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その男 異世界帰り   作者: 西南の風
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3 


太蔵は仲間の紹介の前にある魔道士らしき女性の前に座っていた。

彼女は鑑定スキル持ちと紹介される。


太蔵がこの世界に召喚された事により、特殊なスキルが授かったのか鑑定するとの事。

何か分からぬ呪文にも似た言葉を発しながら目の前の女性の目の色が変化し始めた。


初めての体験にて 何事 と興味津々の太蔵が相手の目を覗き込んでいると、突然にその女性が横に置いてあったメモ帳らしきものに記入し始めた。


残念ながら言葉の壁は翻訳機があるが、現地文字に関しては判断出来ずに只彼女の動くペン先を眺めているだけだ。


なれど初めて見る現地文字は太蔵には興味以外の何者でもない。

彼女のペン先が一連の仕事を終わらすまで食い入るように書かれている文字を見つめていた。



やがて全て書き終えメモ帳に手を当てまたもや何か呪文を唱えだす。

次は何なんだ?!  若いと言うことは好奇心の塊でもある。


メモ帳が光に包まれなんともう一枚メモ帳が出現する。

手品…いやそんな事をしてなんになる、まったく同じ文字が書かれているのが突然にもう一枚出現し2つの紙に何か違いがないか真剣に見比べてみた。


どこを探してもアラが見つかるはずもなく、完全に複写されていると断定する。

便利かも知れない このスキル欲しいとつい思い込んでしまう。


目の前の彼女は一枚は太蔵の控えと手渡しして、残りの一枚は保管すると説明してくれた。

うーん 友達のノートを書き写す時にこれほど便利なスキルはないと 太蔵はつい思っていた。


あっ 済まないがこの文字は読めないので、出来れば説明して貰えれば助かります…。


彼女の説明をペンを借り日本語で書き込んでいく。

今度は彼女が興味深く覗き込んでくる。

書き込み終えた文面を改めて読み返してみた。



 三橋 太蔵  17歳


 レベル      1

 体力     103/150

 敏捷性     77/110

 魔力      59/ 60 

 知力      88/ 90


 スキル  

 体力強化  Lv.1  ( +30% )

 火魔法     Lv.1

**** ****


: 発展スキルあると考えられる。現状不明。



 ・・何だ? この数字の羅列は? ははぁ 何となく分かるな。最大値と現状かな?

 まだ転移からの完全回復が図れていない状態なんだな。


 おっ 魔法が使えるのか! 是非とも使い方を教わらねば。

 体力強化も便利そうだな、自分に合っているスキルかも。

 もう一つ何かスキルが覚えそうな気配があるな、、。


 所で この数値は一般的な数値と差異はないのだろうか?

 他人より特別優れているとか反対にかなり劣っているとか・・

 やはり少し気になるよな。


その辺りを尋ねてみると隣で案内してくれた例の魔法使いの女性が控えの紙を見ながら教えてくれた。


「・・この数値はごく平均より少し優れていると思う、だが敏捷性は優れている。体力強化のスキルは通常のスキルより倍程効率が良いな。魔法は少し数値が低いが、只異世界人はレベルアップ時の数値上昇が驚くほど高いので左程最初は気にする必要は無いと思う」


