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その男 異世界帰り   作者: 西南の風
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「それは...お忙しい所を申し訳ないが、少し帰りが遅くなりそうですな、、」


太蔵の言葉が終わらぬうちに表が賑やかになる、警察のパトカーが数台建物に乗り付けてきたのだ。


「おっ 予定より素早い動きだな...」


その呟きと、パトカーのサイレンに反応した二人が挙動不審に陥る。


「さて...それほど時間もないのは此方も同じなのだが、そろそろ正直に話してもらえんかな?推測だが身内の方に何か困った事があるのでは?」


このままでは場所を変えて警察署内での取り調べになると二人に伝えると、もろに二人が動揺の様子が深まる。


会議室のドアがノックされ、警察官が何名か係に案内されて入室してきた。


「失礼ですが 三橋 太蔵さんは何方でしょうか?」


責任者と思われる警察官が太蔵を探している様だ。


「ああ 私です、素早い対応有難う。なれどもう少しだけ隣の部屋にて待機お願いいたします。直ぐにお呼びいたしますので」


それに反応して困惑しながらも主任技師が警察官達を隣室に案内をする。



「さて、もう時間がありませんがまだ白を通しますか?互いに時間がないのでは?」


それに対して女性の方が焦りだす。


「は 話しますので、子供を保護して下さい」


「じ 自分も妻の安全をお願いしたい」


太蔵は必ず約束は守ると頷くと、再度警察官の立ち合いの元事情を聞き出した。



「2人共 身内を人質に取られている。犯人は共に外国人で、場合によっては外交官特権を盾にされる可能性が...」


警察側の責任者で村田と名乗る者が頭を抱えた。

一般の不良外国人であれば対応はどうとでもなる、ただ外交官は基本治外法権となる、彼等の本国が認めれば対応策もあるが、現状を本国が認めるはずがない。


認めれば国を挙げて誘拐に関与したと認める事になる。

どれだけの国際問題に発展するのか一所轄の警察官が出る幕ではないと言う事になる。


彼は一部の望みを抱いて太蔵に縋るような目をする。

彼は太蔵に関しては何も聞かされていない、今回の出動命令も県警のトップから所轄の長に連絡が入り、慌てた所轄の長が待機していた者を搔き集めて現場へ向かい、そこに三橋 太蔵と言う人物がいるからその指示に従え としか聞いていなかった。


まったく訳の分からぬ状態で兎に角最近できた研究所に走り込んで来ただけである。

到着してみると 三橋 太蔵 と言う人物が確かにいた、老人に近い風体なれどその五体からは何とも言えぬ圧迫感と毅然とした態度にて村田等を圧倒する。


その男からの指示で暫く隣室にて待機していたが、やがて呼ばれると太蔵の目の前にいたこの会社の職員と思われる二人からとんでもない話が出てきた。

二人とも身内を人質にとられ、どうやら社内情報の漏洩を迫られているらしい。


一人は研究内容をもう一人はこの工場に荷を運びこむ全ての業者を調べろ との脅迫内容で、いやいやながら身内の安全の為にと頷くしかなかった。


二人に与えられた期間は一週間、その間に報告書を完成すれば人質の返却と同時に多額の礼金を支払う約束が交わされた。


そんな訳の分からぬ金より身内の無事返却が一番となる。

共に残り数日内での報告提出の期限が迫っていた。


「あなた達がこれ以上動くと不味い結果が出るかもしれないので、二人の家から遠巻きに待機していてもらいたい。無論明日からはパトカーでの張り込みは禁止してもらう。都度連絡は私から入れさせてもらうので連絡先を教えてもらいたい。出来る範囲で犯人の追跡をお願いしたいが、相手は外交官ナンバーの可能性が高い、決して無理はしないで下さい」


太蔵は淡々と村田等に説明をする。その説明に何となくほっとして肩の力が抜ける様子が伺えた。

彼等は基本手を出さずに遠巻きの監視が主となる事に残念な思いと安堵の気持ちとが入り混じっている様だ。


「それとこの事は所轄の長以外は決して漏らさないようにお願いします。当然人命に関わりますからね。おっと これは釈迦に説法でしたな 失礼。長には太蔵がそう言っていたとお伝え下さい。尚貴方にはこの後連絡いたしますので署内で待機をお願いします」



