーでの一悶着後。


 予想はしていたが、私達はそろって学園長室に呼び出されていた。


 ガラスの長机を挟み、私とエリオット様、そして「国王陛下」。

 反対側に、アイリッド殿下とメリッサ男爵令嬢、そして、学園長が座っている。

 因みに、私達の後ろには、かなり機嫌の悪い、父にしてこの国の宰相が仁王立ちしている。


 父の怒った顔は、普段の温厚な父しか知らない王子殿下から見たら、さぞ恐ろしいだろう。

 実際は、私と同じく、父は何匹もネコを飼っている。

 普段はフワフワした柔らかい人柄。だがその実態は、国王陛下をも舌を巻く超腹黒ドSなのだ。


 この事実は、家族と国王陛下…後は、父と仕事上などで直接関わり合いのある者達しか知らない。


 と、話は戻して。


 陛下は、先程までこの部屋で学園長と話されていたらしい。

 そんな中、ホールで起こった騒ぎ。

 因みに、陛下まで事情を報告に向かったのは、内心ブチ切れた父だった。


 今回の事件に関しては、父だけでなく、国王陛下もかなりのご立腹状態だった。

 はっきり言ってかなり空気が重い。


 そんな中、まず口を開いたのは「国王陛下」だった。


「……この馬鹿者が」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