目を閉じて
掲載日:2019/04/24
瞳を閉じて
風を感じる
波の音
カモメや海鳥の悲しいひきつるような声
誰もが好きな海へ私も来た
真っ青な一枚のガラスが視界いっぱいに滑らかに広がっている
キラキラ ピチピチ 金や銀の何千何万の光が魚のように
跳ね上がり踊っている
風を感じる
波の音
白く泡立って誰の命を奪ったのか
砂をさらさらと削りながら
迷った子供のように波は行ったり来たり
行くあてもない
優柔不断だから人は去っていく
風を感じる
波の音
なぜ水平線はまっすぐではないのだろう
波が足を洗ってくれる
海には清めの式がある
カモメや海鳥の甲高い声が風を裂く
誰もが好きな海へ私も来た
海の底には森がある
林があり人魚が住んでいる
人魚は長い髪を編んで作った網で落ちてくる時間を掬うそうだ
沈められた魂が語る昔の話し
真っ青な一枚のガラスが割れたとき
魔法がとけて人魚は太陽の光になる
風を感じる
磯の香りがパラパラと本のページをめくるように
波は沈黙を守るために砕ける
カモメや海鳥は金や銀に飛び跳ねる幻の魚の群れの上を旋回する
瞳を閉じて海を見る
瞳を閉じて海を感じる
瞳を閉じて海を聞く
瞳を閉じてあなたを感じる
誰もが好きな海へ私も来た




