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【御礼】
お陰様で100部を無事書き終えました。
今後ともよろしくお願いいたします。
その後太蔵一行はダンジョン内の魔物を全て刈り取る勢いで倒していく。
大量の魔石が必要な事と各自のレベルアップに追われていた。
上級ともなると太蔵も狩りに参加するしかない。
5名は恐ろしいペースにて毎日最下層を目指していた。
特に太蔵は一日が終わっても安全エリア内にて片手間仕事が待っていたのだ。
これまでに集めた小さめの魔石を多数結合して大き目の魔石に変換する作業に追われていた。
こうする事により、店で売りさばくときに価格評価が上がり高額な金額になる。
数日に一度ダンジョン内から近くの都市に転移して、その代わりに必要な部材を購入してくる。
皆に一番喜ばれた物はやはり魔法袋であった。
上級ダンジョンに於いては少しでも身軽に機動力を保つ必要がある。
生存率を上げる為にもあれば嬉しい一品となる。
最終的には一人一つの魔法袋を与えることが可能になった。
但し容量的には最低クラスの百キロ用ではあったが、、
これでも一袋500万以上はする値打ちがある。
太蔵の持っている5百キロ用は数千万する品であった。
個人用の魔法袋にそれぞれが管理する品を保存できるのは有難い事である。
これまで5名の荷と共通の荷を太蔵の魔法袋にて納めてきたが、何かあればその都度出し入れするのもかなり手間がかかっていた、それを分かっているから皆が遠慮して我慢するのもなかなかストレスが高まる事であったのだ。
遠慮せずに自分の思いついた時に気ままに出し入れできるだけで、皆のストレスはかなり減っていった。
「さて、そろそろダンジョンにの最下層に到着するな。これで泣いても笑ってもこの世界での最後のお仕事になるぞ、皆気を抜かぬようにな」
この最下層のボスはレッドギーガー かなりの暴れん坊で有名なボスである。
なれどこのダンジョンに籠もり一週間以上、順調にレベルを上げてきた5名の敵ではなかった。
散々太蔵達にいたぶられてボスはその姿を光の中へ消えていく。
「作戦完了だ 皆ご苦労様」
皆の顔が清々しく笑顔が浮かぶ。
長いダンジョン生活にピリオドが打たれたのだ。
最終レベル確認すると太蔵が50 田嶋氏43 岡田氏42 小田切は待望の30 久保田が29までそれぞれが上昇していた。
ボス部屋の魔方陣にて地上に戻りつくと夜も更けていた。
今夜はダンジョン前にて野営して明日野暮用を片付ける予定であった。
しかし 少しだけその予定が狂おうとしていた。
夜間に訪問者があったのだ、それも完全武装の城兵達であった。
彼等の殺気はかなり前から太蔵により気付かれていた。
お陰で寝込みを襲われる事にはならなかったのだ。
「お前たちは 前日城から逃げ出した犯罪者とその仲間であるな?大人しく観念せい!」
30名を超える兵達が一斉に槍を突きつけた。
「どうやってここを?」
「甘く見るな この国全てに手配が回っておる。不審な者が居ると網にひっかかったのだ。抵抗すれば殺す」
「ふぅーん 少しはまともに仕事をしていたのか・・だが少し人数が少なくないのか?」
「ふん 俺が居るからな。これでも多いぐらいだ」
暗闇から一人の男がゆっくり現れた。
この声は・・太蔵は少し緊張が走る。
「田川さんか?」 誰かが呟いた。
「おい 田嶋 岡田 悪あがきは止めるんだな。うん?残りの3人は・・もしかして」
「そうだ 日本人だ」 太蔵が答えた。
「何だと? どうなっているのだ、最近召喚などは・・・」
信じられないと目を向いて驚いていた。
「・・お前等 もしかしてどこぞの国から派遣された召喚者か?」
「ま まさか隣国からではないでしょうか?最近召喚に成功したとかの話も・・」
「馬鹿な あれはネタ話で決着がついておる。本当であれば有無を言わさずに軍を動かしておった」
「そうはいっても現実に彼等は異世界人の様に思われます」
「うるさい 全員捕まえれば済む事よ・・」
「相変わらず傲慢な男ですな」 太蔵は静かに微笑んだ。
「なんだ、この爺は?大人しくしないと殺すぞ!」
途端に強い怒気が辺りに広がりだす。
「どうだ 我が魔力にあてられて動けまい?」
「成る程 流石に凄い魔力の縛りですな・・」
「お前、、まだ動けるのか?」
「一騎打ちを希望します・・」
