監視
私は彼が落ち着くように、冷静に話した。
今の彼に何を言っても怒るだけ、
冷静に聞いてくれない。
これから先、私達はどうするのか、
納得できる回答を聞くまで彼は帰ってくれないだろう。
「嘘をついてごめんなさい。
彼とはSNSで知り合ったの。今日が会うのは初めてで、
友達だから、恋愛感情は無いわ。」
私は彼が怖くて嘘を付いた、
自己防衛の為の嘘の上塗り。
「友達には見えなかった。
あいつはおまえのこと好きなんじゃないのか?」
「ねー今日1日、私のこと見張ってたの?」
「違うよ、たまたま通りかかったんだ、
そうしたら、若い男とおまえがいたからびっくりして…」
明らかに動揺している、
私は詳しく聞かなかった、
どうせ聞いても本当のことを彼は言わないからだ。
私たちは嘘ばかり…
お互い本音が言えていない。
「あの男と付き合いたいのか?
俺が身を引けばいいのか?
俺だけが不幸になればいいのか?
俺だけががまんすればいいんでしょ?」
話ている彼の顔が私の顔に見えた。
まるで私が怒っているようだった。
私は彼から目をそらしもう一回みると、
いつもの彼の顔に戻っていた。
頭が混乱している。
彼の俺だけ、俺だけと、
自分だけが被害者のような言い方に私は腹が立った。
今、言うことではないと頭でわかっていながら、
私の不満は抑え切れなかった。
「私もうすぐ30歳なんだよ、
結婚の話しもしないし、いつも会社の愚痴ばかりで、
私のこと考えてくれてるの?
俺だけががまんしているって、
私がどれだけがまんしてるかも知らないで、
よくそんなこと言えるね。」
「俺は俺で結婚のこと考えてたよ、
いつもその話しから逃げてたのはおまえだろ。」
確かに私の中にこの人と結婚して幸せになれるのか?
という疑問はいつもあった。
「私は不安だったの、
私たち本音で話すことがないでしょ、
あなたが何を考えているのかわからない時もあるし、
いつも部下の悪口ばかりで、
そんな冷たい人とこれから先一緒にいられるかな?
ていう心配もあった。」
「それはお互い様だろ、
おまえだって冷たいところあるだろう。」
「私が?冷たい?」
「カフェで女の人が転んでも助けもしないでお店出ただろ!」
「なんのこと?」
私はそう言ってから思い出した、
確かにこの前カフェでが椅子につまずいて、
派手に転んでいた女の人がいたけど、私は助けもしなかった。
なんで知ってるの?
確か、あの時は彼と夜ごはん食べる約束をしていて、
でもドタキャンされて、
1人でカフェに行った時の出来事なのになぜ知ってるの?
そうだ!!
その時に月のポスターを1人で見たのに、
彼はこの前カフェに一緒に行った時に、
「ポスターが無い」と言っていた、
あの時に感じた違和感は、
1人で見たポスターを彼が知っていたからだ!
やっぱり彼は私を監視していた。
つづく




