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その男 異世界帰り   作者: 西南の風
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異世界人以外の子供はこの場合必要ないからだ。

そう田嶋は言い放った。


それに関してこのような件に鈍い太蔵も理解した。

万一他の男の種を宿して付き人として派遣され、妊娠した事により生まれた子は当初は異世界人のハーフとして国からも莫大な援助を受けて育てられる、長じてハーフとしてその血を受け継いでいないと判明してもそれはそれで仕方ないことなのだ。


つまり日本人とのハーフは全員が全員その力を発揮する訳ではないからだ。

ハーフの約6割しかその力を発揮していないのがこれまでの結果である。


そんな子は国より最終の一時金が支払われて一旦精算となる。

現実的には12歳までが最終確認期間となる。


これは悪用しようとすれば、とてつもない利益を受ける事が可能になるからだ。

好きな男の種を宿し、異世界人とのハーフだとして育てるだけで一財産を作り出す事になる。


よってその身の潔白に関しては前もってかなりしっかりした検査にて証明が必要となるのだ。




ここまで聞いて太蔵は唸りだす。

本人としても理屈では理解しても何かが引っかかって決心がつかないのだ。


田嶋の言う事は良く分かるが、簡単に割り切れる問題ではない、無論田嶋等のようにそれはそれ これはこれと割り切れる男も多いだろう。


だが太蔵は何か違うと感じている。

それが若いもの特有な一途な考えと思われても否定できない。

苦し紛れに質問を投げかけてみた。


 彼女を付き人と認定してその様に扱えば問題はないのでは?


つまり付き人の待遇で接するが、行為に関しては後日でも良いのではと尋ねてみたのだ。


軽い笑いと共に否定された、程度問題ではあるが、おそらくは聞いた範囲では一週間が限度であろうと。

女性であるから当然月のものが訪れる、それを考えても一週間が目安となる。


それ以上行為に及ばぬ事は付き人が好みではないと判断される可能性が非常に高いと。


八方塞がりか…。太蔵は思わず天を見上げる。

一旦自室に戻って再度話し合ってみるか、太蔵はそう思い田嶋の部屋から自室に戻り着く。


鍵はかかっておらずドアを開けると先ほどと同じ様に椅子に座り少し気落ちしているラーシャの姿がそこにあった。


部屋に太蔵が戻ってきたと認識して、ラーシャは両手を机にあて勢いよくたちあがった。


「すいません 遅くなりました。申し訳ない…うぷっ」


勢いよくラーシャが太蔵にしがみついてきたのであった。

その勢いに思わずたたらを踏む太蔵である。


 よかった… 確かにそう呟いて太蔵に強くしがみついた。


今度は太蔵が慌てだす、抱きつかれて軽いパニックになっていたのだ。


「落ち着いて下さい 兎に角もう一度話し合いましょう…」


そう言って彼女を一旦引き離そうとその肩に手を置いて異変を感じた。

彼女の肩が小さく震えているのを…。


 な 何があった、もしかして泣いているのか?


抱きついている彼女の横顔を注意深く見つめる。

その横顔は必死に泣くまいと堪えている様に見える、なれど太蔵はその目から僅かに溢れる涙を見つけ、ようやく事の次第を思いついた。


 そうか 彼女は一人ここに残されて不安だったのだな。

 しまった、言葉が足らずに彼女を不安にさせてしまったのか…。


言葉が足りず一人この部屋に残された彼女の心境を察したのである。

逃げるようにこの部屋から飛び出した太蔵の行為を不審に思わないはずがない。


好きでもない男に裸体を見せ、子を宿すことが目的で派遣された彼女はどれほどの覚悟でいたのかを、遅蒔きながら太蔵にも理解できた。


どの様な事情で彼女が応募したのかは不明だが、太蔵が彼女を気に入らないと判断したなら、場合によっては一生嫁ぐ事も出来無い可能性もあるのだ。


この部屋で一人残された彼女の頭の中は任務に失敗した時の不安に満ち溢れていたであろう。

太蔵はなかなか帰って来ない、負の思いが溢れて当たり前だ。


突然の太蔵の帰還にそんな負の思いが一気に消え去り、安堵感に変わり思わず抱きついてしまった。

そう 当たらずとも遠からずであろうと判断した。


暫くは落ち着くまでこのままにしてあげよう。

優しく彼女の体を抱きしめて泣き止むのを待つことにする。


まさに彼女は太蔵の予測通りほぼこの任務を諦めざるしかない思いで満ちていた、今後の自身の身のふりを考えれば考える程不安しかなかった。


なれど太蔵は待たせた挙げ句、優しい言葉を投げかけてくれた。

普段の自分には考えられないほどの感情の豊かな流れが襲い、思わず彼に抱きついてしまう。


いつの間にか安堵感から彼女の目から涙まで流れ出していた、そんな彼女も暫くすると己の行った軽はずみな行為を思いだし冷静さを取り戻しつつあった。


 どうしよう はしたない女と軽蔑されるかも…。


抱き合っている?二人はそれぞれが少しずつ冷静になってきた。

ここで太蔵の身に問題が生じてくる。

冷静になればなる程に意識が違う方面に働き始めた。


太蔵はあまり女性に免疫がない、ましてや惚れ惚れする程の美人で抜群のスタイルを持っている女性が今自分の腕の中にいる。


さらに先刻その彼女の裸体を見ているのだ、つまり彼は健全である意味普通の高校生と同じ様な反応が自然に自分の身に起きようとしていた。


体の一部が自然に硬直し始めたのだ。

それに気がついて意識すればするほど元気になっていく。


 やばい 落ち着け落ち着け…。


彼は真っ赤になって意識を別の方面に向けるべく努力をする。

なれど若く健全な彼は俗に言う 無駄な努力 をしているだけであった。


そして彼に優しく抱かれていた彼女も、


 こ これは話しに聞いているあの状態ですよね…。


彼女も貴族出身であり、それなりの教育は受けてきている。

男が今どの様な状態に陥っているのかを耳年増ではあるが理解していた。


 えーと この先どうすれば…。


彼女もまた軽い錯乱状態になり横目でチラリと太蔵の横顔を覗う。

結果的にこれにより彼女は再び少し余裕が生まれてきた。


覗き見した太蔵の横顔は茹で蛸の如く真っ赤に上気し、懸命に理性を保とうとあぶら汗を流しながら耐えている姿であった。


 あっ 懸命に堪えているんだ…。


自分よりテンパっている姿を見る事により少し落ち着きを取り戻し、ようやく本来の目的を思い出す。


 そうだ 私は彼より年上なんだからもう少し落ち着かなければ…。


太蔵を見かけの通り自分より年下と認識した彼女は、お姉さんとしての立場にたっていた。


彼は彼で自分の手に余る現状の成り行きに困惑していた。

互いの体を離せば良いと理性ではわかっていても、何故か本能がこのままで居ろと反対している。


 こ 困ったが、もう少しこのままでもいいかな…。


彼は当初から彼女を見た時に年上だと認識している、年上の女性が持つ安心感に少し甘えている自分を情けないと思いながらそれを完全否定する事なくそのままで耐えていた。


そんな様子を伺っていた彼女は小さく震える声で彼の耳に囁やく。


 ベットに 行きましょう…。


その声を聞いた瞬間に太蔵は完全に理性を失ってしまった。



当面一週間に一回の投稿予定になります


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