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その男 異世界帰り   作者: 西南の風
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尚も太蔵の説明は続くが、聞いている方は左程に身が入っていない。

今の彼等に必要なのはどれだけ自分等に還元?してもらえるかが重要なのだ。

これ以上老師が人間離れしてどうするのだと正直感じていた。


「その 回復スキルは正常な体に戻してくれるのですか?」


「そうだ 儂の使えるコピースキルは重傷者は軽症に、軽症者はほぼ回復にと発動してくれる」


ほう と大宮は頻りに感動する、戦場に於いて初期治療がいかに早く受けられるかで生存率が変わっていくのは常識だ。

そんな回復スキル持ちの者が戦場に居ればどんなに助かるかと大宮は考えていた。


「・・老師、それ欲しい・・」


久保田はそのスキルを寄越せと言っている。


「・・また魔方陣にて作成してみるが、期待はするな。この回復スキルはかなり人を選ぶスキルになる」


「そのスキルで老師は田川から受けた痛みを回復出来た訳ですね?」


「だな、中程度の痛みであったが、ほぼ瞬時に支障ない痛みにまで回復できたな」


「凄いな、、ぜひとも覚えたいが人を選ぶのか・・」


「基本これは白魔法の一種で、誰でもが覚えるスキルとは違う」


「才能か、、俺にはあまり其方系統は無理かも・・」


少し落ち込んでいる久保田に、太蔵は慰める。


「まぁ 一度後日に確かめてみよう、それからの話だ」





「なぁ 久保田、先ほど老師は体力強化スキルで素の3倍の強化が図れると言っていたが、あれがどれ程凄い事か認識していたか?」


「・・何だ急に? 俺達だって老師より貰ったスキルで同じような強化が出来るだろう。何を今更言っているんだ。・・・だが 確かにあのスキルの発動時に老師を目では追えなかったが、どう違うんだろう?」


「だから お前は甘いと言われるんだ、老師と俺達は素の状態がそもそも違うんだぞ。老師は前に素の状態で百mを9秒で走っているのを忘れたか?」


「・・確かに そうかするとあのスキルを発動すると・・・5秒そこそこで走り抜くことが? けっ、正に人外その物なのか?」


「俺はな・・老師の話を聞きながら、あそこまで人の能力を変えることが出来る異世界に物凄い興味が引かれていたんだ」


「けっ それは俺だって同じだ。・・だから先ほどチャンスがあれば異世界に連れて行ってくれと老師に頼んだじゃないか、、、」


「・・お前の場合は どうも他の目的がありありと感じられる。端的に言えば特に異世界の女性目的がありそうだが、、違うか?」


「何だ? そ そんなことは・・少ししか考えてないぞ。それを言うならお前だってどうなんだ?」


「・・ないとは言わん、なれどそれは俺にとって枝葉の問題だ。俺は武術を志す者として老師が言うレベル上げに一番の興味が正直ある。」


「あ 当たり前だ、俺だって同じよ。魔物か?それを沢山倒せばレベルが上がるんだろう?是非とも異世界に行ってレベル上げに挑戦してみたいと思っている、、」


二人は暫し異世界への訪問を夢に見てその世界にての自分の活動を熱く語り始める。

通常なら現実と物語を一緒にする夢想家と笑われるのは確実であるが、何となくあの老師なら再度異世界へと訪問が出来そうなそんな気がしてならないのだ。




「老師 これが例のお約束していた派遣隊員の為の魔法が込められた、、、」


「うむ どうなるのかはこれから実際に実証しなければ何とも言えないが、少なくとも何かしらの精神と肉体に補強が出来るものと思っている」


この一週間ばかり 太蔵は部屋に篭り何やらしきりに作成していたが、ようやく本人もそこそこの満足できる物を作り上げ、大宮氏を始め高弟達の前にお披露目となった。


彼等の前に披露されたのはどこにでもある 一枚の何やら手作りCD板が置かれていた。


「・・老師、こんなので何が可能になったんだ?」


「まぁ 疑問はもっともだな。まずはこの道場にいる隊員の皆さんを呼んでもらえないか」



太蔵の要請でこの道場に派遣されている、特務班の全員と大宮氏に高弟の二人が設置しているテレビの前に集まり、これから始まる事に何事と正座して注目していた。


「忙しい所集まってもらったのはこれから移る映像に刮目してもらいたい、これは、、、、」


一通りの説明後に太蔵はビデオの電源を入れて映像を流し始めた。

まず最初に目に映ったものは幾何学的な図形が現れながら次第に変化していく画面であり、そして後ろに流れている音楽とも言えるものは、自然界の海岸の波の音や山深くの水のせせらぎ等に感じられる音が静かに流れ始めていた。


