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幻獣チルドレン  作者: 葵尉
第3章 楽園の終わり編
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新手②

新手②



 ────対ポルム組織ジズ ヘパスト・レンの工房



 「レンさん」


 霧がかかったような部屋に1人少年の声が入ってきた。


 何かを考えていそうな少年の目と口は下を向いて固まっている。


 その顔を下から見上げた住人はたまたま彼と目があった。


 「なんだエイドか。紅ノ心(ツバキ)は元気か?」


 「元気ですよ。でも見てもらいたくて」


 「お前は元気か?」


 (元気?まあ、可もなく不可もなく。いや、普通に元気かな。そうでもないけど、健康だし。なんて言ったら良いんだろう)


 「……そこそこ元気ですよ」

 

 その声はこの薄暗い部屋に隠されてしまいそうな声だった。

 

 「意外だった。お前ならあの戦いの後、ずっと落ち込んだままかと思ってた」


 「正直に言えば今も色々と考えてます」


 「何も考えないよりはマシだろう」


 「レンさんも考えますか?」


 「もちろんさ。あのたくさんの銃を毎日のように手入れすることが無くなって、楽になったな~。……ってな」


 男はあぐらをかいて床に座った。

 少年は男のその様子を見ていた。


 見ていたのかは分からない。

 目はその方に向いていたが、何かを考えていそうな口元。


 「なんだエイド。何かまだ用があるのか?」


 「実は……ないんです。ただレンさんの顔を見ておこうと思って」


 「何じゃそりゃ。気持ち悪いやつだな」


 少年は「へへっ」と自分でもそう思いながら笑った。


 「今度はちゃんと用がある時に来ます」


 「おう」


 少年は腰の刀を男に手渡すと部屋から出て行った。



 ────その日の夜



 僕は久しぶりにジズの玄関に来ていた。

 理由はもちろん天井で輝く光石(コウセキ)を見るため。


 今の時間だと地上()なら空には星というのがこれと同じように輝いている。


 僕はそれを見てみたい。

 それをみんなで見てみたい。


 平和になった夜の外で、地面に寝転がってそれを見たい。


 ・・・あれ? 誰かいる?

 少年は物が地面と擦れる音に気がつき周りを見渡した。


 すると丸い体つきのシルエットが動くのが、暗闇に慣れた彼の目が見つけた。


 そのシルエットが自身よりも大きな袋を引きずっていることも分かった。


 (もしかしてあれってチャップさん? でもなんでこんな時間に? 一体何を持っているんだろう)


 息を小さくしてチャップさんを見ていた。

 どこに行くのかと思ったらなんと地上と通じる洞窟の扉の前に立って、扉の横にある番号を触りだした。


 パスワードを入力してる!?  

 あそこのパスワードは僕でも知らない!


 頻繁に外とここを行き来する一部の人間や、クラス長や班長などしか知らないはず!

 

 そもそも戦闘員ではないチャップさんが知っているなんておかし──

 

 「動くな」


 後頭部に冷たい何かが当たった。

 何か筒状の物が髪の毛を押さえる。


 これは穴? 円? 

 この冷たさはきっと金属。そうか、鉄砲か。


 この人がどういうつもりで僕に銃を当てているかは知らない。


 でも僕はこういう時にどうしたら良いかを教わったことがある。


 両手をゆっくりと上げながら一気に刀を抜く!


 ──って、刀は預けていたんだった!


 「なんだ、エイドか」


 この声で僕は後ろにいる人が誰か分かった。

 

 だから「何で?」って、思った。


 「ドドさん?」

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