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女子力ゼロのアリアさん  作者: ハニカミトークン
9/10

がんばれ委員長!

15分前行動が染み付いていると開始10分前をきって出社すると遅刻した気分になる by達也

4時50分 居酒屋みなみ


「おはようございます」


「おはよう達也くん」


 家での暴露大会の途中で抜け、バイトに来たわけだが気が重い。


「店長!18時くらいにアリアと友人が晩御飯食いにきます」


「ほんと?月曜日だしファミリー層のピークも大したこともないから無いだろうから一緒に食べたら?」


「客入り次第でそうさせてもらいますね。忙しかったらいつも通りに」


「真面目ね」


 ちょっとつまらなそうにするみなみを華麗にスルーしながらバックヤードへ。


「いらっしゃいませ……テーブル席どうぞ」


「海堂お疲れ!!いい店じゃん!」


「おう、相馬は揶揄いとかないからこういう時有難いわ…逆も然りだが、そして佐々木はいじる気満々じゃねーか」


「お決まりかなって」


 対照的な2人だがだからこそ仲がいいのかもしれない、その中にアリア居るのは素のアリアを知ってしまったが故なのだろう。


「達也くん、今日は上がって一緒に晩御飯したら?みんな従業員価格でいいから」


「「「ありがとうございますっ!!!」」」


 一緒に夕飯が決定した。


「で海堂さっきの続きなんだけど……」


「ん?俺が出た後話してたんじゃないの?」


「当人抜きにしても面白さ半減じゃん」


「佐々木はもう隠さなくなったな」


 とんと肩に相馬の手が置かれた。どうやら諦めろということらしい。


「はいメニュー……なに?バレちゃったの?」


「店長さんも2人こと知ってるんですか?」


「知ってるというか当事者?」


 まあそうですね、間違いなくあの日が運命の分かれ道だった。


「私海鮮丼で大盛り!」


 アリアは意外と食うよな。


「チキン南蛮……」


 相馬は普通だな。


「軟骨、3点刺身、タコワサ、烏龍茶で…」


 佐々木は何も言うまい、酒があったら不思議じゃない。あくまで酒があったらでだかな。


「達也くんは?」


「唐揚げ定食、玉子焼き2皿お願いします」


「はーい、じゃあ頑張ってね」


 何を頑張れと言うのでしょうか?そう思っても口にはできないのが達也である。


「さて、海堂…洗いざらい履いてもらおうか?」


「カツ丼頼まなかったのは減点…」


 どうやらここでも事情聴取が始まるらしい。カツ丼もいいが今日は唐揚げの気分なんだ許せ相馬よ。


「そうあれは確か夏休みも終わりかけの8月29日、俺はいつものようにバイトを終えて帰宅したんだ……」


 こうなったらこのノリに合わせてしゃべってしまおうと達也は思いアリアを拾った夜のことから話す。


 元アリアの部屋の異空間の写真も交えて、掃除が終わった話あたりでみなみが最初の品を持ってくる。


「大変だったのよ?さっき帰った達也くんが慌てた様子で電話かけてきたと思ったら同級生の女の子が行き倒れてます。助けてくださいって」


「大変ご迷惑をおかけしました!!」


 勢いよく頭を下げるアリアに友人2名は呆れて何も言えない。



「それで現状報告のためにクリスさん…アリアママな、連絡取ったらバイト代出すからアリアの面倒みてくれと現在に至る」


「達也くんって地味に高給取りなのよね。でもこんなお店のバイト続けてくれて助かるわ」


「みなみのバイトは楽しいですから」


「そう?ならいいけど、そうだ来週から週2で調整したからシフト確認して」


「あざっす。でも急な団体さんとかあったら呼んでください」


「ありがと、その時はお願いね」


そう言ってみなみは下がって行く。


「海堂……」


「なんだ佐々木?いちゃもんつけるんか?」


「いや、想像以上に酷い話でなんて言ったらいいか迷った」


 ノリで生きてる佐々木すら素になるアリアさんマジパネェっす。


「海堂はアーリンの命恩人、同棲なんて些細な問題、と言うか親公認」


 相馬の言い方はともかく、2人は俺に同情的だ。これなら無闇矢鱈に広まることはないだろう。


「海堂、うちは気づいたんよ。確かに人間の尊厳は守られたかもしれん、だがしかし!アリアの乙女の尊厳は未だゼロ、いや見えないだけでマイナスに振り切っとると思ってる」


 佐々木がエキサイトし始めた。乙女ゼロ宣言がなされた当の本人は先程先行して来た海鮮丼をカッ食らってる。いつの間に……こういう時って待つか、先にどうぞ的なやりとりがあるものだと思っていたがアリアだと思い諦めた。


