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幻獣チルドレン  作者: 葵尉
第2章 VSライコス編
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お別れの命④ 終戦


お別れの命④ 終戦



 ────数分後 荒野のとある場所



 子供を背負っているボロボロの青年。

 彼は今にも倒れそうなほど左右に揺れながら歩いていた。


 その背中の子供も服や髪がボロボロである。


 「こぺると・・・さん・・・こぺるとさん」


 「ごめん。ごめんな。お前を助けるとあの時に言ったのに結局俺は」


 「こぺるとさん。ぼくほんとうはもっと・・・じょうずにおにくやけるんですよ」


 「……ああ。今日焼いてくれよ」


 「こぺるとさん・・・こぺるとさん・・・」


 「なんだ? どうした?」


 「ぼく……あたまが……ふわふわします。コペルトさんのように……空を飛べそうです」


 立ち止まった青年は彼を自分の腕の中で抱えた。


 「こぺるとさん……こぺる....…とさん……kope・・・ru・・・」


 「どうしたんだよ。俺はここにいるぞジシス。ジシス。もっと話しをしてくれよジシス」


 ジシスの鼓動を感じなくなったコペルトは、それを強く抱きしめた。その名を叫んだ。


 何もない荒野で彼の声が風となり、彼から溢れる涙が子供の顔を伝い細い川となった。


 

 ******



 後日、対ポルム組織ジズの内部や生活区には「勝利!」「ライコスは全滅した!」との報告が流れた。


 しかし以下の情報は一部の者にしか知らされなかった。



 ─対ポルム組織ジズ損害─


 

 偵察クラス:死者  142人

       重傷    1人

       行方不明 17人


 ジズクラス:死者  7人

       負傷者 8人


 その他負傷者 31人

 


 ────数日後 ホールL ジズの玄関 



 何もなく広いホールに大勢の箱と銃などの武器100個以上が並べられている。


 今も傷や血などがかすかについている武器の前には、名前が書かれた紙が置いてある。


 一部には名前のない物もあった。

 誰が誰だか判別が出来ないらしい。

 

 こうして見てもどれも知らない名前(ひと)ばかりで、僕の知っている人はヤーニスさんだけだ。


 僕をここに車で運んで来てくれた人。

 あの人が死んだなんて全然実感がない。


 もう二度とその人と話す事できないなんて信じられない。


 今こうやって別れをしているのもなんでだろうって違和感を感じる。

 

 だってまた会えるんじゃないの?って、思うんだ。


 そうしないと、そうやって死を意識しないように生きないと辛くなる。


 戦いの後、ニアースさんは「何十人かが死んで」って言っていた。


 でも僕はこの状態を見てそうは思わない。


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 人数なんて関係ないんだ。

 人が死んだんだ。何度も何度も人が死んだ。


 どうしてみんな平気そうなんだろう。

 あぁ、そうか。この人たちは慣れているのか。


 ドドさんから聞いた僕の知らない昔、ポルムが現れたばかりの時には世界中の人が死んだ。


 きっと僕の目に収まりきらないほどの人が死んだのだろう。


 ──だからか?だからみんな今回は大したことないって思ってるのかな。


 関係ないのに。数なんて関係ないのに! 

 起きたことは同じじゃないか!

 

 制服を着ている少年、青年、そして白衣やエプロンなどそれぞれの制服着た大人たちの中、エイドだけが苦しい顔をしていた。

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