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その男 異世界帰り   作者: 西南の風
27/235

27  帰還編 

済みませんが 当面一週間に一回程度の投稿になります。


「お兄ちゃん 大丈夫、具合悪いの?」


 うん…誰だ 子供の声? 誰が具合が悪いんだ・・えっ?!


太蔵は反射的に跳ね起きると辺りをキョロキョロ見渡した。

周りには小学生低学年と思われる子供が数人、急に太蔵が動き出して驚いた顔で見つめていた。


「ここは この公園は?!」


「だ 第3公園だよ・・」


太蔵の勢いて押されて公園名を教えてくれた。


「第3公園か、そうか・・帰ってきたんだ」


子供たちはポカンと太蔵を見つめる。


「ああ 有難う 起こしてくれて」


太蔵は座り込んだ体勢で子供達に頭を下げた。


「「うん」」


子供達は嬉しそうに頷くと、また公園内に遊びに戻っていく。


「そうか、成功したんだな・・」


尚も座り込んだ状態で辺りを見渡して安堵の息をついた。


「さて 家に帰らねば祖父達が心配しているだろうからな」


立ち上がった瞬間ガチャリと鳴る金属音に気づいた。


 あっ 剣を下げたままだ。警察に怒られるな。


苦笑いをしながら、腰にぶら下げている魔法袋に収納しようとしたが、何回行っても剣はその位置から無くなる事はなかった。


 そうか…この世界は魔法がつかえないんだった。


背中には機能を失った軽減籠がある、とりあえず此の中に入れて隠すか だが剣の方が長い、中に入っている服で飛び出している部分を覆って見えない様にした。

着ている服も問題だ、田嶋氏の館で借りた服を見にまとっていた。


「これは仕方ないな、家に帰り着けば解決だ」


この現代では違和感のある服だが、裸よりはマシだろうと無理やり納得する。

さてと 立ち上がると懐かしい家に向かい始めた。


「うん? 少し見知らぬ家が建っているな」


半年ちょいだが、東京は日々景色が変わる。古い物が取り壊され新しい建物が増えていく。

この下町も例外ではない、半年ちょいの期間で建て替えられたのだろう。

何となく道も綺麗な道路に変わった気がする。


大筋では太蔵の知る景色だが、よく見ると少しづつ変化がある。

懐かしい景色を眺めながら裏路地に進む。


やがて太蔵の家が見えてくる、帰ってきたと言う実感が湧き上がる。

だが何となく雰囲気が違う…そうか門が一部変わっている。


門は引き戸でかなり古く、当時から開閉に苦労をしていた。

それが綺麗なアルミ材にかわっているのだ。


 おう 立派になって…。


軽く開くアルミ材に感動しながら中に入り、玄関口のガラス戸を大きく開く。


「ただいまー 太蔵かえりました」


大きな声で帰宅の挨拶をした。

奥の方からばたばたと数人の足音が聞こえてくる。


「「太蔵か?!」」


父と祖父の懐かしい顔が現れた。


「はい 太蔵元気に帰り着きました」


呆気にとられて二人が太蔵を見つめていた。


取り敢えず居間に移動して仏壇に手を合わせ、半年の不在を先祖に詫びる。

そして改めて二人に半年の不在を詫びて頭を下げた。

二人が少し怪訝そうな顔をする。


目の前にいる二人は老けた気がする、一人息子が突然居なくなり心労が老けた理由だろう。今後は苦労をかけてはいけないと心に誓う。


ふと気になり尋ねた。


「お姉ちゃんは学校ですか?」


二つ違いの姉は太蔵が幼くして亡くなった母の代わりによく面倒を見てもらった。

その姉の姿が見えない。

短大に通っていた姉は元気なんだろうか、つい気になり尋ねた。


「そうだ珠江に連絡をとらねば・・」


父が立ち上がり電話のある部屋に移動した。

連絡を取る? なんかしっくりこない言葉に首を傾げる太蔵だった。

やがて父が戻り祖父に報告する。


「本人と連絡が取れました、至急こちらに向かうそうです」


連絡がとれて 此方に向かう? 誰か友達の家か?


「それで長い間、お前は何処に居たのだ?!」


祖父の顔が厳しい、当然だ。だがこれから話す事を信じてくれるだろうか?

不安があるが、話さなければ先に進まない。


「済みません 所在不明になったこの半年ちょい 実は・・」


「少し待て 先程から半年 半年と言っておるが何の事だ?」


突然の詮索に言葉が一瞬詰まる。

何の事とは それこそ何なんだ? 所在不明になったこの半年の事に決まっているが。


「・・お前が突然居なくなって ほぼ5年が経過しておるが」


はい?! 親父殿 急に何を言っているのだ 5年? 何を言い出すのだ?!


「お前が心配していた 珠江も結婚して子もおるぞ」


なんだ?! 悪い冗談か、いやこんな冗談何の得が?

今度は太蔵が呆けていた。理解が追いつかないのだ。



「・・そこのカレンダーを見てみるが良い」


 そうだ カレンダーだ  どこにある?!


 あった 日めくりカレンダーが! 6月14日?!

 まて 俺が召喚されたのは 5月の10日前後の筈だ。

 一月しか経っていない?! いや 違う年は 何年だ?!


