min-zai
宇宙へ漕ぎ出した青色の船は、星に辿り着いて崩れ去った。
あの人があの日をまた繰り返して、今度こそ成功しますようにと祈ってこの星に居続けることを決めた。
空から白い香りが舞い降りてくる。
彼なら、これを胸いっぱいに吸い込むかしら。
どんなことをしてでもあの場所から漕ぎ出そうというなら、そうするだろう。
おおよそ致死量。
計ってでも?
僕は胸のすくような香りに身を任せて芝生に横たわった。
百合のような、雨のような湿っぽい香り。
あの人には、透明な煙よりもこんな終わりがきっと似合うのに。
どんな頑丈なロープより、乾いたアスファルトより、こんな、憂鬱に美しい眠りがいちばんやさしいのに。
神様がいるなら、彼にもう一度チャンスをあげてほしい。
深淵にその身を叩きつける瞬間を。
絶望の最中に魂を消えるほど揺らすきっかけを。
そして、似つかわしい死を選ぶ時間を。
その時あの人が何を選び、何を捨てるか。
今度はあなたに、見守ってほしいのです。