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その男 異世界帰り   作者: 西南の風
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M重工に着いた一行は出社してきた2名から完成させたレポートを受け取り、内容確認を始める。


「ふう、男性の村木氏はこのタンクローリーだけを排除させればよいが、もう一人の田畑さんはかなり詳細な報告書になっているな。これがC国に渡る前でよかったよ、ただこの内容はどう変更してもらうのが良いか素人では無理があるな」


昨日案内してもらった主任技師の協力を得て、全面的に書き換えになる。


「えーと 嘘7割に真実3割ですか?」


まったくの嘘は矛盾が出てくる、嘘の中に真実を紛れ込ませるのが正解だろう。

無論その3割は重要な事は当然入ってはいない。


彼が懸命に文章を作成している時に、大宮三等陸尉の携帯には立て続けに情報が入り込んでいた。

大宮氏が懸命に連絡を取り合い指示をだしている時に太蔵の携帯にも連絡が入り込む。


「はい、ああ村田さん。 えっ?不審外人が借りているらしい別荘が判明した!」


昨夜 警察関係の人に この数週間で長期貸別荘を借りた外国人がいないか念の為に捜索をお願いしていた。

不動産屋を中心に貸別荘関連を調べてもらっていたのだ。


依頼のあった店によると、インターネットによる申し込みで店には別荘の鍵を受け取りに訪問したらしい。本人は流ちょうな日本語で日本名を名乗り喋っていたが、時折少しアクセントに癖があったとの事だ。


不景気の折、カードによる引き落としが成立していればおかしな詮索もしていなかったが、二週間の滞在予定でもあり今時分の季節にしては珍しいと記憶していたようだ。


警察の内部にてカードに登録されていた住所の割り出しが開始されたが、その住所によるとさるコインPの敷地内と判明。つまり偽の住所が書かれていた事になる


至急に太蔵に連絡の一報が届いた。


「はい その別荘地の住所は? はい...はい」


太蔵がメモに書きこんだ別荘の住所を大宮氏が携帯にて、連絡している。


「お手数をかけました、その別荘に関してはこちらで調べてみますので今はそちらは動かないで下さい。署長には三橋がお礼を申していたとお伝えください」


電話を切り別室にて皆に今の話を再度報告する。

皆が静かに頷いている、敵の尻尾をつかんだかもしれない。


「...ここから車で一時間もかからない場所ですね 特務班が動いています」


大宮氏が地図アプリからその地点を検索した。


「...どうするんだ老師?」


なぜか久保田がうずうずとしている。


「まずは 大宮氏に入る連絡待ちだな、ほぼ間違いないと判明したら私の出番だ」


「なぁ 俺も連れていってくれ、指示には従うから」

「自分も御供します」


「...老師 危険では?敵は銃の準備も、、」


大宮氏は太蔵の身が心配と、本職?に任せて欲しいとの気持ちであろう。


「実は 昔取った杵柄で 索敵もそこそこ熟すんだよ。それにある程度の距離なら制圧できる自信もあるからね」


索敵に関しては異世界にて叩き込まれ、一人でダンジョン攻略にて動いていた時にも重宝した。


「...まさか火魔法か?あれは派手過ぎて不味いのでは...」


「違う 新別府流の奥義技の一つだ」


久保田を始め3名が何やら理解不能と顔を見合わせていた。

彼等にとって太蔵はまだほんの一部しか正体を見せていなかった。



午前中は偽報告書作りにて時が過ぎる、出来上がった書類と保存したUSBを二人に渡し、特に田畑 に関してはよく偽の報告書を読んで中身を覚え、万一の質問に答えられるようにお願いした。


毎夜9時前後にて犯人からの定期連絡が入ってくる、それに書類の完成した旨を話して欲しい と。

昨夜に続いて盗聴器の対策で迂闊な独り言と太蔵との連絡はメールにてのみ行うよう再度徹底する。


午後の一時過ぎに大宮宛に連絡が入り込む、現場に着いた自衛隊員からの中間報告である。

現場到着から一時間以上監視体制にあり、該当の別荘はカーテンが閉まり内部の様子がなかなか確認できないらしい、だが定期的にカーテンを少し開けて外の様子を伺ってる男がいるとの事。


