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その男 異世界帰り   作者: 西南の風
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次回より暫くの間は、2日に一回投稿が出来ると思います。

ようやく何部かストックが出来上がりました。

翌日から高弟の二人は懸命に 魔素回収の技の習得に時間を費やしていた。

二人とも魔素回収においては一応の形が出来ていたが、老師が手本を見せてくれる大量の魔素の出現とその持続に関しては、なかなか捗らなかった。


この間 大宮一曹が何回か道場訪問した、目的は魔素回収容器の選定になる。

通常の密閉容器では自然放出により歩留まりが悪く、色々と開発された容器にて実験が行われているようだ。


それと上京の日程について打ち合わせがあり、今から二週間後のとある日に正式に決まったとの事だ。

本来は電話連絡でも良いものだが、直に伝えに来る。

警戒もあるだろうが、ご苦労な事だと礼を述べる。



太蔵達の連絡係として正式に大宮氏が選定された事も伝えられた。

本来 下士官では役不足と本部でも揉めていたが、太蔵により気心のよく知れている人物である大宮氏を太蔵本人が推して決定した模様である。





「何と この場所はもしかして......」


東京駅に着いた一行4名を迎えのワンボックス車にて運び込まれた先は、時々テレビでも見かける建物であった。


「...ああ 首相官邸で間違いないだろうな」


同行の小田切・久保田それに太蔵と護衛役の大宮は繁々と建物を見ていた。

流石に正面玄関からではなく裏口へ案内されて官邸の中へと進んでいく。




大鐘 達政内閣総理大臣、今回二度目の返り咲き首相として世間を賑わしていた。

前任時代は突発性難病による病気治療により止む無く退任。


今回その難病を克服し、再度総理に返り咲き国民からの人気も高い。

前任時に達成できなかった憲法改正にもメスを入れ、その行動力と世界の重鎮達とも対等に渡り合える行動力と実績を築きつつあった。


「大宮君 座っていたらどうなんだ」


応接間とも思われる場所に案内され太蔵等3名はソファーに腰かけていたが、大宮だけは頑として座らずに彼等3名の後ろに護衛役としての姿勢を正して立ち尽くしていた。


「いえ 自分はあくまでも皆さんの護衛役として命じられておりますので」


彼の顔からは強い意志が溢れている。太蔵はそれ以上は語わず、先方の到着を待っている。



「いや 待たせて申し訳ない」


突然に扉が開き、TVでも何度となく見た人物を先頭に何人かが入ってくる。

大鐘総理に 重松防衛大臣 稲盛事務次官 そして総合幕僚長である大滝にSPと思われる者が数名最後に入って来た。


気さくな感じで大鐘総理は太蔵達に微笑んでいた。

太蔵達は立ち上がり初対面の挨拶を交わすと全員が席につく。


「うん? 君は確か......」


重松防衛大臣が太蔵の後ろで姿勢を正して待機している大宮に気づく。


「はっ、自分は今回老師達の案内並びに護衛の命を受けた大宮と申します」


かなり緊張した様子が態度からも感じられる。


「おお 君が大宮一曹か。ある意味今回の影の功労者と報告を聞いているよ」


大鐘総理が大宮を見てしきりに頷いている。

今回の発端は老師と大宮との接見から始まったと報告にも書かれてあった。


「いえ、自分は単に老師のメッセンジャー役として......」


突然の総理による直接な言葉に狼狽えた大宮であった。


「ははは、謙遜はいらない。後日この件にてそれ相当のお礼はするつもりだよ」


総理は大滝と稲盛の二人に目配せを行い、それに二人がしっかりと頷いていた。

そんな様にまたもや慌てだした大宮である。


「所で三橋老師、誠に申し訳ないのですが魔法と魔素をここにおられる方々に披露してもらえませんか?無論魔法の攻撃はなしでお願いしたいのだが」


大滝総合幕僚長が何ともいえぬ顔で太蔵にお願いする。

後に判明したが総理自身が特に強く希望されたとの事であった。

 

