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その男 異世界帰り   作者: 西南の風
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上級ダンジョンで太蔵達は地獄の特訓を繰り広げていた。


太蔵達に残されている日数は限りがある。

勇者達のグループがいよいよ魔王対決に向け行動を開始するとの情報がもたらされたのだ。

勇者達の予備役として太蔵達も至急レベルアップに全力を向けねばならない。


アレックス氏によるとこの1・2ケ月がヤマではないかと予測している。

勇者達はどれほどのレベルになって魔王達と対峙するのか気になる点でもあった。

兎も角太蔵等三名はレベルアップに向けダンジョン内を魔物を求めて移動していく。



一週間ぶりの帰還となった。

懸命なレベルアップを目指してのダンジョン生活により3名とも+4程度の向上が見られた。

太蔵も30を超したときに新たに新スキル獲得を思わせる項目が増えた。


恐らくは次のレベル40時には何かしらのスキルが追加されるものと思われる。

後+6上げられれば新規スキルとご対面出来るだろう。


汚れた体を簡易シャワーにて洗いベットに転がり込む。

ラーシャは野暮用で暫く席を外している。

 少し休憩しなければ…。

そう考える間に深い眠りに着いていた。


「あら 眠ってしまったのですね」


遅ればしながらラーシャが部屋に戻り、眠り込んでいる太蔵を覗き込んでいた。

夕食時に起こすべきか、それともこのまま明日の朝まで寝かしておくべきか考え込んでいる。


結果暫く様子を見ることに決定すると、万一に備えて夜食の手配を済ませようと再び部屋の外へ出る。

ラーシャは医務室にて定期診断を受けていたのだ、有り体に言えば妊娠しているか否かの診断である。


その結果は 白 つまり妊娠は今だしていないとの結論が出た。

その結果に半分は落胆と半分は太蔵の元から離れることが延びた事に感謝していた。


妊娠が確定となると太蔵の元から離される事になる。

表向きは母体と赤子の安全の今後の為に隔離生活をする事になる。

そして太蔵には新しい女性が送り込まれる。


そんな事はこの任務説明時に担当者より散々聞かされ本人も当初納得していのだが、この所気持ちがかなり激しく動いている自分自身に気づいていた。


このまま太蔵とこの世界で暮らしたい、もしくは太蔵の住んでいた世界に付いていきたいと心の乱れが出てきた自分自身に半分驚いていた。


無論現実はどちらのケースも無理な注文とは理解していた。

太蔵が此方の世界に留まる事になっても自分は二度と太蔵とは対面すら出来ない環境に追いやられ、後者の場合は任務不履行として自分だけの不始末として咎されるだけでなく、両親にも当然その罪が押し付けられるのが目に見えているからだ。


そして半年以内に妊娠しない場合も強制的に退場となる。

八方塞がりの状態であると深い溜息が出てきた。太蔵の付き人としてもう三ヶ月近く過ぎた。

まだ期間は残されているが、欠して長い期間ではないと思う今日この頃である。



「…おっ 眠り込んだのか」


ラーシャが万一に備え夜食を準備して部屋に戻ってきた、その微かな異音で太蔵は目を覚めた。


「御免なさい 起こしたかな」


ラーシャは夜食のトレーを机に置き、夜中に目が覚めた用意に先に夜食を持参した事を告げた。


「それは有難う でも少し寝たら気分も良くなったよ」


寝ている太蔵を覗き込んでいたラーシャに礼を言いながら、太蔵はベットの体の位置を少しズラしてラーシャの体を招き入れた。

一週間ぶりの激しい抱擁を交わす二人はやがて互いの体に持たれあいながら静かに寝息を立てていた。




「太蔵君 朝食の後に少し話しがあるんだが…」


朝の朝食会場にて田嶋氏等と同席している時に、何か陰に含んだ口調で相談される。

ならば後で部屋に伺うと太蔵は平静を繕いおうように答える。


彼の口調から()()に関する事かもしれないと感じていたのだ。

絶対他人に顔色をこの席で変えてはいけないと、周りのテーブルにいる者達をそれとなく観察していた。

あの()の息のかかった監視が絶対ないとは言えないからだ。



「実は()()に関して一つ情報がある」


岡田氏の部屋に集合した三名がコソコソと小声で話し合う。


「魔道具の存在を知っているだろう」


魔道具自体はこの世界で便利な物として認識している。

各自の部屋にもある夜間照明のランプにも似た魔道具がお馴染みな品だ。


「ええ 魔法のこの国において貴重な品ですよね」


「実は魔道具自体この国では色々な品があるのだが、この魔道具作成時に効果を増幅させる機能を持つ仕組みがよく用いられているんだ」


「…もう少し細かく説明してくれ」


田嶋が説明している岡田に注文をつけた。


「つまり…」


この世界の住人は全て多かれ少なかれ魔力を体内にて発生できる。

なれど人によりかなりその程度は激しく、魔力量に違いがある。魔道具はそんな人による魔力量の大小に関わらず発動出来るように細工がしてあると言う。


僅かな魔力の流れを適正な魔力量となるように魔石を組み込んでフォローしている仕組みだ。

これにより魔石内の魔力量が無くなるまで魔道具は動かす事が出来る。


「…魔力量の不足を魔石でカバー出来ると?」


「そうだ 無論使用する魔石には大きな魔石は直接魔法陣を書き込めるが、小さな魔石はその代わりに符魔紙にて代用しているらしい」


「…えーと 何となく理解できるのですが、もう少し具体的に」


「例えば 火の魔道具に火球の魔術を送り込めば効果は何倍にもなり現れると言う事だ」


無論火の魔法なら何でも良い訳ではなく、予め特定の魔法に反応する様に符魔紙に書き込まれている。

つまり符魔紙に書き込まれた魔術ならば何でも増幅反応するのだ。


「…つまり送りの符魔紙を入手出来れば」


「「より強い送りの効果が現れる?」」


大量の魔石を隠し持ち送りの魔法に反応させれば不足した魔法量が魔石から補填される?!


「その結果 無事に目的地まで転移出来る?!」


太蔵の顔が希望に輝き出した。


「理屈はそうだ なれど問題点もある」


転移魔術自体極めて極秘な魔術扱いの為符魔紙が一般的に入手困難。

更に不明点であるが、先に極秘扱いと言ったが世間的には名は知る者は知っている、それは他国でも同じ理屈である。


他国でも転移魔法は存在しているが、何故か渡りは出来ずこの国だけが出来る事だ。

同じ転移魔法でこの国が出来て、他の国は出来ないその理由が判明しなければ先に進めない。


再び三名は深い考えに落ち込んでしまう。


「…例えば単純に座標軸の問題では?」


太蔵が沈黙を破り発言をする。

転移魔法がどのような仕組みで当初開発されたかは不明だが、理論を実際に行う場合に人はまず近場の良く知っている場所に移動を試みる筈だ。


最初からとてつもない場所に移動しようとは通常は考えない、もしかしてとんでもない場所に誤転移したら後々大問題になるし、場合によっては生死にも関わる。

つまり行きたい場所をマーカーしなければ転移魔法は恐ろしくて使用出来ない。


「…その理屈は分かるが、ならば地球、いや日本をどうやって見つけた?!」


再び三名は黙り込む。



当面一週間に一回の投稿予定になります


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