表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その男 異世界帰り   作者: 西南の風
92/235

92 異世界訪問編

【お知らせ】

今回一身上の都合で一ヶ月ばかり小説活動が出来なくなりました。

ご迷惑をお掛けしますが再開時には皆さんにご連絡いたします。


*時間の合間に一部だけ投稿しました。

「・・行ってしまったな」


倉田陸将補が小さく呟く。


「はい 後は無事に目的を済まして帰還する事を祈るだけです」


大宮も彼等が消え去った場所を見つめて頷く。


「是非とも無事に帰ってきて欲しいものだ・・しかし 転移とはとんでもないものだな」


「はい 使いようによっては恐ろしい武器にもなります」


場所さえ限定できれば極端な話、寝ている寝室に誰にも気づかれずに侵入が可能にもなる。

独裁者にとっては気が休まる暇がないだろう。


「総理や大滝総合幕僚長にこのことを最初に伝えた時に、流石に面食らった声をなされていたよ」


「第一級の極秘事項としてすぐさま緘口令が発動されましたからね・・」


「さて 部屋に戻り大鐘総理等にご報告せねばな」


二人は堅牢な作りの射撃訓練所から外へと出て行く。





「着いたか? ここは・・・」


何十年ぶりかの長距離転移に太蔵は軽く頭を振って正常に頭が戻るのを待つ。


「「く くうー、きつい・・・」」


高弟の二人も遅れて意識を戻ししきりに頭を振っていた。

3人が左程疲労もなく転移できたのは、出発前に体力強化のスキルを掛けて転移に備えていたのだ。


「・・老師 ここは?」


森の中と思われる一角であるが、目の前に小さな家が一軒だけあり、庭先には自家製の野菜が植えられた後があった。

その小さな畑は暫く手入れがされていないのか、雑草と共に元の野菜類は萎れているのが分かる。


「不在か、、、」


その小さな家に近づき太蔵は戸の入り口にかかっている札を見ていた。


『本日休業』の札である、その横に貼り紙で 暫く閉店します と書かれてあった。


「「老師 ここの場所は?」」


ふらつく足で老師に追いつき、現場確認に余念がない二人である。


「うむ 知り合いの魔導師の家だ。体調はどうだ?」


顔は青ざめているが意外と足元はしっかりしているように見えた。


「はい・・絶好調とは言えませんが、、」


どうやら二人共最初の転移の関門を突破したようだ。


「・・なぁ 老師、何処なんだここは? 本当に異世界なのか、、?」


周りは深い森に見える、そこに切り開かれた一角があり古びた木造の建物がある。

見ようによっては日本の山奥の一軒家の風景とも感じられる。


ただよく見ると木の種類が少し違う、日本の近郊の山はスギやヒノキで植林されている。

この風景は昔ながらの原生林に近い風景である。


もし日本だとするならかなりの山奥に迷い込まないと見る事が出来ない風景である。

しかもこの土地は平野に近い、つまり山奥の自然とは違う景色となる。


「・・森林地帯  ですか?」


人里に近い森としても獣道らしき道しかない。

となると人里ではない森林地帯? 二人の思考は理解できず停止していた。


「いや 二百メートルも歩けば街道に出るぞ」


済ました顔で老師は答えると 再び未練がちに 本日休業 の札を見て、くるりと向きを変えた。


「おっと そうそうこれは正常に働くのか・・」


背中のリュックを降ろし、腰に下げてある小袋に手を添える。

淡い光が発生して降ろしたリュックが消えていく。


「「な 何が今?」」


突然の現象に二人の高弟が戸惑っていた。


「・・話したであろう 魔法袋じゃ」


話には聞いていたが 実際にその機能を見るのは初めてであった。

呆気に取られてその魔法袋を眺めている二人である。


「やれやれ これで一安心だ移動が楽になる・・年寄りには荷物が重いからの」


済ました顔で答える老師は ふとまた何かを思いつく。


「ステータス オープン」


突然に老師の前に懐かしいステータス板が現れた、感慨深げにそれを眺める老師である。


「おい 老師は何をしている?」


「さて? 何やら空中を指さして頷いているが・・?」


