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その男 異世界帰り   作者: 西南の風
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今回より題名の一部変更をしました。


魔物を狩るラーシャの悲壮感に何かを感じて理由を太蔵は尋ねた。


だがラーシャは恥だからとなかなか肝心な事に関しては話したがらない。

無理に聞くような事ではないかもと太蔵もそれ以上は追求しなかった。


二日間のダンジョン探索が終わり一旦城へと帰りだす。

この二日間でラーシャはレベルが16→18へ二つ上がる事が出来た。


本人もかなり喜んでいる。

この世界の住人はなかなかレベルが上がらず上がっても数値の上昇は少ない。

近衛兵となっての二年間は暇を見つけては仲間とダンジョン探索に明け暮れたが思うようにはレベルが上がらなかったと教えてくれた。


 うん? 何故だろうか。


その理由をラーシャは教えてくれた。

一人にてダンジョンに入ることはまず無いと言う、ラーシャのレベルなら初級ダンジョンでなら一人でもなんとかなるが、中級ダンジョンでは危険性が上回りリスクが高すぎる事。


最低でも同レベルの者が3・4人にて組んで入る事になる。

皆がある程度平等的に経験値が稼げることが前提なので、なかなかレベルを上げる事が困難な状況。


それが今回太蔵がフォローに徹しており、ほぼこの二日ラーシャが一人で魔物に対応した事により、普段では考えられない経験値を稼ぐ事が出来たとの事だ。


その上これはあまり公になっていないが、異世界人の精を受け入れた者は通常よりも少ない経験値にてレベルアップが可能になるらしい。

無論異世界人のレベルアップの上昇とは比べ物にならないが、この世界の人々に比べれば1.5倍程アップ速度に差がでるとの事だ。

 