(これは、この所流行っているリラクゼーションに用いられる方式では・・)


小田切はPCで見た覚えのある画面や自然界の音に耳を澄ます。

暫くして聞き覚えのある女性の声が静かに流れてきて、これからから始まる事の簡単な説明と注意事項を述べていく。


(おい これはアナーシャの声か?何やらこの所老師の部屋に呼ばれてよく訪問していたが・・)


真っ先に感じたのは久保田であり、その後皆がこの声の持ち主が誰であるか判明したようだ。

ちらりと久保田の視線がこの部屋の一角に座っている彼女に視線を送る。

その視線に気づいて彼女がにこりと笑顔を久保田に返す。


やがて数分後にビデオは完了へと向かい、テレビの電源を落として太蔵が皆に伝えた。


「以上で終わりだ、この後結果を見る為に道場に集合してくれ」


道場へと皆がきびきびした動きで移動していくが、誰からともなく聞こえてくる声が・・・。


「「「何だろう?・・やけに体が軽いが、、、」」」


道場には前もって用意されていた大型のリュックサックが置かれていて、その中に約50キロ程の荷が詰められていた。


それを全員が背に担ぎ直ぐに整列を開始する。

皆のどの顔も何やら不思議そうな表情に溢れているのが太蔵には見て取れた。


「どうかな? この荷は先ほど皆に用意してもらったものだが、今改めて背負い変化が感じられるだろうか?」


にこやかに太蔵が全員に尋ねていく。


「「「ろ 老師、荷の軽さがまるで違います、これは一体・・・」」」


あまりの重量変化に全員が戸惑っているのが、太蔵にはよく見えていた。


「うーむ・・確かに気分ではなく、重量の変化が感じらるぞ」


「おお これがあのビデオの効果なのでしょうか?」


大宮等もあまりの自分の変化に戸惑っている様だ。


「うむ ほぼここまでは成功のようだ。後は持続時間がどれ程なのかを検証していかねば・・」


それともう一つと 太蔵は本命でもある精神の安定化を皆に尋ねる。


「「あっ 確かに、、精神的にも落ち着いて・・何にも動じないと言うか、、」」


直ぐに数人の隊員が互いの顔を見合わせて、しきりに頷いていた。


「よし 本命もクリアしそうだな 引き続き効果の程を検証したいので皆さんのご協力をお願いしたい」


太蔵の言葉に隊員達が揃って元気な声で応じる。




「・・老師、説明して下さい。何が俺達に起きたのですか?」


小田切等が今回の太蔵の対応に説明を求めて それに師が答えて良く。


「いや 基本はPCからの盗作で、それに儂が魔力で体力強化をかなり苦労したが練り込む作業だ、そして触媒として大宮さんから手配してもらった例の魔素の結晶を利用した結果だな」


「・・・誰でもあのような結果がでるのでしょうか?」


「おそらく全ての対象には無理かも知れぬ。特にここにいる隊員の皆さんは昼夜を共にして気心がよく知れている。つまり儂を信頼してもらい、素直にそれに耳を傾けてもらえたのが今回の結果に繋がっていると思う。それにここの隊員の方達は独自に精神修行もしてもらっているだろう? あれもかなり効果が上がった一つと考えておる」


「なれば・・このビデオの前に老師による独自の精神統一の方法も伝授した方が・・」


「大宮さん 出来ればビデオを見せる一週間ほど前にそれをカリキュラムに取り入れることができればと思う」


「承知しました 派遣される隊員の為です。至急指令に話してみます」


「それこそ 老師の指導をビデオに撮って配布していけば手間が省けそうだが?」


「ふむ 久保田の考えがもっともだ。作ってみるか・・」


太蔵は再びビデオ作製に向けて動き始めた。


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