「正気か 爺め?儂が誰か知っておるのか?」
「確か 領地なしの飾り子爵様と・・」
「・・死ね!!」
素早く魔法の詠唱が始まった。
同時に太蔵が田川に向けて走り込む。
「ちっ この爺、意外と素早い!」
詠唱を中断してその場より大きく飛び下がる田川だ。
「儂を単なる魔導士と勘違いするな・・くそっ」
高速で振り下ろされた刀を特性の魔道杖にて受け流した田川である。
なれどその後に第二 第三の剣技に思わずたたらを踏んだ田川であった。
「何だお前!ただの爺ではないな?」
「ふはは 慢心は怪我の元ですぞ」
太蔵は笑いながら更に剣の速度を上げる。
「く くそ!少し待て・・ちっ 甘く見過ぎたか、、」
素同士の戦いでは多少以前は押され気味の太蔵であったが、剣を持たせれば立場が逆転した。
持っている技の豊富さは相手より数枚上である。
「お前等何をぼさっとしている、加勢せんか!」
途端に弾けるように兵が太蔵に集中する。
「よし 時間稼ぎが出来た・・詠唱開始だ、、よし くたばれ??」
(体力強化!) 小さく呟いた太蔵は押し寄せる兵を躱して物凄い速度で田川に接近した。
(ひっ! いかん殺される・・)
恐怖に田川の顔が凍り付いた。
もの凄い衝撃が田川を襲い 彼は弾き飛ばされて気を失う。
彼は魔法を発動する間もなく左肩に衝撃を受けて倒れ込んでいた。
たちまち辺りは凍り付いて誰も動ける者がいなくなる。
レベル70を超す田川がほとんどなすすべなく倒されていたのだ。
「峰打ちだ 死んではおらぬ。まだやるか?」
兵達は慌てて数人で田川を運びだし、全員が逃げ出していく。
「「凄い戦いだった 太蔵君・・」」
「「老師 お見事です」」
元貴族たちは呆気にとられ 高弟達は喜びの声で迎えていた。
「骨は砕いておいたが、高級ポーションでつながるだろう」
太蔵は他人事の様にその成果を皆に報告していた。
「それにしても田川氏は我流の動きしかできなかったようだが・・」
「ああ それに関しては聞いた事がある、レベル60を越したあたりから彼は魔法をあまり使わずに弱い魔物は全てあの杖や拳で倒すのが趣味になっていた様だ」
「・・なぜ その様な事をしたのでしょうか?」
「さて? 単に後方からの魔法に飽きたとも 暇つぶしだとも噂では流れてきたが・・」
「・・単に圧倒的な体力と反射速度での戦いを面白がっていた節がある・・」
なれどレベル差に物を言わせての攻撃も繰り返されることにより、自然といつしか体に覚えさせてそれなりの使い手に成長したと言うのが現状らしい。
「確かに特に拳や蹴りはどうしても空気抵抗により減速されていくが、剣は空気を切り裂き杖術は本来受けて突くことが目的であるので、それぞれの特徴を鑑みて上達していくが彼は残念ながら真摯に習ったことが無かったのかも知れませんね」
「・・レベル差だけの攻撃に慣れていたのかな?」
全員が何んとも言えぬ顔で困っていた。
「マリーお嬢さんをお願いします。爺が来たとお伝えください」
商会の裏手にまわり奉公人の一人に小粒の金を握らせて太蔵は待機していた。
あのダンジョンの後から野暮用を済ませたり、魔石の換金にて都市を何箇所か巡る。
一つの都市で大量の魔石を処分するには目立ち過ぎた。
前回はそれで悪目立ちし過ぎたようだ。
お陰で大して苦労なく小さめの魔石や合成した魔石の転売も終えていた。
上級ダンジョンでの大き目の魔石だけでもかなりの量をまだ抱えていたが、これは全ては地球への転移補助として用いる為に残してある。
「あっ いつぞやのお爺さんですね」
「おう これはこれはお久しぶりです。今日はよい話をお持ちしましたぞ」
裏口に現れた女は太蔵を見て嬉しそう微笑む。
太蔵は元男爵オカダ氏の親戚筋が見つかったと彼女に報告を始めた。
家業が忙しく今は此方にはお邪魔できぬが、後日必ずこの都市を訪問してお子を見てみたいと。
それまで母子が健康であるための手助けとして 此方を受け取って欲しい。
彼女は受け取った小袋の中身を見て驚いて、受け取れないと返そうとした。
「いえいえ その方は昔オカダ氏のご両親から並々ならぬご支援を受けて、その恩義に報いたいので遠慮せずに受け取って欲しい と頼まれております」
そう言って 太蔵は再度その小袋を無理やり手渡した。
彼女は躊躇っていたが最後は 有難くお預かりします と受け取ってもらえた。
太蔵は白金貨5枚の金子を再度手渡してその場から立ち去っていく。




