エピローグ 幻獣の子供たち
エピローグ 幻獣の子供たち
────数千年後
とある山の上に少年と少女と犬が1匹いる。
見晴らしが良い開けたところから2人は海を双眼鏡で見ていた。
「あっ! 流れ星!」
「海に落ちたの?」
「そうは見えなかったです」
「おかしいわね。ここから見える流れ星は、海と陸に落ちるように見えるって話でしょ?」
「おーいお前ら! この星空を見てみろよすごくね!? 宇宙みたいだろ!東京じゃ見えないよなこんなの」
山の中からやってきた1人の少年。
彼は大きな声を出し真上を向いている。
その声に犬は驚いて吠えた。
「も~。声が大きいからピキがビックリしているじゃないですか!」
「確かに星空も凄いけどせっかくここに来たんだから、海に落ちる流れ星ってやつを見なきゃ意味ないでしょう?」
「本当に星がここに落ちたりしてな~!」
「や、やめてくださいよ。シャレになりません」
「にしてもなんで海と陸に落ちるように見えるんだろうな」
「なんででしょうね」
「朱子は分かんねえの? 星好きなんだろ?」
「そ、そんなの、地理とか視覚的な理由があるんじゃないですか?」
「俺は空が陸と海と会話をしているんだと思うぜ」
「出たわ。また練太郎のおめでたい思考。そろそろ3年生なんだからそういうのやめて大人になってよね」
「んだと!? 澪なんて考えもしなかったくせに!」
「は~? 別に私は考えても分からなかったから言わなかっただけよ」
「も~。喧嘩は学校でやってください。せっかく綺麗な星空の下なんですよ?」
少年と少女が楽しそうに言い合いをしている。
犬も吠えてその輪に参加した。
その様子を彼──朱子もまた楽しそうに止めていた。
その時に幾つもの星が空から大地と海に落ちていたが、彼らはそれに気がつかないくらいお互いに夢中になっていた。
夜空に輝く無数の星。
それらを数千年後も地上から見続けることが出来るかどうかは、新しく生まれたこの世界を生きる人々に委ねられている。
幻獣チルドレン──完結
ここまで読まれたあなたの評価、感想などいただければ幸いです。