 そうなんだ、そのレベルアップとやらを楽しみに稽古を重ねればよいのだな。


部屋から出て同じ様に召喚された仲間との引合せに向かう。




「おう もう動いて大丈夫なのかい」


休憩室らしい部屋に案内されると二人の人物が談笑中で、今朝太蔵の様子を見に来てくれた田嶋氏が目ざとく太蔵を見つけ声をかけてくれた。


「はい 田嶋さん、今朝は有難うございました」


改めてお礼をいいもう一人の召喚された人物を紹介してくれた。


「うむ 宜しくな  岡田 聡 と言う」


岡田氏は田嶋氏より何歳か上の年齢とみかける。


「では 私はこれで、後はお二人宜しくおねがいします」


案内役のギティさんはそう言って部屋から出ていった。




「まだ体が本調子では無いだろう?座って話そう」


田嶋氏の勧めで三人はテーブルに向かい椅子に座る。


「かなり混乱しているかと思ったが、意外と落ち着いているね」


岡田氏が感心したように太蔵を見つめる。

彼の服装は田嶋氏と違い魔道士の服装に近いが色は黒ではなく白くて教会の高位の人が着ている感じに近い、よくは知らないが…。


「はい 正直驚きより、怒りのほうが強くて、、」


「ああ なる程、、」


両氏が顔を見合わせて頷きあっている。


「但し その怒りは私達以外には見せては駄目だよ。当面猫をかぶった生活をしておくれ。その日がくるまで辛抱だ」


「はい 田嶋さんにも注意されました」


「うん 所で今だ不明点が山盛りだと思うけど、私達でわかることは説明するよ」


その言葉に甘えて兎に角現状把握に務めるべきと思いつくことを尋ね、この世界の仕組みを教えてもらい、これからの身の振り等を指導してもらう。


「えーと こうですか ステータスオープン?」


不思議な言葉を唱えると目の前に透明状の板版が出現する。


「おっと 本当に出た、、」


「はは それは他人には見えないからね 安心して見ればいいよ」


一通り疑問点を聞き終えた後に、身の回りに関する事に移り、自分の常に最新版の情報を知る方法を教えてもらう。


先程鑑定士により貰った紙と見合わせて透明の板版と比較して納得した。


「そうだ よければその紙を見せてくれないか、君の適性を検討しよう」


二人は太蔵から鑑定内容が書かれた紙を受け取ると、ああだこうだと話し合う。


「うーん 魔法剣士? 敏捷性から言うと索敵も候補か?」


「・・君は何か得意な運動があるかな?」


運動系は得意だな、どの分野も人より優れているつもりだが、ああ球技はあまり好きではないな。

人並みにこなすが得意と言うほどでもないか・・。


「ううーん その中で特に得意な分野は?」


「・・古武道でしょうか、、」


「「えっ?」」


二人が驚いたように顔を互いに見合わせた。

そりゃそうだよね、今の昭和の現代で古めかしい古武道術など通常人は見向きもしないからな。


「その 我が三橋家は代々新別府流古武術の総元でして、、」


「な なる程、言われればこの環境で取り乱さず常に冷静に事を構えているのにも納得する、、」


恐らく幼いうちからそのような精神修行も行ってきたのだろうと、二人は自分達と比べてはるかに精神的に安定した様子を見せる太蔵に納得したようだ。


「そうか 最初から随分落ち着きのある子だと思ったが、、、」


田嶋氏等が自分が転生した当時を思い浮かべて頷いている。


「いえいえ 決して落ち着いているわけではなく・・」


「いやいや謙遜しなくともよい、私など当時混乱の極地だったもの」


「西も東も分からぬ高校生がこれほど落ち着いているのは普通ありえないからね」


両氏が改めて顔を見合わせて再度頷きあう。



特殊な環境下ほどまずは冷静になれ と祖父からも散々教え込まれてはいたが、それ程一般の高校生と比べて変わっているのかなと太蔵も少し考え込む。


「ならばだよ、剣や体術には自信があるわけだね?」


「はぁ まぁ人並み以上には・・」


「これは頼もしいな…今日は無理だが、明日に立ち会ってもらえるかな?」


田嶋氏の目が少し光っているのが気になるが・・。




休憩室の近くに新たな太蔵のための個室が用意されていた。

今後はこの部屋が太蔵が暮らしていく自分だけの部屋となる。


太蔵の少し先に城の兵士達の食堂があるので、ここで好きなだけ(主に黒パンのみ)食べて良いそうだ。

昼飯も食べ損ねたし早めに三人で夕食となる。


豆関係と野菜の炒めものに塩スープに黒パン、、。

文句は言うまい、腹が膨れるだけ幸せと思わねば。


部屋に戻り食堂で分けてもらった容器いっぱいのお湯にて体を拭いて早々と硬いベットに横になる。

さて 明日からどうなるのか、今は体力回復に努めよう。



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