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その男 異世界帰り   作者: 西南の風
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その翌日に首都から一番離れている上級ダンジョンへと5名は移動した。

何かあった場合に備えて少しでも首都より離れる事で皆が納得したのだ。

転移を3度繰り返して到着した。


魔法袋に入っている魔素結晶をつかえば一度にて移動できるが、帰還の為に保存してある。


食料等を買い込んでダンジョン内での生活は4日目になっていた。

ここは地下45階層まであるダンジョン内となる。


流石の5名でも上級は伊達ではない。

中間層の25階の安全エリアにて宿泊準備をしていた。


この所昼間は魔物を追い回し、早めにエリア内に到着しては皆で帰還方法の検討をする毎日であった。




「・・そうよな、これまでの情報を何度も検討するが、転移魔法は場所の認定が大事だと言う所が最大の転移条件になる。つまり同じ景色であっても、自然は成長するし建物は古くなる。常に最新の景色を思い浮かべなければ時間のずれが発生して違う世界・・パラレルワールドか?そこに迷い込むと考えるべきなのかもしれんな」


魔導士でもある田嶋氏がそう言いだした。


「今一不自然な記憶だと 時間間隔が狂うと?」


「そうかも知れんし、全く違う異世界へのご招待かもしれん・・」


「・・そうなるとその異世界には儂が二人いる?そんな事もあり得ると・・」


「・・分からん、二人になるかも知れんしそれを嫌う力が発生してどちらかが消滅するとか・・これだけは体験してみなければな」


「・・厄介だな だが、今回の異世界転移では確かに時間のズレが殆どなかった。これは覚えていた知識に転移魔法が忠実に反応したと?」


考えれば思い出した景色は当時の景色で、何年後かの景色を想像しての転移ではない。


「だが そうなると儂が最初に転移した時は馴染みの公園であったが、5年ほどの時間のズレが発生していたのだが・・」


「ふーむ こうは考えられないか?太蔵君が転移した公園は本当に当時の記憶だったのか?」


「・・それは どういう事かな?通学路にもなっていた公園なので最新の記憶であったと思うが・・」


「その5年前の記憶となると・・小六時代だろう?場合によっては君が公園で一番遊んでいた時代ではないのかな?」


(確かにあの公園では小学生時代が一番記憶にはある。それからあの公園は何か変わったかな? あるぞ、確か雲梯がリニアルされたよな!当然木も古木が処分されていたな・・)


「少し違いが確かにあったが、それだと古い記憶に引っ張られて過去へと向かうのでは?未来に行く理由とは思えないのだが・・」


「推測だが、、公園を思い浮かべて転移を行った時に太蔵君は両方の記憶が混じっていたのではないのかな?良く知っている公園だからこそ安易に考えてもしかして正確さが欠けていた・・」


「・・それは否定できないと思うが、なぜ未来に?」


「これも推測だが、、遠距離転移による弊害、または限界と考えるべきかもしれない。つまり遠距離による時間のブレ幅と見るとそのくらいの前後は誤差のうち?と判断されたのかも・・・」


「・・誰になのだ?」


「・・時間の歪か、、または神かな?」


「「「・・・」」」


それ以上は誰も肯定も否定も出来ない空気に包まれていた。


「・・なぁ 難しい事は良く俺は分からないが、ようは帰る地点の正確な状態が分かればいいんだろう?」


「うむ まずはそれが一番の帰還条件だろうと思う・・・」


「その地点を思い浮かべるから記憶が混乱するのだろう?」


「・・お前は何が言いたい?」


何か記憶が正確になる方法でもあるのかと小田切は軽く久保田を睨みつけた。


「そんな顔をするな、もっとシンプルに文明の利器をつかえばいいんだろうが?」


 何だ こいつは何を思いついた??・・・あっ ああ そうか!!