「そこで我々はここに乙女向上委員会の設立を宣言したいと思う!」


「なんだよ。その漫画のネタでも半端なバラエティで通じそうな名称…」


「話の腰を折るなーーー!うちは親友アリアをせめて真っ当な人…乙女としてどこに出しても及第点を貰えそうになってほしい!!」


 目標がとても低いがそれもしょうがない、だってアリアなんだもの。


「つまり佐々木と相馬でアリアの乙女力向上を目指す訳だ…」


「あと海堂もな!」


「なんでっ!…その名称の委員会に俺が入ったらなんかダメだろ!いや断固拒否する!」


 乙女向上委員会の海堂です。(男)もはや勘違い待ったなし。あいつ彼女出来ないと思ったら心は乙女なのか、そんな勘違いは困る彼女欲しい。


「何言っとるん!海堂委員長!「委員長っ!?」さあもうすでに退路はない、むしろ協力しないと高校生活アリアの介護で終わるよ?」


「これは海堂の負担大きい現状を綾ちゃんと私でサポートしようってことなの。名称はともかく理念には賛同してほしい」


「相馬……わかったよ。乙女向上委員会(仮)入るよ」


 この2人のサポートがあるのは正直有難い、面白半分とノリと勢いの佐々木はともかく相馬は冷静で助かる。サブカル絡むとこいつもエキサイトするが…達也はそこで思考を止める。


「仮はいらないが今はいいか……」


「うふふ…若いっていいわね、はいお待たせしました。玉子焼きに関しては私からの奢りにしておくわね…達也くんも立派な乙女になってね?」


「店長まで!!勘弁してください!」


「ごめんね?今でも達也くんの女子力高いわよね?」


「「そうそれですっ!!」」


「もういいです……」


 そこからは達也も諦め、食事を楽しむことにするそこからは男子1人のアウェー感もなくアリアという共通の話題でなんだかんだ楽しく過ごして最後にチャットアプリのID交換をして見送る。


「一緒に帰って良かったのに……」


「団体さんなんですから人手は必要ですよね?」


 そう、お会計する際に店の電話が鳴ったかと思えばそこから団体様のご予約があったため急遽、達也が戦線復帰を決めたのであった。


「まあ、うちとしては助かるけど、達也くんは学校生活と友達は大事にしなさいね?」


「もちろんですよ?それにこの職場は融通利かせてくれますか非常にたすかってますよ」


 この後、てんやわんやの大忙しだったがそれでも今までにない充実感が達也の中にあった。

井戸端会議


クリス

「チョリーす」


「こんばんわ」


クリス

「あれぇ?乗ってくれない?」


「流石に……ねぇ?」


クリス

「さっきね、娘から面白いこと聞いたのよ」


「何?うちの息子何かやらかした?」


クリス

「クラスの女の子達に同棲バレちゃったんですって、まあアリアがばらしたみたいだけど…」


「あらら……でもあの年頃子達には刺激が強すぎるんじゃないかしら?」


クリス

「それはあの部屋の写真付きで今まで経緯付きで説明したみたいよ?あまりの酷さにみんな達也くんに同情してたってそれと達也くんの株が上昇中みたいよ?」


「モテ期到来かしらね。顔は普通なのに…」


クリス

「ブサイクじゃないからいいじゃない、世の中顔じゃないとか聞くけど顔が受け付けないとそもそも発展すら望めないんだから……」


「辛辣ね。そんなこと言ったらうちの元旦那とか見たらクリスさんびっくりするわね」


クリス

「えっ見たい見たい!」


「ちょっと待ってね………あったこれこれ」


クリス

「どれどれ……えっ!?どうしたら京さんとこの人がくっつくの?幼馴染とか?」


「幼馴染とかないわね、旦那が駅前でプロポーズしてたのよ」


クリス

「ん?プロポーズしてた?」


「そ、その時私との接点なしね。『一目惚れです。結婚してくださいって』ね」


クリス

「京さんと結婚してるんだから結果はわかってるけどそのあとは?」


「『は?冗談は顔だけにしろよ。警察呼びますよ』ってバッサリだったわでその時思ったのよ結婚ってどうなんだろうって…」


クリス

「そこからはお付き合い始めたのね!」


「違うわ…固まったままでいたから『そのプロポーズお受けします』ってついボケを挟んだのよ。関西ならきっと見てた人が総ツッコミでオチがついたんでしょうけど、東京人はダメね?なんとなく拍手がはじまってそのまま入籍したの」


クリス

「想像以上にアホな話で笑うのが正解なのかがっかりするのが正解なのかわからないわ、うちは普通の恋愛結婚だから…「普通?」あなた?「はい…」大した面白話がなくてね…」


「旦那さん?」


クリス

「そうよ、今から仕事出るところだからタイミング合えばお披露目するわ」


「きっとクリスさんの話もいろいろ楽しいと思うわ」


クリス

「そのうちね…」



妹は見た!!


香奈

「両親の馴れ初めが酷すぎる!!」

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