夢
頭がぼーっとする。
今までの出来事は夢?
「ママ、ごはんは?」
「えっ?ママ?・・・・」
「あかり、早く起きろ何時だと思ってるんだ!」
私は起き上がり時計を見ると、6時10分過ぎだった、
30分の寝坊だ!
一気に現実に戻った!
私は急いで朝ごはんを作り始めた。
「もうこんな時間だから朝ごはんはいらないよ、
専業主婦は遅刻も無くてお気楽でいいな。」
主人はいつものように嫌味を言って玄関に行く。
「寝坊してごめんなさい。」
「明日はきちんと起きろよ!じゃいってきます。」
「いってらっしゃい。」
振り向きもしないで主人は玄関を出て行った。
最近は嫌味と文句ばかり。
朝から嫌味を言われると気分が悪くなる。
リビングに戻ると、
息子がソファで寝ながらゲームをしている。
「朝からゲームはダメって言ったでしょ!
早くごはん食べて早く支度しなさい!
毎日毎日同じこと言わせないで!」
私はイライラして息子に八つ当たりしてしまう。
最低な母親…
バタバタと息子を送り出し、
ソファに座りやっと一息つく。
今日の朝はいつもより疲れた。
昨日は変な夢を見たような…
でも夢を思い出せない…
外を見ると6月とは思えないほと日差しが強い、
庭の土がカラカラに乾いている、
私は外に出ていつものように庭の木々に水をやる。
私の唯一の癒しが草花を育てること。
主人はIT企業の社長をしている、
この白い大きな家を買った時は幸せだった。
今の私たちは仮面夫婦。
いつから私達の間にこんな深い溝が出来てしまったのか?
主人は不倫しているのかもしれない、
でも証拠はない、
主人に愛人がいても私は何も感じない。
主人と最後にセックスしたのはもう何年も前。
もともと体の相性も良く無かった。
私と主人の間にもう恋愛感情は無い。
離婚を考えたことは何度もある、
でもこの暮らしを手放すことが出来ない…
それにしても今日は日差しが強い。
水を撒くと木々が喜んでいるように感じた。
カラカラカラ…
音がして上を見ると、
隣のアパートの女の子がコーヒー片手に窓枠に寄りかかり、
窓の外をみている。
こんな時間に起きてゆっくりコーヒー飲めるなんていいな。
私は隣のアパートの女の子が羨ましかった、
彼氏がいて、友達も多くて、毎日楽しそうに過ごしている。
私は毎日主人に嫌味を言われて…
ご近所の友達も、私が新しい腕時計をしていただけで、
「お金持ちはいいわね。」と嫌味を言って来るような人たちだった。
私はランチのできる友達、
なんでも話せる親友そんな友達が欲しいと思っていたけど、
この歳になるとなかなか友達が出来なくて、
私は孤独だった。
遠くにある木々にも水が届くように、
私は持っているホースを高く上げた。
水が放物線を描いて高い位置から落ちる、
庭に小さな虹が出来る。
私は同じ光景をどこかで見た気がした?
そして幸せな気持ちになった。
「なんだろうこの気持ち?」
独り言を言っていると、
急に風が吹いて来た、
足元にあるカラフルな風車がクルクル回りだした。
私は風車が回るのを見ながら、
何かを思い出しそうになった。
その時、風車の近くに何か光る物が落ちていることに気が付いた、
拾って見るとそれは三日月の形のキーホルダーだった。
つづく