警察官が一旦引き上げた後に、再び二人に尋ねる太蔵に観念した二人から次々に情報が集まりだす。


「そうですか、お二人ともほぼ報告書は書き上げている状態なんですね。ならばお手数ですが今夜中に完成して明日その原案を見せていただきたい。自宅付近はパトロールを強化するように連絡しておきますのでご安心を」


その後も簡単な打ち合わせを行い、二人は自宅へと戻る事になった。

太蔵達に付き添っていた副所長と主任技師の二人も当然厳口令が言い渡され、青ざめた顔で 勿論です と約束を交わしていく。


太蔵達4名になった会議室で倉田陸将補に素早い対応へのお礼を電話口で述べると、将補より少し裏話が流れてきた。


「...成る程 県警のトップとは高校時代の先輩・後輩のお知合いですか?道理で素早い対応と感心していました、それでも警察官達の対応はやけに丁寧でしたが...」


無論 県警トップからの指令となれば対応態度も丁寧なのは理解できるが、それでも知りもしない太蔵に何やら特別に気遣う様子も見られた。


「ははは 老師の人物像を国の重要な関係者であると一言付け足しましたからな」


 な 成る程、ある意味国の関係者に嘘はないな と納得した。


所詮 管理社会において県より国の方が置かれている地位無関係は上になる、その言葉に反応して県警のトップも所轄の長に伝言したに違いない。

ある意味 警察と自衛隊は それぞれの立場が違う。


本来は依頼があっても動くのには時間差があるはずだか、互いのトップが知り合いで太蔵が国の重要関係者と聞けば素早い判断があったのであろう。


そのあと帰り着いた警察官の村田に連絡を入れて、二人の家から遠巻きのパトロールをお願いした。


「老師 近くの自衛隊より特殊班の何名かの者が派遣され、それとなく二人の自宅周辺に張り込みます」


大宮が将補と再度連絡を取り合い、顛末を話す。


「うん お手数だが数日お願いしたい」


こんな対応は一般警察官では無理がある、それなりの実地訓練を受けた者でないと見落としや相手の見張りにバレる可能性があるからだ。


「...やはり 近くに敵の見張りがいるものなのか?」


理屈では理解しても久保田には今一頭では疑問に思ってしまう。


「いなければそれに越した事はありませんが、今回の場合はいると思った方がいいでしょう」


大宮の説明に何となく納得した久保田は小さく頷いた。

敵は平和ボケはしていない、それどころか半臨戦態勢の筈だと大宮は語りだす。


ならば目立った警備は逆効果になる筈だ、全ては人質が無事に解放されるまでは敵に不信感を抱かせてはならない。




暫くして大宮の携帯に連絡が入り、自衛隊の隊員が二人の監視に入った連絡が届けられた。

大宮氏が何やら細かい打ち合わせに入っている。

彼に任せるのが一番だろう、このようなケースも過去に訓練を受けてきた人物だ。

この方面には現在一番適した人物と思われる。

辺りはとうに暗くなっていた、太蔵等も町中に戻り予定のホテルに泊まりこむ。




翌朝早めの朝食時に小声にて大宮から昨晩の動向について報告がある、詳細については移動の車の中で改めて聞くが、大きな動きは無かった模様だ。


「...すると、やはり被害者宅の近くにそれらしい人物の監視が?」


「はい、その一軒は古びた空き家なのですが、何やら二階に人影らしきものが確認されています」


被害者宅からは百米近く離れているが、ほぼ監視するには問題ない場所らしい。

精度の良いスコープがあれば大体の様子がまる見えになる。


「ほう 流石だね、餅は餅屋だな・・・・・・」


聞いていた久保田が感心したように手際の良さを褒め称えた。


「いや、それでももう一軒に関しては敵の潜伏場所は不明です。現在それらしき場所の探索中との事です」


「...無理のないように宜しくお願いしたい」


人質の人命第一となる、目立つ動きは出来ない。

太蔵等を乗せた自動車は研究施設に到着した。


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