老師の頭は大丈夫かと 久保田は心配している。


「失礼な 聞こえておるぞ。お前等も同じように唱えて見よ」


老師からの叱責を受けながら二人は同時に呟いていた。


「「うぉー 本当に現れた!」」


自分の目の前に浮かぶ不思議な文字盤をぼんやりと見つめていた。


「そうそう 今のうちにステータスを読み上げてくれないか、メモを取る」


二人は言われた通り浮かび上がった各自の内容を読み上げた。


「・・ほう 小田切は風魔法で久保田は雷か」


レベルは共に 1 と出ている。


「・・魔法を使えるのか?」


「無論だ そうだなここで少し練習をしてみるか、もしかの時に有利だからな」


太蔵の指導の元 二人はしばし特訓を開始する、ここは異世界だ これから先は何があるか分らない。

最低自分の身は自分で守る必要がある。


特訓の成果 二人は初めての魔法発動に喜んでいた。


「筋は良いぞ 今の調子で練習を繰り返せば威力が増していくからな」


小田切は風のカッター系で切り裂き 久保田は電撃のショック系を覚え込む。


「へへ 早く試してみたいな・・」


「焦らんでも直ぐに使う可能性があるからな、さて 武器を装備しなさい」


各自は用意して来た日本刀を腰に差す。

太蔵は当然として 高弟二人も道場にて長い間剣の修行はしてきた。


共に三段クラスの腕前はあると太蔵は見ている。

ただ竹刀稽古ではなく模擬刀と真剣を使っての稽古であったので、より実践的に鍛えられていた。


「よいか 最後にもう一度言うが、刀を抜いた場合ためらわずに相手を斬れ。ここは異世界である事を忘れるな、躊躇すれば自分が死ぬ可能性があるぞ」


高弟達はその言葉に多少緊張しながらも静かに頷く。


「さて 表の街道を目指そう」


太蔵が先頭に立ち森の中を突き進む。




「「おお これが異世界なのか!?」」


森が突然消えて街道 と言っても土を整地して人が歩きやすくした道なのだが、森の中から突然開けた場所に踏み入れた。


そこを冒険者や商人達が何人かが歩いている、そんな当たり前の風景なのだが高弟二人にとっては服装やら腰に剣を帯びて簡易鎧を身にまとう姿は確かに元の世界では考えられない風景であった。


何やらはしゃぎ気味の二人をすれ違う人々は、怪訝そうな顔で二人を見ながら通り過ぎる。


「お おい、あの耳を見たか?もしかしたらあれが獣人族なのか?」


物珍しそうに過ぎ行く人々の中から久保田が目ざとく見つけた。


「う うーむ、話には聞いていたが現実に見ると・・」


暫し二人は違和感の真っただ中に居た。


「さて そろそろ目的地へと向かうぞ」


飽きもせずに辺りを見渡しては感心している、そんな二人に太蔵は声を掛けた。


「あっ 申し訳ありませんでした、つい色々と見入ってしまって・・」


「だったな、、で 老師 何処へ向かうんだ?」


「まず 宿屋の確保だ、転移で体が本調子ではないだろう?」


今日はゆっくりと休み 明日からレベル上げでダンジョンへと向かうとの事だ。


「お前たちもこの世界では中の下の実力では不安だろう? 一週間ほどレベルアップに時間をかけてから首都へ向かう」


その前に服装と鎧関係を買い込まねばと太蔵は説明する。

今回異世界に向けてなるべく周りと違和感のない服装を準備して来た。


上下とも作業着関係の服を入手し、靴も半長靴の安全靴で防備しているが簡易鎧は必需品となる。

その関連品を先にある店屋にて揃えるとの事だ。


「なぁ 老師、肝心のこちらのお金はあるのか?」


この世界の通貨がなければ何も買えないだろうと久保田は心配しているのだ。


「ああ この世界から転移した時に左程多くは無いが金子も持ちこんでいたからな」


魔法袋から硬貨の入った小袋が出現した。


「「おお 流石は老師だな・・」」


「おっと 行きすぎる所だった、、ここが宿屋だ」


二人は少し目を丸くする、宿屋と老師が言った意味が分ったのだ。

そこは昔風の木賃宿と表現するのが如何にも適切である造りであるのだ。


「どうした?まさか宿と聞いてホテルでも想像していたのか?」


太蔵は可笑しそうに一人微笑んでいた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