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幻獣チルドレン  作者: 葵尉
第2章 VSライコス編
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新たな力②

新たな力②



  ────カインとエイドの部屋



 「エイド!えっと……」


 カインは勢い良く部屋のドアを開けたがエイドの顔を見た途端、何から言えば良いのか分からなくなってしまった。


 けれどエイドはそんなことは気にしておらず、カインが手に持つ刀にしか興味がなかった。


 「あっ!それ……」と、エイドは刀を指差したがすぐに「カインさんの腕のそれは何ですか?」と指を差し替えた。


 何を話せば良いか分からなくなっていた少年は自慢げに話し始める。


 「これは俺の新しい武器! エイドも武器変えたんだろ? だから勝負しようぜ!」


 「えっ!?で、でも僕はまだそれを使ったことがなくて」


 「俺もだぜ!」


 カインはエイドに刀を渡した。

 エイドはそれを恐る恐る受け取る。


 (ツバキ。君を早く使いたい。そして僕に力の使い方を教えておくれ)


 「アースは使っても良いんですか?」


 「良いけど~。それじゃあ勝負にならねえかもよ?」


 カインが言ったそれは事実であった。


 エイドをバカにしたわけではない。

 むしろ心配してあげたのだ。しかし少年の心には火がついた。


 「なるように頑張ります」


 「じゃあ行こうぜ!」



 ────訓練室



 「良かった~。部屋まるまる空いて──」


 「いて悪かったわね」

 

 カインは部屋に入り周りを見渡した。

 誰もいないかと思ったその時、部屋の隅にいたニアース・レミが近づいて来た。


 「お前こんな広いところで1人で訓練してたのか?」


 「失礼だな~カインくん。私もいるのに」


 その声は天井からした。


 「カインさん! だ、誰ですかあの人!」


 1人の女性が天井の岩を掴んでぶら下がっている。


 その手は人の手ではなく、白い羽とライオンのような鋭い爪が生えていた。


 彼女はその手を離すとそのまま床に手で着地した。

 

 とてつもない衝撃だったがその手に生えている爪は折れていない。床を握るように刺していた。


 巻き上がった茶色の髪を整えた彼女。

 羽と爪は消えて人間の姿に戻っていた。


 「私は三幻鳥(さんげんちょう)クラスのイラ・アマウ。よろしくね! 多分君たちと同い年だよ!」


 白い制服に白いズボン。

 全身白の彼女はニアースと同い年に見えない胸を張った。


 「……同い年なのに三幻鳥クラス」


 エイドはアマウに「なぜ天井にぶら下がることが出来ていたのか」を聞こうとしていた。しかし思いがけない自己紹介に混乱した。 


 「そうは見えない?やっぱり私って大人っぽいのかな~」


 アマウはエイドの前でしゃがみ彼を下から見上げた。


 彼女はその大人っぽい体型(からだ)で、少年に甘えるような(ひょうじょう)を見せた。


 それはエイドにもカインにも対応できるものではなかった。


 困りきった彼らを見かねてニアースが近づく。


 「彼女は女になったウインさんと思えば楽よ」


 「・・・分かりました」


 人懐こくてお喋りな感じは確かにウインさんと似ている。


 「ところであんた達は何でここに来たの?」


 「俺とエイドの武器が新しくなったからさ、それを試そうと思って」


 いつの間にか3人は輪になっておりアマウはその場で孤立していた。


 「カインは斧が壊れたから分かるけど、エイドも新しい武器なの?」


 「はい。変えたんです。()()()()()に」


 ニアースはそれだけで全てを察し、彼が持っていた刀を見て確信した。


 「・・・なるほどね」

 

 「なになにー? 勝負するの? じゃあ私が見てあげるよ! もし危なくなったら止めに入れるように!」


 3人の輪に無理やり入ってきたアマウは腕を組んで偉そうだった。


 「アマウさん大丈夫なんすか?」


 「平気平気! ()()()()()()()も言ったげて!」


 「……平気よ。この人〝一応〟ジズで3番目に強い()()()から」


 ニアースはアマウの名前の呼び方に顔で嫌悪感を示した。


 けれど彼女が輪に入ってくることは許した。



 この人がジズで3番目に強い人!?

 確かにさっき三幻鳥クラスって言ってたっけ?


 ウインさんみたいに子供っぽいけど、ニアースさんがそういうのなら実力は本物なはずだ。


 「で。どんなルールなの?」


 「実際の武器、アースを発動して、相手の急所に武器を当てた方が勝ちです」


 「それだと怪我するよ~?」


 「アースを発動していれば大きな怪我にはならないわよ?」


 「あっ! なるほど!」とアマウは手を叩いた。

 

 身長的にはアマウの方が横にいるニアースより大きいが、そう指摘されている姿を見るとそうは見えない。


 「本気でやるからな! エイド!」


 「僕もです」


 2人は握手をすると背を向けて一定の距離をとった。


 そしてアマウが合図の拳銃を天井に撃つ。


 「アースオブ──ベヒモ!」


 「アースオブ──ジズ!」

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