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その男 異世界帰り   作者: 西南の風
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「...自分に何をさせたいのですか?」


やっとの思いで出た言葉は老師に尋ねる質問であった。

そんな質問事態が大宮のどっちつかずの態度を現わしていた。


一般常識か国防か その最終判断が大宮にはまだ出来ていなかった。

ある意味当然とも思える発言である。


真の軍人としての国防を優先するなら、先に老師が問うた 暴発と跳弾問題から解決しようと思うだろう。

場合によってこれが我が国の国防UPに僅かでもつながる可能性があると考えるであろう。

理由だけでも先に聞いて判断しようと。


こんな考えは階級が上のクラスに任せればよいと考える者には、そもそもこの場に立ち会う資格などない。

また一般常識だけに囚われて考えをやめる者達も同様である。

大宮一曹はこの時点ではまだ自分の考えに揺れていた。


「それに関しては先程も申しましたよ。今見たことを我が国の現状を憂いている、それなりの地位のそう国士的な考えをお持ちの方をご紹介頂きたいと」


 国士的な考えをもつ上官を...。

 

その言葉につい自分の過去を懐かしく思い出していた。

大宮は若き頃 自衛隊にてレンジャー資格をとり、部隊に戻り暫くするとさる上官から特殊部隊への試験を受けてみないかと打診があった。


レンジャー訓練に置いて試験官達から、各項目に置いて優秀な成績を修めこの人物ならさらなる上位組織への推薦が所属部隊長まで報告があがった。


部隊としても名誉な事で、是非試験を受けてみてはと打診が入った。

その部隊名を聞いて驚いた、 特殊作戦群 別称特戦群と呼ばれ、日本において特殊部隊として草分けの組織であり、その存在自体が秘密に包まれている。


大宮としてもその存在自体風の噂程度にしか聞いていない。

説明を聞いた当初は驚きに包まれたが、体力・武術及び行動判断力に関しては自負があり、特戦群に対して並々ならぬ興味をいだく。


是非とも受けさせてもらいたい と希望を述べて半年後の試験に備え日々努力を重ねる大宮である。

全受験者での合格率が1割とも3割とも漏れ伝わる難関に見事半年後に合格する事が出来た。

その後数年間は特戦群において徹底的にしごかれ、特殊部隊としての責任・実力を身につける。


海外への研修にも自費で参加した事もあり、この組織での配属後国守としての意識が高かった数年間であったか、やがて組織から卒業し武術特技の指導官として一般組織に戻る。


各地の駐屯地を経験するも、年齢と共に次第に国守の情熱も薄れてくるのは仕方ないことである。

特技指導官として入ったばかりの新卒自衛官や幹部候補官への技術指導を通し、親しくなった者が何人も居る。


そんな意味では、特に幹部候補官の中に真に我が国を憂い日本の先行きを心からどうすれば良いかと考えている者を何人も見てきた。


この基地におけるトップ 倉田将補は良くは知らない、2年前に副旅団長の飯島一佐の後に赴任してきた人物だ、評判的には 昼行灯と どうもとらえ所の無い人物だが、飯島一佐は縁がある。


大宮が 特戦群 時代の上官であった。当時一尉であったが、よく面倒を見てもらった恩人でもある。

飯島が赴任してきた折、再会を祝い個人的に酒宴に誘われ仲でもある。


 うむ 相談を持ち込むなら、飯島一佐だな...。


その前に まずは疑念から解決せねばならない。

大宮は小さく息を吐き、太蔵を見据えた。

最悪の警察事に関して動く前に、老師に説明を求めてみよう と。


「...確かにその人物については心当たりがありますが、自分としてはまずは老師の今回の行動と先程の不可思議な現象について説明を求めます」


太蔵はその言葉を待っていたかのようにニコリと笑顔になると、まずは道場にてゆっくり説明しようと先に歩き出した。



「...待って下さい、先程見せて頂いたのは 魔法の一種だと?!」


「うむ 現実的には魔素が私の知っている物とは違うが、魔法の一種と捉えて間違いない」


この老師は何を言っているのだ、私に魔法を信じろと? もしかして老師は正常な判断が出来ずに誇大妄想狂または精神に異常があるのか?

そんな大宮の心の底を見通している太蔵である。


「ははは 信じろと言っても急には無理でしょうな、その疑念に答える為にももう一つお見せしましょう」


太蔵は着込んだ服の腕をまくり、何も仕掛けの無い事を見せていた。


「私の掌に先程説明した 魔素 その物をお見せする」


そう言って太蔵は掌を広げ、少し念ずる振る舞いを行い、すーっと 掌を大宮に突き出した。


「?!」


目の前50センチ程に老師の掌がある、しかし意味の分からぬ大宮は戸惑っていた。


「良くお分かりになりませんかな、大きさは...ドッチボール程の円形です。中心部ではなく、外輪付近を良く見て下さい」


言われた通リ外輪と思われる周辺に注視してみた。


 うん? これは一体...。


ようやく老師の言わんとした事が理解した、光の屈折率によるものか外輪と思われる空間が僅かに歪んでいる事を。


そう 例えるならガラスの金魚鉢を正面から見る分は変わりがないが、端になればなる程中の金魚は大きさを変えて、場合によっては姿が見えなくなる。

正にそんな光の屈折率が起こす現象が、何も無い老師の掌にて再現されていた。


「な なんなのですか、これは...」


歪んだ光は確かに老師が言うドッチボール程の輪を作り上げていた。


 ほほーう  二人の高弟も頻りに感心していた。

 この 二人にも見えているのか、私の目が可怪しくなったわけではないのか


ふっと 老師は気を抜いたと同時に光の外輪が消え失せた。


「今 お見せしたのが 魔素 です」


「ま まそ ですか?」


「はい 魔素 です。言わば魔法の元になる物質です」


「ま 魔法の元の...魔素?!」


信じられないものを見たと大宮は半ば呆然としていた、それでも頭の片隅では高度な手品?の疑惑が今だに払拭されていなかった。


「先程お見せしたモデルガンの威力はその魔素が作り出したものなのです」


 何と!そうかそこに話しが継って行くのか...。


大宮はようやく少し原理が解った気がした。


「…その魔素なる物が 弾代わりと?」


そうだと 太蔵は嬉しそうに頷く。


 いかん…何となく老師マジックに乗せられているのでは、、。


再び大宮は冷静になれと自分に言い聞かせる。

老師は まだ納得していないか と苦笑いしながら小首を傾げる。


「まだ納得しておられないようですので、もう一度実験を行いましょう」


老師は空のマガジンを用意させた。

その中身を大宮自身にて確認させ、その間老師は再び魔素を作り出す。


「…今説明したとおり、私の合図にて上下の蓋を閉じて下さい では…」


宮田はおずおずと空のマガジンを老師の言う魔素の中に差し込んだ。

その様子を高弟の二人もじっと見守っていた。


「…よし 上下の蓋を閉めて」


その言葉に反応して大宮は慌てて上下のマガジンの蓋を閉める。


「ふむ 上手くいったみたいだな..」


続いてモデルガスガンを手渡して、再度仕掛けが無いか確認させ、マガジンをガンにセットしてもらう。


準備が出来た事を確認した太蔵は飛んでもない事を大宮に指示した。


当面一週間に一回の投稿予定になります


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