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幻獣チルドレン  作者: 葵尉
第2章 VSライコス編
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19話 地上での遭遇① 

19話 地上での遭遇①



 青空の中で輝く太陽の下、洞窟の中から2人の少年少女が走って出てきた。


 少し遅れてもう1人が彼らを追う。


 「ま……待ってくださいよ」


 「相変わらず何もねえなー」


 「でも周りが見やすくて良いじゃない」


 息を切らして両手を膝についているエイドを置いて2人は前へと進んでいく。


 無視をされた少年は「えっ?」と思いながらも、黙って付いて行った。


 「やっぱ本物の太陽は暑くて気持ち良いな!」


 「そうね。こんな生活する前は暑い太陽が嫌だったけど、今は気持ち良いわ」


 「あれが太陽だエイド。直接見ちゃダメだぞ?」


 カインがそう言いながら空に向かって指を向けた。


 言われた彼は細めた目で太陽を見た。


 すると少し照れて「し、知ってますよ!」と背中を伸ばした。


 「やっぱりエイドの方が背、高いのね」


 「うるせえ! エイドは俺から離れろ!」


 カインは顔を赤くして怒鳴った。

 エイドは「あっはは」と笑い「ごめんなさい」と顔を緩める。


 怒ったままの彼は黙々と先頭を行く。


 「ニアースさん。僕たちが向かってる村って名前とかあるんですか?」


 周りには何もないけれど本当に人が住んでいるところなんてあるのかな。


 目印になりそうなものも何もないし、同じところを何度も歩いてしまいそうだ。


 「名前はないけど、区別をつけるために勝手に村Aとか村 Bって呼んでいるわ」


 「村って沢山あるんですか?」


 「ジズが確認できてるのは今の所4つ。でも実際はもっとあるらしいわ」


 「意外と多いんですね。でも周りには何もないですよ。本当に村があるのか不安です」


 「もう少し歩けばそれっぽいのが見えるわよ」


 2人の会話を前で聞いていたカインはチャンスと思い、おちょくるように後ろを振り返った。


 「おいエイド~? もう疲れたのか~?」


 「違いますよ!ジズから離れるのが不安と言いますか……道がないのに帰れるんですか?」

 

 「真っ直ぐ歩いているんだから真っ直ぐ戻ればジズには着くでしょ?」


 「ええ!? ニアースさんらしくない!」


 「う、うるさいわね! 最悪の場合は偵察クラスに連絡すれば良いのよ!」


 「あぁ。確かにそうですね」


 「てーかさー。歩くのって暇だよな~」


 「30分くらいなんだから我慢しなさいよ。訓練ならずっと走ってるじゃない」


 「あれは時間が経過した分自分が強くなるから良いんだよ!」


 「ニアースさんたちはその村には行ったことがあるんですか?」


 話のネタになれば良いなと思い、そう聞いてみた。


 しかし2人とも「ないわ」「ねえよ」と即答したので終わってしまった。

 

 「エイドは楽しみそうね」


 「はい。地上で何が見えるのか楽しみです」


 「前にジズの生活区に入ったこと覚えてる?」


 「......はい」


 今も、覚えている。

 あそこで子供に石を投げられて『お前たちは大嫌いだ!』と言われた。


 あの時からみんなが幸せになれないかと考えるようになった。

 

 正直僕のようないきなりジズに入った人間なんかに、そういうことを考えて欲しいと生活区の人は思っていないと思う。それでも何とか、何かをしたい。


 「今から行く村もあそこと同じような歓迎をされると思うわ」


 そのことは覚悟していた。


 ジズで暮している人でさえ石を投げたくなるほどの不満があったんだ。


 外で暮しているのならなおさらだろうな。

 ひょっとしたら、殺されるかもしれない。


 「やっぱり皆さん不満なんですね。なんとか全員がジズで暮らせるようにはならないのでしょうか」


 「全員だとまず遺跡の広さ的に厳しいわね。それに食料や服は今でさえ限界ギリギリって話よ」


 「でもよ。入る方法なら入団試験があるぜ?」


 「試験ってことはそれに合格すればジズで暮らせるんですか?」


 「不定期でやってるんだ。最近は合格者を聞かないけどな……」


 「入団試験に合格してもジズクラスの候補生扱い。そこからさらに厳しい訓練をクリアしないと村戻りか良くて生活区行き。だから私たちのような暮らしを出来る人は本当に限られているの」


 「……他にないんですかね。みんなが同じように暮らせる方法は」


 「エイドは外で暮している人や生活区の人たちに、自分と同じ生活をしてほしいって思ってるの?」


 「はい、その通りです。やっぱり何の試験も受けないで、ジズで暮らしてる僕が言うのはおかしいですよね」


 少年は何かを誤魔化すように笑った。


 自分のような人間がそう言うのは他の人から見れば「偽善」に思われると、考えていた。


 共感者も少ないと思っていた。

 だから人に笑われる前にまず、自分から笑ってみせた。


 しかしそれは無駄な心配であった。

 少女も少年も彼を笑わなかった。


 「別におかしくないわ。私もそう思うもの」

 

 「俺も生活を変えたいって思うぜ。でも方法が浮かばねえよ」


 2人とも僕と同じように考えていたんだ。


 仲間だから気を使ってくれたのかもしれないけど、言ってみて良かった。


 「けど仮に何か方法が浮かんでも、ステダリー博士に許可をもらわないと何もできないけどね」


 そうだ、ジズに多くの人を入れるなんて僕たちだけで決められることじゃない。


 けれど何か僕たちに出来ることはないのだろうか。


 「だから現実的な方法としてはちゃちゃっとポルム、ドミーをぶっ倒すことだ」


 「は~。それのどこが現実的なのよ……」


 ニアースさんはそう言ったけれど僕はカインさんを支持したい。


 外にどれくらいのポルムやドミーがいるのかは知らない。強さも分からない。だけど──


 「その方法なら誰の許可もいりませんね!」


 それに誰からも文句を言われないだろう。

 

 「全く、あんたたちは心強いわ」


 少女は呆れたように言ったが、心の中では期待していた。


 そのせいか表情が少し和らいだ。


 「やっと俺の凄さを分かってくれたかニアース!」


 「……え、ええ。そうね」


 少年たちはこの後も何もない道を笑い合いながら進んだ。

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