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その男 異世界帰り   作者: 西南の風
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ダンジョン前にて野営して翌日から本格的な攻略が開始された。


「昨日も説明した通り、ここは初級者向だ。最初から太蔵君に魔物対応してもらうので頑張ってほしい。最悪の場合は私達が出張るから安心してレベル上げをして欲しい」


田嶋の説明を聞きながら軽い緊張感を持ちながら太蔵は頷いた。


「よし ダンジョン内に入ろう」


岡田氏が魔法にて灯りをつけてくれる。

まだ暗闇に慣れていない目でもダンジョン内数十米の先までなら確認できる。

ゆっくりと太蔵一行は地下へ向い歩き出す。


「あれ この広場は何故か薄明るいような…」


地下に向かう階段を降りていくと広大な空間が広がり、その場所は降りてきた階段とは違い空間自体が薄明るい状態である事に気づいた。


「よく見てくれ 壁や床から光っているのが分かるだろう、光苔が一面に生えているんだ。もう少し目が慣れてくるとかなり遠くまで様子が見えてくるよ」


 これが光苔なのか、なる程…。


太蔵は目が慣れるまでゆっくりと歩みだす。


「所で今日はその短槍で勝負なのかな?」


岡田が短槍を握りしめている太蔵に尋ねた。


「はい 昨日は剣を使いましたが、短槍で何処まで通用するかと思いまして」


「なる程 我らと違い君の引き出しは多いのだな」


岡田と田嶋はそう言って互いに頷いていた。

薄暗いダンジョン内にようやく目がなれてきた時に前方から何やら向かってくる気配がある。

その気配に合わせて太蔵が短槍を構える。


「コボルトだ 小鬼より素早いから注意して」 

   

横に居た田嶋が声をかける。

軽く頷き短槍を魔物に向けて構え、相手の攻撃を観察する。


太蔵に向い襲いかかってきた魔物を短槍にて軽く合わせて攻撃向きを逸らす、勢いあまり空中にて体勢を変えて着地し太蔵に再度向かおうとした魔物は、その着地地点に素早く移動した太蔵から繰り出された槍が首筋深く突き刺さり軽い悲鳴と共に大地に横たわり最後の断末魔の姿を晒した。