 1975年?! …… 確か今年は1970年の筈だった・・


完全に呆けている太蔵がいた。


「・・何があった 最初から説明してみよ」


祖父の言葉に 何も言えずただ黙ってカレンダーを見つめていた。


「・・新聞は 新聞は何処にあります?」


太蔵の言葉に何を確認したいのか察した父親だった。


「ふむ この座卓の下に読みかけの・・」


父が先程まで読んでいた新聞を引き出し、太蔵に渡す。


それをひったくる勢いで太蔵は受け取り、日付欄を凝視した。


1975年6月14日と書かれていた。


「・・最初から説明してみよ」


祖父は再度太蔵に問う。



突然玄関を乱暴に開け放つ音がした。


「太ちゃん 太ちゃんが帰ってきたの?!」


大声が家中に響き渡る。 懐かしい姉の声だ。

ドタドタと音を立てて足音が向かってくる。


「太ちゃん!」


姉が居間にとびこんでくるなり、太蔵を見つけて抱きついて泣き出した。


「太ちゃん 何処に行ってたの?5年もの間!」


抱きついてきた姉の背にはキョトンとした表情の可愛い赤ちゃんが背負われていた。


「・・姉さん ただいま。心配かけました」



家族4人が久しぶりに揃った。

太蔵はこの半年に起きた事を順に説明し始めた。

3名は説明し終わった後も一言も言葉を発しなかった。


事の大きさをどう自分なりに消化するかを考えているのであろう。

ようやく祖父が口を開く。


「信じられないような話だが、嘘はあるまい。その怪しげな服も理解できるが、ただもう少し何か証拠の品があれば出してみてくれ」


証拠の品と言われても着の身着のままの逃避行でこれと言う品など…。


おうそうだ 軽減籠の中に、あれがあった。

太蔵は玄関横に置いてあった背負籠を取りに行き3人の前に置いた。


「さほどよい剣ではありませんが、現地で私が使用していた剣です。それと現地で使用していた金貨類もあります」


剣を祖父の前に 金貨のはいっている小袋を父の前に差し出す。


「ふむ 西洋型の直刀剣(ソード)か」


祖父が剣を引き抜き確かめる、暫くながめていたが僅かに顔をしかめた。


「うわー 綺麗な硬貨」


姉が父が取りだした各種硬貨を眺めて感想を呟いた。

金貨・銀貨・銅貨と何種類かの硬貨が計二十枚ほど入っていた。

この世界の何処を探しても出てこない硬貨である事は間違いない。


祖父と父が互いの品を交換して、再度品を眺めている。


やがて二人共納得したのか深い溜息を吐いた。


「なるほど お前の話が真実である事は間違えないであろう。なれど奇天烈な話であるな」


「魔法のある世界と言っておったが太蔵は使えるのか?」


「現地では火魔法等を使用しておりましたが、残念ながらこの世界では再現出来ません。そうだこの袋ですが」


腰から外して皆の前に差し出す。


「これは一見単なる革袋のように見えますが魔法袋と言いまして、現地でも非常に価値の高い品です。この袋の中に500キロ以内の重さであれば収納できる便利袋です。おまけに重量は一切なくなります。つまり500キロの重量物を腰にぶら下げて歩き回れるという事になります。残念ながらこれも此方の世界では利用は出来ません」


今現在は何も入っていないと袋の入り口を広げて逆さにしてみせる。

すると中から黒い何かが3つ飛び出してきた。


「うん? 何が出てきた・・」


魔石だ。何故残っていたのだ? 転移魔法を作動する時にすべてを取り出した筈だ。

…もしかして 収納限度いっぱいに魔石を詰め込んだ時になにかの拍子に魔法袋内に傷でもついてそこに魔石が引っかかったのか?


良くはわからないがそれに近い事が起こったのかも・・。

父と祖父が魔石を手に取り珍しそうに眺めていた。


魔石か、魔力の塊だからな、まてよ!


残っている1個の魔石を手に取ると左手の中に包み込んだ。

魔力を体内循環させてみる。


 できるぞ!! 姉さんそこを少し退いてくれ。


 火魔法 火球!


太蔵の右手人差し指の先に野球のボール大の火球がメラメラと出現した。

3人が何事が起きたと見つめていた。


 これが魔法です そしてその威力は


太蔵は庭にある小さな池にめがけて火球を投げ捨てた。

火球が池に到着したと同時に水が飛び散り物凄い水蒸気が発生する。


「なんだ あの威力は・・」


「まだ序の口です 本気になればかなり大きな魔物を焼き殺す事も可能です」


「あれが 魔法・・」


「はい 私の得意な火魔法です」


姉の子が火魔法を見てキャ キャ喜んでいた。


「・・父さん 小さな小袋ありませんか? この魔石が入る程の大きさですが」


「あらこの匂い袋どうかな?中身は入ってないよ」


姉が自分の手提げ袋の中から取りだした。

その匂い袋の中に一番小さい魔石と金貨1枚を入れ込んで姉の手に握らした。


「姉さん 赤ちゃんのお守りです」


「あはは 彩ちゃん おじさんからの異世界土産だよ 良かったね」


おじさん・・そうか 確かにおじさんだ。

太蔵は納得する。



済みませんが 当面一週間に一度程度の投稿になります。

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