 なる程 これはまだ他にももしかして特典?があるのかも…。


太蔵は説明を聞きながら二日ぶりの城へと足を急ぐ。


城に到着するとラーシャが魔物の魔石を精算してくると言うので、太蔵もそのシステムを理解するために同行してみた。


1Fの片隅に冒険者ギルドの出張所の出店があり、ここで休日に兵達が魔物を退治した魔石を中心に買取りをしているらしい。


ラーシャが軽減袋から大量の魔石を提出して、周りから注目を浴びていた。

一人分としてはかなり多い魔石数になる。

今までは太蔵は田嶋氏等がこの売却に関して行ってくれていたので、よくこのシステムが理解出来ていなかったのだ。


後日金額だけを受け取り仕舞い込んでいたが、あまり使うこともなくかなりの金額がいつの間にか貯まり込んでいた。


三食居住付きそれと武器・鎧等も支給となれば取り立てて使うこともなく過ごしていた。

将来勇者メンバーの一員になった時に、必要ならより好みの武器や鎧関係を買い込む資金にすると田嶋等に聞いていたので、一応貯める方針にしていた。


太蔵も今回自分で回収した魔石二十個ばかりあり、ついでに換金してみた。

それなりの金額を手に入れ軽減袋へと投下していく。


そのギルドの一角に送金受付の場所があり、ラーシャが何事か係の者と話し合い、今受け取った金額の全てを何処かに送金する手配をしていた。


離れていた場所で漏れ伝わる会話の一部が聞き取れる。

どうやら親元に送金しているような会話と思われる、それと今回だけではなく過去何回となく送金しているような様子がギルドの係員との会話の端々で推測された。


確か彼女は下級貴族の出身だと聞いていたが、親元の経済状況が何か問題があるのかな?ぼんやりと太蔵はそんな事を考えていた。


全ての手続きを終えて太蔵の待つ場所にラーシャは戻ってきた。


 お待たせして申し訳ありません と彼女はすまなさそうに謝った。


なんの 大した時間ではない。では部屋に戻ろうと二人は歩き出す。

自分の部屋にて着替えてくると 途中でラーシャと別れて太蔵は自分の部屋に帰り着く間際に近くの部屋から扉が開き田嶋等二人が顔を見せた。


「おう お帰り、そろそろ帰ってくる頃だと思っていた。後で相談があるので寄ってくれないか?」


着替えや簡易シャワーでさっぱりしたら寄りますと二人に言うと自分の部屋の鍵を開けた。



シャワーで身を清めのんびり着替えをしていたが、ラーシャはまだ遅くなりそうなので机に書き置きを残し腰の軽減袋に貴重品だけを詰め込み鍵をかけずに外に出る。


田嶋氏の部屋をノックするとドアが直ぐに開かれ彼が現れた。


「おう 早かったな、入ってくれ」


部屋には二人以外はおらず、恐らく付き人の彼女は場を外すように指示されたようだ。

中に入り適当な場所に座り込み、ラーシャとのダンジョン攻略が暫し話題になったがその話しが一段落すると本題に入る。


「これから先の話しはあくまで不確定話になるのでそのつもりで聞いてくれ…」


場の雰囲気が軽い緊張感に包まれ始めた。


「数日前にまた召喚の儀式が行われたようなのだ」


なんと 新たに日本人が召喚されたのか!

太蔵は驚きの中で事の成り行きを聞き逃すまいと岡田氏からの説明を待つ。


事の情報網はアレックス氏からであるとの事だ。

この儀式に参加している皇女の護衛役代理としてその場に居たとの事、本来はこの儀式にはアレックス自身過去に数回の参加しかしていない。


ほぼ毎回決まったメンバーによる儀式となり、かなり秘密性の高い儀式からして当然の流れかも知れない。

そして今回はやや様子が違っていた、今回は魔道士役として女性の召喚が成され、無事にその儀式自体は成功したのだが召喚による荒技の為か、その女性は精神に多少問題が発生していたらしい。


意識が回復した後にも精神的に混乱が収まらずに、まともな会話が成立せずに ただ帰せ 国に帰せ の一点張りに叫び廻り、目の表情もとても正常な人としは疑問が残る状態であったらしい。


元々が3人に1人の成功率でしかない無茶な儀式である、場合によっては今回と同じような症状を起こす事も過去に何例かあったようだ。

何度かの説得の果にこの状態ではとても無理と判断されて女性を送り返す事に決定した。


この送りの儀式にアレックスは警備役代理として参加していたのだ。

無事にその女性は送りの儀式にて元の場所に転送された。


だが若い時分に数回儀式に参加していたアレックスには一つの疑問が浮かんでいた。

翌日の食堂にてその儀式に参加していた馴染みの魔道士にアレックスは、周りの様子を確認しながら隣にいたその男に小声で質問をした。


「なあ あの儀式だが、私の知っている前と比べて魔道士達の数がかなり少なかったようだが…」


その魔道士も注意深く辺りを伺い、ゾッとするような視線と嫌な笑いを浮かべながら小さく呟く。


「ふっ あの()()に人数は必要ないとの事だ…」


その言葉にアレックス氏は冷水を被せられたような悪寒が全身に走った。


「つまり…送りの時には常に同じと考えても、、、」


やっとの思いで言葉を選びわずかに震える小声で再度質問をする。

それに対して顔なじみの魔道士は他言無用とばかりに、自分の唇に人差し指を当てごく僅かに頷く仕草をし、それ以上何も喋らず静かに食事を続けるのであった。




「それはつまり…()()の儀式と()()の儀式ではそれを行う魔道士の人数が異なると?」


「…送りに関しては左程魔力が必要としないのですか?」


田嶋氏と太蔵が矢次に質問をする。


「それに関しては前に魔道士として召喚された人に質問した記憶がある、あの人は自分はあの儀式に参加した事なく詳細は不明だが、理屈から考え何方も同程度の魔力が必要な筈だと語っていた」


「…その人とは先に亡くなった大槻氏の事なのか?」


岡田氏は静かに頷き、中空を鋭い目つきで睨んで固まっていた。



当面一週間に一回の投稿予定になります


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