小田切と太蔵は共に顔を見合わせて互いに納得していた。


「へへ・・こんな便利な物を使わなければ文明人ではないな・・」


彼はリュックに入れてあったスマホの電源を入れ始めた。


完全に意識から抜けていた、この世界では電波は使えない、よって皆が電源を落として仕舞いこんでいたのだ。


付属のカメラで最新の景色や建物を映して保存しておけば何時でも転移は正確に再現できる事になる。


「「・・それは何の機器なんだ?」」


2人だけ蚊帳の外で何の話かついて行けない者達が居た。


「カメラを内蔵している通信機器だ・・」


そう久保田は得意そうに胸を張る、その説明でどこまで理解したか無視して、久保田はあるショット写真を皆に見せる。


その画面を見て二人は感心して 二人は不信感を露わにした。


「へへ この世界への転移前にアナーシャと撮ったツーショットだ」


 こいつはいつの間に二人で嬉しそうな顔で撮ったんだ?


特に小田切が露骨に顔をしかめた。


「まさか お前は異世界転移を話してはいないよな?」


「む 無論だ、余計なことなど話してはいないぞ?」


挙動不審な久保田はそのままにして 太蔵はその画面を見つめる。


「この画面の人物二人を消せるか?」


「えっ?消せるけど何でせっさくのツーショットを消す必要が・・」


背景に映っている道場と森が重要なんだ! 太蔵は久保田に依頼を掛けた。


何やら内蔵しているアプリを使用すれば可能らしい・・。


「あっ テスト撮影で道場とその周辺も撮ってある」 と久保田は思い出した。


「「見せて見ろ」」



「・・老師 これならば行けますよね?」


「ああ いけるな・・でかした久保田」


少しどたばたがあったが、帰還への確率が大きく浮かび上がって来た。


「「そうか、、それは良かった・・」」


元貴族の二人は3人の会話について行けずに困った笑いを浮かべていた。



ならば明日からは最終の目的の為にすることが決まった。

このダンジョンにて集められるだけの魔石を回収する作業だ。


当初の3名だけならギリギリ帰還に必要な魔素結晶が残っていたが、2名追加となる。

余裕を見て集めるだけ集める作戦になる。




「そうだ 岡田さん、元邸にいた 20前後の細身の美人さんでマリーさんをご存じですか?」


宿屋に着いて特級ポーションの効能に気をとられ頼まれごとを二人共忘れていた。

いや小田切は会話に加わっていないので完全に太蔵のポカといえる。


「えっ?マリーかい・・当然、覚えているよ。よく気の回るいい娘さんだよ・・」


少し岡田氏の挙動が怪しいそぶりを見せる。

隠しておきたい存在なのかなと太蔵は少し気を使った。


「彼女が妊娠しているのは ご存じですか?」


彼の耳元で小さく囁いた。

途端に彼は大きく目を見開き狼狽する。


「本当かい その話は? いや 何故に太蔵君がそんな事を知っているのだ・・?」


この慌てぶりだと本人に話していないようだ・・。


それについて順序だてて説明を始めた太蔵である。


「な なんと、、そうか、、少し前から体調が優れないとそう言えば・・」


どうやら身に覚えがありそうだと確信する。


「・・どうしたらいいのだろう、、できれば彼女も連れて日本へ いや無理だろうな、、長距離転移は危険すぎるし、お腹の子供の心配もしなければ・・」


なにやら考え込み始めている。


「次はいつ来れるか、、太蔵君何か良い手はないかな?」


「落ち着いてください、岡田さんのお子さんで間違いないのですね?」


「・・うむ 私の子だと理解している」


ならば どうするべきか?あまり選択肢は多くなさそうだな・・。


一番の手は・・親子3人で暮らす方法だが、現在岡田氏は逃亡中だしな・・。

日本に連れていくにも 体力とお腹のお子さんの安全性が問題だ・・つまり残された手は。


「幸い実家にて産んで育てる様子ですし、ここは甘えましょう。次に訪問できる日まで彼女には当座の資金、、そう白金貨5枚程度を私から届けましょうか?」


「・・・そうだね、会いに行きたいけど今は無理な状況だね。しかし君には迷惑をかけて申し訳ないが、是非とも彼女に届けて欲しい、私の無事も、、いや それは不味いのか・・」


自分の立場を再認識したみたいだな・・気持ちは分かるがそれは悪手になるな。

太蔵はこの世界に来た当初の自分の計画した予定が一向に進まない事に気がつく。


 それも全てあの女の存在が悪いのだな・・・。


太蔵は苛立ちからどす黒い霧が体内から発生し始めた事を感じ始めていた。


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