「見事だな 流れるような動きに無駄がない…」


アレックスが思わず呟いた。

念の為の止めを刺し終えた太蔵に田嶋も近寄りしきりに頷いている。


「その年で剣も槍も大したものだ、恐れ入る」


「おっと 無駄話しの暇はないぞ、後発の魔物が3体だ」


アレックスがコボルトの追加を指摘した、田嶋も支援の剣を魔物に向ける。



計4体の魔物を岡田を省く3名にて難無く対応が終えると、魔物の死骸が光に包まれてやがて消え去った、その現象を興味深く太蔵は見つめていた。


 本当に 消えていくんだ…。


ある意味感心した口調で呟いていたが、その消えた後から何やら黒く光る小粒の石が残る。


「これは…話に聞いた魔石と言うものですか?」


小粒の石をつまみ上げ太蔵は手の平に乗せ田嶋に尋ねた。


「ああ 流石ダンジョン産はそれなりの大きさになるな」


岡田が他の魔石も拾い集めて太蔵の手の平に置いて説明し始めた。


地表に居る小鬼やコボルトは魔石がかなり小さく活用方法も売却しても大した金額にならないと云う。

本来は片耳や鼻を削いで退治した証とするが、それでも1体の価格はかなり低めで数をこなさなければならない。


それに対してダンジョン内の魔物は明らかに大きさが違い、魔石の売却も高値になると云う。

魔物の退治記念として太蔵は4つの魔石を譲り受けた。

軽減袋に入れてあった小さな麻袋に太蔵は大切に仕舞い込んだ。




太蔵の本格的なダンジョン攻略が開始された。

地下10階層に無事到着しダンジョン主を倒して地上に出てきたのは2日後の事だった。


地上に戻り着いた太蔵を出迎えたのは新鮮な空気と眩しいばかりの太陽の日差しである。


「ふう ようやく地上に帰り着いた」


新鮮な空気を胸いっぱい吸い込んでは吐き出す。

それだけで活力が戻ってきた気がする。


「はは ご苦労さま、無事に完了したね」


「お陰様で、色々お手数をおかけいたしました」


太蔵は田嶋等に感謝のお礼を述べた。

この数日間のダンジョン活動にていろいろな事を教わり学んできた。


「いやいや これ程飲み込みが早く対応した例は少ないよ」


付添のアレックスがお世辞抜きに褒め称えてくれた。

思わず照れくさそうに頭を掻いた太蔵である。


「そうそう レベルは幾つ上がったのかな?」


その問いにステータス板を読み出し確認する。


「…えーと 7になりました」


ほう 皆が一斉に声を上げた。

普通は4まで上がれば上々との事だ。


「太蔵くんは最初から最後までほぼ一人で魔物を倒していたからな」


岡田が感心した口調で頷いていた。





数日後に再度ダンジョンに訪問しレベルは11まで上昇する。

田嶋氏によると当初に比べて基礎体力等は倍になっている筈だと説明される。


それに関しては太蔵も感じていた体の異様性に納得していた。

初級ダンジョンではレベルアップに必要な経験値が少ないために更に中級ダンジョンに移行して、効率の良い経験値を稼ぐことになる。


「はは 3回目のダンジョン訪問で中級ですか…驚いたな」


田嶋・岡田氏及びアレックスも半分呆れ顔になっていた。


「やはり古武術を幼い頃から習っていた差ですかね 私達とは偉い違いだ」


田嶋等は5回ほど初級ダンジョンに通い、ようやく慣れて次のステップに進んだらしい。


「なれどこの先からは経験値も大量に必要になりなかなか上がらなくなりますよ」


簡単にレベルアップの仕組みを再度説明してくれた。


「はい 其の様に聞いていますので、精進します」


「ははは 言葉使いも昔の古武士に近づいたな」


陽気に二人が笑いだす。

思わず苦笑いを浮かべる太蔵だが、その決心に嘘はなかった。

この世界で生き延びるためには強くならなければならない、そしてあの女に一泡吹かせるためにも。




中級ダンジョンでの修行が4回目にようやくレベル20を達成出来た。

そして体力増強スキルがレベル2に上がり50%の増加が可能になる。


「な なんだこのスキルは別物だな」


太蔵は練習場にてスキル発動時の動きに慣れる為に一人剣を振りながら動きまわっていた。

それを例の3人が見学している。


「ヤバイぐらいの上達だ、もはや俺たちと同等か下手すると彼の方が上だ」


田嶋もこの一月程で25に岡田も24に上がっているが、正直接近戦では太蔵に勝てないと思っている。

そろそろ上級ダンジョンかな?


装備も上級用が準備されて3名は共に初めての上級ダンジョンに足を進める。




「気をつけろよ 今までと魔物の質が段違いだぞ」


アレックスは先行する3名に声をかける。

彼は基本監視役だ、無論何かあれば手助けはするが、正直田嶋等とさほどレベルは違わない。

この世界の住人は異世界人の3名と比べ上昇の経験値がかなり必要とする、更にレベルアップ後の数値も微増でなかなか上昇しない。


アレックス自身はレベルは31なのだが、25の田嶋や岡田の方が基礎体力等が上になる。

20の太蔵とほぼ同じ各数値状態なのだ。


この点が異世界人を召喚する一つの目的になっているのであろう。




先行する3名は注意深くダンジョン内を進み出す、このダンジョンは特異な場所で地下は3層までしかないが、大雑把に云って最初の一層はレベル30以下の魔物がすんでいる。

さして其の下の二層部にはレベル40以下・三層部は40以上の魔物が闊歩している。


当面はこの一層にて腕とレベルアップを進める事になる。


太蔵が闇の向こうに何やら動く物を見つけ二人に告げる。

3名の緊張度が跳ね上がってきた。




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