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幻獣チルドレン  作者: 葵尉
第2章 VSライコス編
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三幻鳥アベル・ウイン③

三幻鳥アベル・ウイン③



 (きっとこいつはまだ未完成のドミーだった。

 

 ポルムアイが3つになって完成したドミーだったら本当、遊ぶ暇なかった。


 ・・・痛っ!

 アースを解いたらさっきの蹴りが効いてくるわ~)


 翠の羽が消え、上下緑色の制服姿の青年の元へ背後から少女が1人でやって来た。


 「アベルさん! 大丈夫ですか?」


 青年は腰に鉄球を装着し、髪を整えてから振り返る。


 「かわいい女の子1人でこんなところ来ちゃダメだよ。男子2人は?」


 「……岩の中にいます」


 「さっきの赤髪の少年は平気? 狂ってない?」


 「なんとか落ち着きました」


 「彼は初めて見る顔だけど、新入り?」


 「はい。3ヶ月くらい前に来ました」


 「それだけの期間でジズクラス。そしてアースを使いこなしている……天才だね」


 「アースを使いこなせているのが分かるんですか?」


 ウインはニアースが自分のことを見ている隙に、顔が潰れた化け物の足を自分で引っ張って、彼女(その場)から遠ざけた。


 とにかく()()を誰にも見せたくなかったのだろう。


 少女が彼の元へ来た時には化け物の死体に興味を持っていた。


 しかし今のニアースは大男の死体よりもエイドの話に夢中になっている。


 それはアベル・ウインの狙い通り。

 彼は出来るだけあのドミーの話をしたくなかった。 


 「あの翼だよ。俺も鳥型の幻獣(アース)だけど背中から翼は生やせない」


 「アベルさんは本気を出していないんじゃないですか?」


 「あ~! 分かる?」


 「……なんとなくです」


 青年は嬉しそうにそう聞いてきた。

 その反応を見て彼女は二度とそう聞かないことを決心した。


 「ニアース・レミだっけ?」


 「はい」


 「確か筆記が優秀で頭が良いんだよね?後、射撃の成績もトップらしいじゃん」


 「周りよりはですけどね」


 冗談でもなく、慢心でもなく「これは美味しい」「これは不味い」と言うのと同じような感覚で彼女はそう言った。


 (うわ~。凄い子だな~。()()()()と同じで同年代に嫌われちゃうタイプだ)


 「帰る前に少し話しておきたいことがあるからさ、帰還が遅れた言い訳を考えてくれない?」


 少女は色々考えた。

 その時に本来自分が聞こうと思っていたことも思い出した。


 「その、話しておきたいことに意味があるなら良いですよ?」

 

 「あるよ! 意味しかないよ!」


 青年は子供が駄々をこねるように言った。


 彼にふざけているつもりはなかったが、彼女にはそれがふざけているように見えた。


 「アベルさんって何歳(いくつ)なんですか?」

 

 「俺?俺は多分14ちゃい。何? もしかして付き合いたい?」


 「帰還が遅れた言い訳を考えるので、少し黙ってもらっても良いですか?」


 「君、怖いね。可愛いのにもったいないよ。あれだね、喋らなければ可愛いってやつだ☆」


 青年は少女に笑顔で指をさしたが、無言の少女に銃を突きつけられてしまった。


 それはあってはならない行為である。

 しかし双方が「こうなるのも仕方がない」と思っていたため青年は「あはは」と受け入れた。


 ウインはニアースに銃を突きつけられながら少年2人が待つ岩へと歩く。


 その間この場所は、風の音さえも消えてしまった。


 (ウインさん。黙っていればかっこいいですよ……)

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