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次回で【第1部完】とします。
少し休息を入れて第2部『異世界からの訪問者編』を投稿予定になります。
追伸: 【右手にサイコガンを持つ男】を再開予定です。お楽しみに・・・
太蔵に瞬間的に投げ捨てられた男は、物凄い敵意の殺意が体中から発せられた。
もう一人の男もいつでも戦う態勢が感じられる。
「ふむ 教えを乞うのではなく、死合を希望かな?」
太蔵の言葉を正確に理解したのか不明だが、アナーシャが力なく頷く。
「ふむ ふむ、久しぶりに血が滾るわい」
太蔵の穏やかな顔が途端に変わり始める。
全ての周りが凍り付くような冷たい空気が流れ始める。
流石に相手の大男たちが一瞬にそれを感じて対応の構えに移りだした。
「待ってくれ 老師、ここは俺に任せて欲しい」
久保田が慌てて止めに入った、自分の獲物を取るなとの抗議だろう。
「そうです 私たちに任せてください」
小田切が一歩前に歩んだ。
そんな高弟の様子を横目で見ていた太蔵が、ふっと息を抜いて語る。
「・・確かに年寄りの出る幕ではないか」
つまらなそうに太蔵は呟くと、 ここは狭い表でやれ と指さす。
アナーシャが通訳すると その男たちが頷いて外へ走り出す。
続いて高弟達が動き出したが、小田切が小声で久保田に伝える。
「久保田スキルを使うぞ」
「あん?それは卑怯じゃないのか、俺の見立ては6・4で有利と思うが?」
「その見立ては合っていると思う、だがここは一気に叩き潰す。あいつらはどう見ても組織の人間だ、中途半端な結果は別の人間がまた来る可能性がある。ぐう の音も出ないように痛めつければ、流石に今後の事を考えるだろう、つまり今後の安全性が上がると言う事だ」
「・・そんなものか、まぁ 理解できるな。ならば不本意ながらスキルを発動するか」
二人は玄関から出ていく時に胸に隠し持った魔方陣を発動する。
ほう、スキルを発動したな。ふむふむ 小田切が何か考えついたな、まぁ今後を考えると正解かな。
太蔵はそんな二人を見て、にやりと笑う。
4名が互いに対峙する、だが少し何かが違うと相手の二人が小声で話し合う。
「弟よ、用心せい。先ほどまでの殺気が薄れている・・何故だか分らぬがな」
「兄じゃ 単に相手が自信がなくなったのではないか?」
「違う、、逆に妙に落ち着き払っている。まるで俺たちなど相手ではないかの様にだ・・」
「うーん 兄じゃは意外と勘が鋭いからな・・分かった、最初から全力だな?」
「そうだ 油断するな、来るぞ!」
ゴングはすでに鳴っている、いつでも動けるように互いに集中していた。
互いに攻撃が届く距離にもう少しの距離ではあったが、小田切と久保田はそんな事は気にする素振りもなく相手の間合いにすっと 踏み込んだ。
「「うおおおおおー- 」」
途端に辺りに響き渡る大声と、巨体に似合わぬ速度で小田切達に向かい必殺の拳と蹴りが容赦なく高弟達を襲って来た。
もらった!!
馬鹿な黄色い猿を叩き壊した! 自信を持った一撃を喰らわしたと相手は思わず勝利の意識が頭に浮かんでいた。
!? 相手が消えた・・・。 不味い!!
そう思った瞬間に勝負は着いていた。二人は途轍もない衝撃を何箇所も体に感じ意識が飛んでいた。
な 何がおきたの・・?
