カフェ
目が覚めると彼はもう着替えていた。
私は急いで起きて、
「コーヒーでも入れる?」
と彼に聞くと、
「もう出るからいらないよ。
寝てていいよ、勝手に出るから。」
と髪を整えながら彼が答える。
「ごめん起きれなくて」
私が謝ると彼は私に軽くキスをして、
「いいよ、9時に家出るんだろ?
もう少し寝れるよ。じゃいってきます。」
「いってらっしゃい。」
彼は足早に家を出た。
時計を見ると、7時少し前だった。
私は「月」にメールすることにした。
「昨日はごめん、
忙しくて返信出来なかった。怒ってる? 星より」
メールを送り、
私は仕事に行く支度をする、
洋服に着替えて、
スマホを見る。
彼が着たTシャツやタオルを洗濯機に入れて、
スマホを見る。
朝ごはんを食べながらスマホを見る。
インコに餌をあげながら、
スマホを見る。
「月」怒ってるのかな?とインコに話かけながら、
返信の来ないスマホを見る。
返信が来ない。
私は何度もスマホを見ては落胆していた。
出社の時間になり私は家を出た。
病院に着くまでに何度もスマホを見たが返信がない。
もう返信は無いのかもしれない。
お互いのことは何も知らない、
このアプリをアンインストールしたら,
私達の関係は終わり。
関係?
私達に関係ってあるの?
お互いのことは何も知らない、
細い糸1本で繋がれた関係。
糸がいつ切れてもおかしくない。
病院に着いて、白衣に着替えて、
いつもの席に座ると、
なつが話しかけてきた。
「元気無いじゃん、彼とケンカでもした?」
「えっ!元気だよ、ケンカなんてしてないよ。」
「ねーねーそれより、
今日のお昼どうする?」
なつは私のことなんてどうでもいい様子で、
違う話しをはじめた。
「今日のお昼はコンビニですませようかと思ってた。」
「ねー近くに出来たあの水色の看板のカフェに行かない?」
先月病院の近くに出来たカフェで、
オープン当初は混んでいたけど、
オープンから1ヵ月が過ぎたので、
並ばなくても入れるようになっていた。
「あー私も行って見たかったからいいよ。一緒に行こう。」
「じゃ決まりだね。」
思ったより病院が混んだので、
お昼が遅くなってしまった。
カフェに着いた時には13時半だった。
この時間だとお店は空いていた。
「いらっしゃいませ、2名様ですか?」
店員が声をかけて来た。
「はい、2人です。」
と返事をして店員の顔を見ると、
なかなかのイケメンだった。
「こちらの席でいいですか?」
裏庭が見える席に案内してくれた。
窓からはカフェの裏にある庭が見えた。
レンガで囲まれた小さな庭だけど、
小さな植木鉢がいくつかありかわいい庭だった。
「本日のランチはサンドイッチになっています。」
イケメン店員くんが机の上に置いてあった、
小さなメニューを指さして、
ランチをすすめて来た。
「ランチ2つお願いします♪」
なつがきらきらした目で彼を見ながら、
1人で注文を決めていた。
「以上でよろしいですか?」
「はい♪」
イケメン店員くんが厨房に入ると。
興奮ぎみのなつが、
「見た!!ちょーいけめん!
でも若いよね、彼女いるよね。
あー若いっていいねー」と興奮して話している。
「確かにイケメン。彼女いるでしょ!
いけめんカフェ店員だもん!」
私はそう答えてまたスマホを見た、
しかし「月」からのメールは無かった。
仕事をしているなら昼間にメールがあるわけない。
「月」は社会人なんだなと勝手に決めつけていた。
何度もスマホを見ているのでなつが、
「何度もスマホ見てるけど、彼からの急用?」
と聞いてきた。
「そうじゃないけど、返信が来ないから…」
「だって仕事中でしょ?返信来ないでしょ?」
「そーだよね。」と答えて、
スマホをテーブルに置いた。
私たちは他愛のない話や、
新しく入って来て不倫している、
渋谷さんのことを話していると、
「サンドイッチになります。」と
イケメン店員が料理を運んで来た。
彼は左腕に皮を編んだような変わったブレスレットをしていた、
なつもそのブレスレットに目が行っていた。
「おしゃれなブレスレットですね、それ」
と言ってイケメン店員の腕を指さした。
「これは友達に作ってもらった物で、
気に入っているんです。」
「とても似合ってますね。」なつは、
いつもより高い声で話していた。
「ありがとうございます。ごゆっくり」と言って、
イケメン店員はテーブルを離れた。
「あ~イケメンっていいね。」となつの目がきらきらしている。
14時半には病院に帰らないといけないので、
私達は急いでサンドイッチを食べた。
私達は席を立ち会計をした。
もう一度スマホを見たが「月」からの返信はない。
会計の時に今度お使い下さいと、
サービス券を渡された、
見ると月の絵が描いてあった。
つづく




