悲哀
彼は私の家に来た。
「何か映画でも見よう。古い映画でも見る?」
彼が私の家のテレビで映画を探している。
私はコーヒーを入れて、
彼から少し離れたところに座る。
彼が少し前に流行った映画を再生し始めた。
「なんで離れて座ってるの?こっち来なよ。」と、
私を自分の隣に座らせた。
映画はつまらなかった。
私は時計ばかり気にしていた。
18時半…
もしかしたら月からメールが来ているかもしれない。
「あんまりおもしろくないね、この映画」
と言って私の方を見ると、
キスして私の洋服の中に手を入れて来た。
「お風呂入ってないし」と彼の手を止めようとしたけど無駄だった。
ただ欲望を満たすだけのセックス。
彼はシャワーを浴びに行った。
私はスマホを開く、
月からメールが来ていた。
「こんばんは、たまには自炊しようと思って、
肉買って来た!俺のカレーめっちゃうまいから、
星にも食べさせたいよ。」
………
月に会いたい。
こんな生活もう嫌だ。
私は彼の愚痴を聞いて、性欲を満たすだけの道具ではない。
彼は泊まって行くのかと思っていたら、
明日の朝早くに用事があると帰った行った。
私はもやもやした気持ちを誰かに話したくて。
冬子に連絡した。
つづく