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煙効果が薄れてきたが構わずに洞窟の奥に入り込む。
「誰だお前は! 」
正面に数名の男と女が一人引き立てられて盾代わりになっている。
ちっ 女を人質にとったか…
「誰だと聞いている! 好き勝手しやがってふざけた野郎だ」
「…女を離せ」
「馬鹿野郎 そうはいくか、お前こそ武器を捨てろ 女を殺すぞ!」
「そうだ 早くしろ」
手下と思われる男が女に剣を更に突きつける。
「どうした? 早く捨てんか!」
ひぃー 剣を首筋にたてられ村娘が悲鳴にならぬ悲鳴を上げる。
「…仕方ないか」
太蔵はゆっくり剣を斜め前方になげすてる。剣が落下してガチャと金属音をたてた。
男達が投げ捨てた剣の落ちた場所を確認する為に一瞬目を離した。
「へへ…馬鹿め あん?消えた…」
親分らしき男とその手下の二名が今まで目の前にいた男が突然消え失せ呆然としている。
ぎゃー!
突然手下が女を投げ捨て自分の首筋を押さえ駆け出す。
何を騒ぐと手下のほうに向いた親分の胸に短刀が深く突き刺さる。
見事 心の臓に深く突き刺さっていた。
「お お前…どこから」
無論転移魔法のお陰だ。
それがその男の最後の言葉になった。
ゆっくりと大地に崩れ落ちる。
前方に首筋を押さえながら駆け出した手下も力なく倒れ込んでいく。
「…爺さんから首の血管を切られた者は駆け出すと教わったが、本当なんだな…」
血管を切られて走り出せば早く血が流れるが人は駆け出さねばならないみたいだ…。
「「「兄さん 大丈夫か?!」」」
三人組がまだ息がある野党の始末をしながら此方に向かってきた。
「おう 兄さんがいた」
「うむ 逃げ出したのはいたかい?」
「ああ 怪我をしながら懸命に逃げ出した奴が3名だ。無論始末したよ」
「そうか ご苦労さま。後洞窟内を調べてみようか」
まずは目の前で人が死んだ事により腰を抜かしているこの女性を助けねば。
「大丈夫か、起きれるかな?他に捕まった人は何処にいるのかな?」
「兄さんこっちだ!何人か縛られているよ」
計5名の女性救出となる、その後野党が溜め込んでいる品々を全部外に出してお宝の点検となる。
「たいしていい品は無いね、お金がそこそこと食料品関係だけだね」
剣や鎧も戦利品で売れる。
太蔵は回収した中から剣をすべて確認していた。
「これもナマクラ これもだめ こいつもか…」
出来ればいい剣が欲しかった、長い間魔物と戦い持っている剣も寿命に近づいている。
「お兄さん これ頭目が持っていた剣だけど、なかなかだよ」
剣を受け取り確認してみるとこの中では一番マトモな剣と思われる。
「ふむ 予備の剣でもらっていくか…後はスキにしてもいいぞ」
もうすぐ目標の魔石も溜まる、今更お金や品などあまり興味がない。
「やったね!おい回収だ」
三人娘は喜び勇んで品を馬車に運んだ。それなりに馬車内が戦利品で埋まる。
野党退治のご褒美は戦利品の回収となる。
救出した娘にも手伝わせて皆が村へ移動開始となる。
衰弱している2名が馬車に乗り、後は皆歩きで村へと急ぐ。
移動する太蔵の横からエルザが横に張り付き離れない。
「お兄さん 無茶強かったね。おまけにこんなに戦利品を貰い申し訳ないよ。ねぇ今晩お礼をたっぷりさせてもらうからね」
それを聞きつけたエリナが駆け寄る。
「エルザ ずっこいぞ。無論私もお礼をするからな」
空いてる片腕にしがみついてきた。
「おーい 誰か森から来るぞー」
見張り番の村人が森から移動してくる太蔵達を見つけて大声を出す。
村人が続々集まりだし、まだ遠くて確認出来ない人影を必死に見つめていた。
「おっ 娘達だ 何人も居るぞ!救出されたんだ!!」
とたんに村人が大歓声を響かせる、その声に攫われた村娘達が手を振って答えた。
