ジズVSベヒモ②
ジズVSベヒモ②
「・・・炎からはみんなを守れることが証明されたぜ!」
(僕の炎をただの武器で防いだ。
ベヒモの能力を使わないでジズの能力を防いだ。
ちくしょう!もっと、もっとだ。
もっと強いのを教えてくれジズ!)
「やるじゃんカインくん!」
「でも、あいつには攻撃方法がないわ」
カインの武器と幻獣の力はどちらも守りが専門と言える。
しかしアースの能力は岩や土などを操るもの。
操り方次第でそれはどうにでも出来るはずである。
「いつまでも空中にいさせないぜ! 岩の雨!」
カインはエイドの真下の地面を盛り上がらせた。
先ほどの岩の盾とは違い小石が弾丸となって羽ばたくジズを追尾する!
弾丸の速さは目で追えないくらいであったがエイドはそれをちゃんと見ていた。
(焦ったけど、こんなの横に少しずれれば当たらな──)
エイドの考えは単純だが正しい。
しかしそれは、その石の弾が1発の場合の話。
カインの周りからは天へと帰る雨のように無数の石が、1つの的へと次々に発射されていた。
それは大地から空へと降り注ぐ雨。
カインは標的を見ず地面に両手を当て集中している。
だからエイドが今どうなっているのかもちろん分からない。
けれど自分が能力を発動していた時間から「やりすぎたかな?」と心配していた。
(エイドが怪我だらけになる前にニアースかアマウが助けてくれてるから平気か。あとで謝ら──)
「カインさん」
頭上からのその声にベヒモはゾッとした。
自分が殺した死体に話しかけられたような気分だった。
「雨って言うのはやっぱり地面に降り注ぐもので、地面はそれを吸収すべきだと思うんですよ」
見上げたエイドは無傷。
彼は全身が石を溶かす炎に包まれていた。
カインはその太陽のようなエイドに見とれていた。
「次は本当に火傷しますよ」
「お、おいエイド。これ訓練なの分かってるよな!?」
(どうしたんだよあいつ。あの声……冗談じゃねえぞ)
「どこにいてもジズの翼からは逃れられない。舞え! 炎の羽!」
翼を大きく広げるとその羽が炎の矢となりカインに降り注ぐ。
炎の雨は先ほどの石の雨よりも無駄に広範囲であった。
「岩の果実!!」
カインには盾を使うという選択肢はない。
その場に両手をつけて叫ぶとその周辺の地面が盛り上がり、彼を飲み込んだ。
しかし安心するには早い。
炎の矢はそのアーモンド型の岩に次々と当たっては爆発していく。
岩の中にいたカインはもちろん、それを見ていたアマウとニアースもその威力に怯えていた。
(そうだ! こういう力だ!
相手が何も出来ずその場で耐えるしかないほどの力!
これが欲しかったんだ。
僕は強くなった。
けど、欲しかったのは本当にこれだったけ?
違うような気がする。
でもま・・・殺してないし良いか)
エイドはゆっくりと地上に降りて先ほどの岩の盾に刺さっていた刀を抜いた。
(放ったらかしにしてごめんねツバキ。でも美味しい瞬間は君にアゲる。君がトドメを刺すんだよ? 良いね?)
「ツバキにも力を貸してジズ」
紅い刀はオレンジ色の炎で包まれた。
(さっきの岩の盾も簡単に刺せたんだ。君ならこれも簡単に斬れるよねツバキ?)
その炎の刀でエイドは岩の果実に斬りかかる。