それに苦笑いしながら、太蔵は腕まくりをして掌をぐいっと突き出した。

掌に突然と火球が浮かび上がる、初見の者たちから驚きの声があがる。


暫くの間その燃え上がる火球に皆が息を止めて見つめていた、やがて静かに火球は消え去りその代わりに大気の中に光が屈折した大きな球が現れる。


「「「おお 確かにそこに何かが現れている...」」」


魔素による出現にまたもや皆が騒ぎ出した。

警備役のSP達も驚きに目を剥いている。

大鐘総理はその様子をしっかりと眺めて大きく頷く。


「...これが我が国を変える切っ掛けになるのだな」


総理は現実を踏まえてその先を読み始めたのだろう、彼は未来の日本を考え始める。

太蔵はその後いくつかの質問に答え、一息ついたところで稲盛事務次官が口を開いた。


「研究所にてこの魔素に関して中間報告が上がっています。正体はやはり太古よりこの地球に降り注いだ宇宙線の一種であろうと結論が出そうです。それと少し特異点があります、この魔素と呼ばれる物質は圧が加わると集合体となり互いに引かれ始めてまとまりだす特性があるようです。しかも、その圧に比例してエネルギー威力が増加するとの事です」


それに関しては太蔵も同じような感覚をつかんでいた。

素に近い状態にて投げつけても火球は弱々しく移動して目標物に当たり燃え上がるだけだが、経験的に圧を加え少し小さくした火球は放出時にかなりの勢いで目標物に飛んでいく。

当然対象物に当たった時の爆発力もかなりのものになると、体験上で経験している。


「...それはどの程度加圧したらどうなるのか詳しいデーターはあるのかな」


防衛大臣の興味はその一点に絞り込まれた様だ。


「最終結果は今だ出ていませんが、速度・威力のエネルギーはほぼ加圧前の倍に比例するとの事です」


つまり素の状態を1とすれば2気圧で速度・威力が倍になると事務次官は説明する。


「えーと 例えば10気圧にて縮めると元の10倍の威力になると?」


「違います、最初の2気圧ではそうですが、3気圧では2気圧での威力の倍になります」


「......それはもしかすると」


「はい、常に前の威力の倍・倍に変化することになります。10気圧では確か素の状態の500倍前後の速度と威力になる計算です」


「「「...何と!!!」」」


「もっとも実際には放出する距離が遠く成れば成る程空気抵抗もかかり、魔素自体の自然減衰により計算式通りにはなりませんが、それでもかなりの威力が発生するのは確かです。おっと、倍になる理屈は私に聞かないでください。現在科学者達もその解明に追われていますので」


「...つまり 砲弾のように圧を加えて密閉された方式が一番効果を発揮すると」


「はい、そのように考えてもらえれば良いかと」


「...なれど応用はかなり広範囲に渡りそうだな」




「...老師、よくは解らんがとんでもない物質と言う事か?」


久保田が何を言っているのかよく解らんと匙を投げ小さな声で隣の太蔵に尋ねる。


「...ああ 大変な物を見つけたのかな?」


太蔵も今更ながら 魔素 に対しての認識を新たにする。


「ふーむ してこの応用展開はどの程度可能なのだろうか?」


総理もあまりの手ごたえに顔がにやけている様子が見られる。


「残念ながらそこまでの研究はこれからです。なれど圧注入の方法が安定して行えるのならほとんどの武器が改良可能になるのではと科学者達も興奮しています」


それぞれがそれぞれの立場にて、思考を巡らせているようだ、皆が急に黙りだして空を見ながら色々と頭の中で想像しているようだ。



「...三橋老師、大変な発見に感謝いたします。後はぜひ安定供給に向けての方法をご検討下さい」


大鐘総理がこれからの協力は惜しまないと確約して、一旦総理官邸から退席する事になる。




「なぁ 老師、あの発見でどれだけの金が動くのだろうか?」


久保田は何となく大金が動きそうだと感じたのだろう。


「下品な事は言うな、お前は場所を考えろ」


小田切が久保田に釘をさす。


「ははは まぁ楽しみにしておればいいさ。それより帰り際の大滝さんからの一言が気になるが」


大滝総合幕僚長は、帰りしなに明日から色々忙しくなると思いますが宜しく との挨拶にも似た一言が何故か気になっていた。

当然あのような報告を聞けばそうならざるを得ないが、何か近々起りそうな気配がある。


それは太蔵達だけではなく、帰りの新幹線の車中で気を抜くことなく周りの気配を気にする大宮一曹も同じように巻き込んでいくことになる。


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[気になる点] 「...三橋老師、大変な発見に感謝いたします。後はぜひ安定供給に向けての方法をご検討下さい」 いくら国の為と言っても、三橋さんに対価の話が全くでないのはどうかと思う。ただでこき使う気…
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