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その男 異世界帰り   作者: 西南の風
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今回の成功を受けて大宮の行動は素早かった。

すぐさま基地の指令の元に面会を求める行動へと動いていた。


「うん どうした大宮君、人払いをしてまでの面談とは?」


大宮三尉からの突然の面会依頼にも倉田陸将補は快く応じた。



「ほう 何と・・老師がそんなことを可能に・・?」


しかしと 流石にそんなことが可能なのかと流石の倉田も考え込んだ。

確かに人外に近い存在として太蔵をある意味頼りにしている倉田ではあったが、ここまでの事が出来るとは直ぐには納得は出来なかった。


派遣隊員が精神的に多少不安定な兆しがあるのは、各他部隊からの報告も同様の事であった。

基地の責任を預かる各指令クラスは全員この問題に頭を悩ましていた。


戦後 初めての行動となる為にそれまでのノウハウが不足して、特に隊員の置かれている精神的な負担にどう対応するのかが一番の問題点であったのだ。


国としても大きくこの点を何とかすべき対応を進めている最中であり、結果的に一時的に海外よりこの分野に詳しい講師を招くべく交渉の最中であった。

もし太蔵によるこの点が解決できるならこれ以上は無い朗報となる が・・。


「・・指令。確か指令は果物がお好きで、執務室にも置かれておりましたよね」


執務室には倉田の好みの果実類が置かれ、その香りを室内で包むのが倉田の気分転換に役立っていると聞いた事があり、実際に数種類の果実が執務室には置かれてあった。

その内の一つを頂きたいと大宮は話し出す。


怪訝な顔になりながら、倉田が隣の部屋にいる士官に声をかけて、会議室へと希望の果実を届けさせた。


「これをよくご覧になって下さい」


突然届けられた果実を片手にてむんずと握りしめ力を入れ始める。


「な 何だと!?」


倉田の目の前に差し出された林檎の果実が、大宮により握りつぶされテーブルの上にその果汁がしたたり落ち始めたのだ。


「どういう事かね?君はそれほどの握力が?」


信じられないと言う顔で倉田は大宮と潰された果実を呆然と見ていた。


「・・いいえ 握力は強い方ですが、流石に今まで林檎を握り潰した記憶はありません」


「ならば・・そうか 老師か、それが老師の力によるものなんだね?」


「はい 今回老師の作成したビデオを見て、私もその力の一環をお見せすることが早いと思い、誠に失礼ながら授かった力の一部をお見せしました」


潰れた果実を大宮から受け取りながら、倉田は尚も呆然と果実を確認していた。


「凄いね・・あの老師の力にはほとほと感心しますね。これはそのビデオを見た者達には皆が行えるのだろうか?」


「さて?確かめた訳ではないので確かな事は・・なれどあの道場の隊員達なら恐らく可能と、、、」


「すると・・感情の安定化と尚且つ体力の増加の二面が可能になると、、素晴らしい 素晴らしすぎる。私から更に上にこの事を話したいと思います」


倉田は例の目を輝かせながら、全ては任せろとばかりに力強く頷いていた。





「「えっ?指令の目の前で林檎を握りつぶした!?」」


高弟達は大宮からの報告を聞いて呆れた顔で大宮を見つめていた。


「久保田 お前は素で林檎を握りつぶせるか?」


「・・無理だろう そっちはどうなんだ?」


「やった事は無いが、、半々かな・・」


出切るか出来ないかはやってみないと分からないと小田切は言う。


「・・今ならば俺にも出来ると言う事になるな」


「ふうー、あの老師のマジックにはただ恐れ入るな・・」


「その老師は今は?」


「ああ 例のビデオ完成に・・モデルをアナーシャにお願いして二人でなにやら奮闘中だ」


久保田が俺にも声をかければいいのにと 呟いている。


「ああ・・呼吸法は彼女は結構早くから師の教えを受けていましたね」


「だな ある意味適任かな、、美人でモデル級のスタイルだしな・・」


やぼな男のモデルよりやはり数倍は興味のわく人選であろうと皆が納得していた。


「しかし あの事件以来 すっかりこの道場に住み込み始めたな・・」


彼女は日当たりの良い久保田の部屋を自分の部屋と決めつけ、追い出された久保田はすこぶる機嫌が悪い。





「あれから一週間過ぎたが、隊員たちはまだ効果が持続しているかな?」


太蔵は心配そうに大宮に確認していた。


「老師 すこぶる快調です。何なら林檎を潰してみましょうか?」


基地指令の前で林檎を握りつぶした事件は特にこの道場では有名な話で、つい半分はやけで大宮は苦笑しながら太蔵に答えていた。


「ははは それはまたの機会にしよう、持続しているなら結構な事だ」


太蔵の計算ではこの効果はひと月近くは持続すると計算していた。

その分体力増強は少し抑えてあった、全ては精神の安定の方に特化した魔法のつもりだ。


なれどその抑えた力でも素の状態に比べれば倍近い力が発揮されている。

それが今だに林檎つぶしの力に現れていた。


道場にいる隊員たちは 俺にも出来ると面白がって林檎を潰すので、それを見かけたアナーシャから皆が叱られて、この頃は陰でこっそり行っている様だ。



「実は別件でご連絡があるのですが、空防システムがほぼ完成したと極秘情報が入ってまいりました」


「おお ようやく目処がついたのかな?喜ばしい事ですね」


「はい 近距離系は約100キロの距離まで有効でその速度はマッハ8~9に達して小型化に成功したようです。そしてこれは極秘ですが、中・長距離用も現在開発中との事になります」


近距離用は敵ロケットの地上からの迎撃用にも空自の戦闘機にも積んで色々な役目に利用される事になる。

中・長距離用はさらに用途が上がる事は確実だ。


「ほほう・・長距離用は何処まで考えているのかな?」


「最終決定は不明ですが、最低でも大陸の海岸線から中央部の基地に対応できる範囲が検討されています」


ここで言う大陸は当然現在GNP世界第二位の国が対象になる事は明らかだ。

いずれの開発品も飛行速度・破壊力は数段強化されている。


全ては魔素結晶の増加の匙加減で大きく性能が飛躍するらしい。


「それは それは・・ようやくこの国も普通の国に近づいてきましたね」


太蔵と大宮はこれからの日本が真の独立国として確立されることを心から祈っていた。   


その他の細かな改良品は極端な話、全ての装備品が対象と言っても良い。

なれど現在魔素の結晶に関しては品不足の状態である、優先順位をつけての改良品開発となる。


「それと結晶は非常に各種燃料系と相性がよく、微量の含有によりオクタン価向上による性能アップが見られて、戦闘機の最高速や飛行距離の大幅な向上が確認されています」


当然陸自関係の燃料系で稼働する軍用車や果ては戦車等にも適合できる事になる。


「おお 凄い人気者になる可能性があるんだね」


二人は嬉しそうにつきぬ話しについ語り合う。



その後更に一週間過ぎて効果が継続している事を受けて、太蔵の手作りCDの採用を見切り発車することが正式に決定した。


二位週間過ぎて効果が継続中であるなら問題は無いと言う結論に達したのだ、それに隊員達の正式派遣の日が近づいていたのも大きな決定要素になっていた。


予定の効果持続が例え短くとも、場合によっては不安が残る者は再度ビデオを見れば良いと判断した模様。

すぐさま改めて作成した予備のCDを入手して、秘密保持の確約書にサインをして隊員たちの派遣教育に組み込まれていく。


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