遠隔監視にて3名は犯人らしき男が別荘内にいる模様。

人質がいるのかは不明との事だ、引き続き辛抱強く監視に入っている。


それと庭先に車が2台停められており、2台とも黒塗りのセダンだが土地が傾斜があり、監視地点が下側になる為にナンバー等の確認は草木が邪魔で出来ないとの事だ。


「...間違いないな」

「うむ 怪しすぎだな」......高弟の二人が頷いている。


後は何とかして家の中の情況を確認したい。


「ふむ 騒動をおこすか」  突然の太蔵の提案だ。


「「「?」」」  


少し演技を求められるが と太蔵は作戦を話し出す。


「うーむ 上手くいきますかね?」


「分からん なれどもう少し様子を見て進捗がなければ、他に手はないだろう?」


小型カメラを窓に張り付ける手もあるが、話に聞けば僅かなカーテンの隙間より毎回外を監視しているようだ、窓の下部にこっそり張り付けても犯人の体により中が映らない可能性もある。


窓の上部なら可能性があるが、上部に張り付けるためにはかなり背伸びをしなくてはならないし、陽により作業する影がカーテンに映る可能性がある。


あーだこーだ と検討は続くが今夜実行するには時間が足りない。


「...やって みますか」


大宮は携帯にて連絡を取り合い始める、一通りの打ち合わせが終わったのか携帯を切り。


「少しお時間を下さい、今準備に入っています」


チラリと時計を確認しながら 一時間後に行動開始となります と皆に伝える。




「待たんか こらー」

「おいこら ふざけやがって覚悟しろ」


静かな別荘地に怒声が響き渡る。

二人の少しガラの悪そうな男が、先に逃げる男を追いかけて山林内に走り込んでいた。


突然の大声が辺りに響き渡るが、生憎この季節は別荘はほぼ無人状態で、響く怒声に対してどの家からもその声に反応する様子はない。


ただ1軒の別荘地のカーテンがわずかに開く以外は。


「た 助けてくれー」


「「待ちやがれ!」」


先に逃げる男が傾斜を上るに疲れてきたのか、足取りが遅くなる。

後ろから追いついてきた二人の内一人が抱きついて逃げていた男を引き倒す。


 ぎゃー、 ゆ 許してくれ!


追いつかれた男に引き倒した男が馬乗りになって拳を何度も振り下ろす。

そのたびに大きな悲鳴が辺りに響き渡っていた。



「...おい 熊切三曹 演技が下手だ、しっかりせんか」


そんな騒ぎよりかなり離れた場所にて ぶつぶつ小言らしき言葉を呟いているのは、この現場指揮を任されている沼田と言う。


手持ちの双眼鏡で騒ぎの三名を見ては、大根役者め と頭を小さく振っている。


「沼田二等陸曹 また少し窓のカーテンが先ほどより開いております」


部下と思われる者から報告が上がる。


「おっと 肝心な中の様子はどうだ、栗山から合図はあるか?」


二人が後方の大きな木に登り、望遠付のカメラを構え家の内部を撮ろうとしている栗山1士の合図確認を待つが動きがない。


 頼むぞ 大根役者共、もっと騒ぎを起こして注意をむけさせてくれ...。


祈るように前方の家の中に居る人物と騒ぎを起こしている3人組を交互に見ていた。

騒ぎを起こしている地点は窓から見て右手斜めに位置しており、カーテンを少し開けただけだと騒ぎの現場が良く見えない地点になる。


何事かと騒動を確認するためには片方のカーテンを大きく開かねばならない、それを遠隔監視を行っている沼田等にとって内部確認が出来るチャンスともなる。


一段と悲鳴が大きく響き、争いの騒動がMAXに近ずく。


 むっ、開いた! 


騒々しさに見張り以外の者がカーテンの片方を開けて二人にて諍いの現場を覗き込む仕草が見られる。

途端に小さな連続したシャッター音が沼田の耳に届く。


 いけたのか?  木の上から撮影している栗山1士に二人が注目する。


騒ぎは終焉に近づく、二人の男に無理やり引きずられ、大声にて許しを願う男の悲鳴とも助けを求める声が少しづつ遠ざかりはじめた。


そんな様子を眺めていた窓際の男二人は納得したのか、荒々しくカーテンを引くと元の静かな別荘地に辺りは戻る。


「栗山 どうだ、見えたのか?」


木から素早く降りて、注意深く田代の横に戻った栗山は嬉しそうに頷く。


「今から確認してみますが、確かに内部に縛られたご婦人の姿を確認しました」


 でかした... 沼田は携帯を取り出す。



「はい 大宮だ、 なに確認ができた! 間違いないか?」


「はっ、カメラの確認作業でも縛られた女性の姿が捉えられています」


 でかした ご苦労!


その言葉に太蔵を始め皆がしっかりと頷く。


「敵の場所が判明しましたか、さて さて」


太蔵はようやく出番と軽く背伸びをした。


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