その夜は太蔵達の歓迎会が大規模に行われる。
娘も食料も帰ってきたのだ、嬉しくないわけはない。
飲めや歌えやの最中に太蔵の手をとって一軒のあばら家に入り込む三人娘であった。
リクエストにお答えして太蔵も初めての殺害を忘れたい勢いで三人に挑んだ。
朝目覚めた時は太蔵に三人の裸娘がしっかりしがみついていた。
静かにその場を抜け出し、服を着て顔を洗いに井戸に向かう。
まだ朝が早い、昨夜の宴会で村人達も深い眠りの中にいた。
「おはよー早いね…」
いつの間にか服を着たエルザが太蔵の背中に抱きついた。
「ねぇ お兄さん、私達の男になってくれない?私達懸命に稼ぐよ どうかな?」
嬉しい誘いだが、この世界にいつまでも居られない。
「嬉しい提案だが、俺は遠い国からの旅人なんだ。もう少ししたら国に帰らねばならないんだ」
「…そうなんだ 仕方ないか 今回は本当にありがとネ、いい男と出会えて幸運だったよ」
エルザが寂しそうに笑っていた。
やがて他の二人と村人達も起き出して朝食の準備が始まった。
なんだかんだと戦利品の品定めに昼までかかっていたが、そんな中村から応援の依頼に出ていた村人が走り込んできた。
討伐隊が明日にも到着すると言う知らせを懸命に走り村人に伝える為に。
三人娘から明日もう一度例の洞窟に討伐隊と行くという。
あの野党共が賞金首の可能性が高く、場合によってはかなりのお金が稼げる可能性があるからだ。
ならばとここで別れる事になった、皆の見送りを受けて太蔵は村から出ていく。
ひと目がなくなった時に転移にて再度ダンジョンの入口に移動した。
「さて 本来の仕事にもどるか…」
太蔵は気を引き締めてダンジョンに入り込んだ。
ダンジョン内で数日間魔石回収をしていた時に、それは突然きた。
「あれ 袋に魔石が入っていかない、もしかして…」
逸る気持ちを落ち着かせて太蔵は慎重に袋内の魔石を出したり入れたりしたがやはり何個かどうしても魔石が袋内に入っていかない事が判明する。
「やった…袋内が魔石でいっぱいになった…」
待ちに待った瞬間が来た、500キロの魔石が回収出来たのだ。
念の為もう半日ダンジョンで粘り魔石を回収すると軽減籠に詰め込みダンジョンの外に出る。
外は夕闇が迫っていた、太蔵はやり遂げた達成感に浸っていた。
念願の目標がようやく叶ったのだ、満足感に満ちた気持ちで転移を繰り返し、懐かしい首都の門に到着する。
閉門ギリギリに中に入り込む、田嶋・岡田氏の屋敷に訪問したいが夜も遅いし正確な場所も知らない。
今夜は異世界での最後の宿屋を味わう事になる。
次の朝かなりゆっくりと起床する、もうすぐこの異世界ともお別れとなる、
久しぶりにステータス板を呼び出して内容を確認する。
無事に日本に帰り着けばこの不思議な力がなくなってしまうのだろうか…。
恐らく魔力に関する事はもう絶望的であろう、祖国に魔力など存在しないからだ。
レベル47か、この並外れた力も無くなるのは少し寂しいが仕方ない。
もともとチートな力なのだから…。
ひとしきり眺めて数値を記憶して太蔵は起き上がる。
遅い朝食を済まし田嶋氏の屋敷を調べなくてはならない。
色々人に聞きながら貴族街を用心して歩く、一般人は基本立ち入り禁止地区になるからだ。
なんとか田嶋氏の屋敷にたどり着いたのは昼前の事だった。
胡散臭そうに見る門番に何とか頼み込んで取り次いでもらう。
ここで俺を追い返したら後でお前が叱責されるぞと 半分脅しも入れた。
一人の門番が慌てて屋敷内に入り、やがて誰かと屋敷を出てきた。
「おっ 田嶋さんだ!」
久しぶりの対面に互いに笑顔が出る。
田嶋氏に案内されて屋敷内に入る、メイドに風呂の準備をお願いする。
とりあえず熱いお湯を何よりかぶりたかった。
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