離れた場所にて勝負を見ていたアナーシャは呆然と戦いを見ていた。
いや、正確には戦いが終わった後の結果を見ていたのだ。
大地に倒れ込んでいるのは、国でも悪名高い 狂犬兄弟であった。
信じられない物を見た・・彼女は今だこの結果が受け入れられず、ただ茫然と途立ち尽くしていた。
兄弟は口から血反吐をバラまきながら、体が僅かにひくひくと震えている。
嘘でしょう・・国でも持て余しているこの兄弟を一瞬で・・。
「ちっ 少しやり過ぎたか?」
久保田が顔をしかめて呟いた。彼は相手の脇腹と腹そして首筋の三か所に強烈な拳を叩き込んでいた。
全てが一瞬の出来事である。恐らく何か所も骨は折れていると思われる。
小田切も似たような攻撃を相手に叩き込んだようだ。
普通の人間なら即死につながる一撃を・・・。
「おい・・・」
小田切がアナーシャに話しかける。途端にびくっと反応した彼女だ。
「な 何よ・・・」
「・・早く 病院に運べ、手当てが遅れると危険だぞ」
彼女等の乗って来た車に運び込もうと小田切がかがんだ時だった。
激痛で体を動かすことが出来ない相手が、カッと目を開け唯一自由になる口を大きく開けて、かがんだ小田切の首筋に噛みつこうとした瞬間。
ふん! 小田切の正拳が相手の口に命中して無数の歯が飛び散り、今度こそ相手は完全に白目をむいてピクリとも動かなくなる。
アナーシャの悲鳴が響き渡った。
まったく 何だこのひつこさは・・。
小田切は呆れ果て、男をひきずり車内に投げ捨てた。
久保田ももう一人の男を投げ捨てる。
慌ててエンジンをかけて立ち去ろうとした彼女を久保田が止める。
「な なんなのよ・・早く病院に二人をはこばないと・・」
そんな彼女に指先でポリポリと頬をかきながら。
「いや・・たまにはメールの返事をくれないか?」
何をこんな時に・・彼女は一瞬呆れかえっていた。
「・・そうね、気が向いたらね、、」
それだけをやっと伝えると、夕暮れが迫る山道を脱兎のごとく車は走り去った。
「期待しているぜ・・・」
走り去る車を見つめながら未練たっぶりの久保田である。
二人が振り返ると 道場の窓から太蔵をはじめ、隊員たちが二人を見つめていた。
隊員の彼等は太蔵が決して出てくるなと釘を刺されていたが、流石にいつの間にか窓に何人もの人影が確認された。
道場に帰って来た二人は隊員全員から熱烈な歓迎の祝福を受けて、少し照れくさそうに笑う。
「老師 スキルを使いましたが、宜しかったでしょうか?」
隊員の皆が再び修行開始した時を見かけて、小田切は太蔵に尋ねる。
「ああ 構わん、やる時は徹底的に対応するのが正解だ。あれで少しはロシアも大人しくなると思う」
その解答を聞いて小田切は嬉しそうに頭を下げた。
太蔵としても人の道場に敬意も払わずに、傍若無人の如き喧嘩を始めから売ってくる輩はそれなりの対応をして当たり前と考えていた。
当然あのロシアに対して杭を一本打つつもりでもいたのだ。
少しは考え方を改めてくれればいいが・・・。
「な 何だと! あの兄弟が手もなくひねられて入院しただと!? あの黄色い猿どもがどんな汚い手を用いたのか? 大勢で囲んでおまけに武器でも持ち出したのか! 何だと2:2の正式な戦いだと・・・。本当か? ・・信じられん、あの兄弟を・・」
極東東アジア地区統括のストラバスキーは同行したアナーシャ捜査官からの報告が信じられずに、暫く呆然と電話口で黙り込んでいた。
しかし電話を切り、落ち着いてくると赤ら顔が更に赤くなり、必ずこの借りを返すと各捜査員に号令をかけ始める。
なかなか太蔵等の思惑通りには進みそうにはない。
そんな上司の暴走とも思われる命令指示に帰還したアナーシャは何故か嫌悪感が沸き上がっていた。
悩みに悩み数日後に彼女は一つの決心をする。
彼は太蔵等の凄さを理解していない・・このままでは拙い方向に進みそうだ。
彼女は本国のさる人物につながる直通番号に連絡をいれようと決心した。
それと・・彼女はふと ある男に連絡メールをいれる決心も同時に思い立つ。
あん? 誰だメールなんて久しぶりだぞ・・。
男は半分諦めていた人物からのメールとわかり小躍りして喜んでいた。
その内容は極秘に会って相談したい件ありと かなりシンプルな内容であったが、それをどう読み取ったのか男はかなり曲がった解釈を勝手にしている様子であった。
その男は何日か浮かれた気分で、約束の日の当日に少しめかした服装にて喜び勇んで約束の場所に向かう。
周りの仲間はその様子を眺めて深いため息をついて見送っていた。
次回で【第1部完】とします。
少し休息を入れて第2部『異世界からの訪問者編』を投稿予定になります。
追伸: 【右手にサイコガンを持つ男】を再開予定です。お楽しみに・・・




