1章 6
火災現場までの道中、倉木 光織さんと七瀬 優弥さんは、今、俺の身に起こっていること、お医者さんと話していたことの内容について、教えてくれた。
「まず、お前は既に生きている人間ではない。」
唐突に倉木さんにそう言われた時は、耳を疑った。
「だが、完全に死んだ訳でもない。」
俺はますます耳を疑った。七瀬さんが俺の顔を見て、フフッと微笑んだので、きっと俺の頭の上にはクエスチョンマークが3・4個出ていたのだろう。
「まぁ、わからなくてもいい。その内わかってくることだからな。それで、お前の今の状況なのだが、お前は今、【進化者】として、生きていることになっている。」
「あの…。」
「ん?質問か?」
「はぁ、その、【進化者】と言うのは何なんですか?」
俺の質問に対し、倉木さんは一瞬七瀬さんに目配せをし、何かを確かめた後、俺の目を真っ直ぐ見つめ、こう言った。
「…【進化者】というのは、だな、その…、普通の人間よりも傷や病気の完治が早く、寿命も長くて、身体能力も遥かに上、という存在だ。」
「いや、特徴もいいですけど、なんて言うんだろう…こう……生物学的?立場はどうなっているんですか?」
俺のさらなる質問に、倉木さんはかなり困ったようで、少し黙った後、申し訳なさそうに俺に言った。
「すまない…。俺も優弥も、まだ【進化者】が人間とどういう関係なのか、わかっていないんだ…。正確には、ちゃんと情報を引き継げなかったんだ。」
「ちゃんと、引き継げなかった…?」
「この話はいずれする。今は、お前の身に起こった、ただの【進化者】という理由だけでは片付けられない、もう1つの異常な事について話そう。いいか?」
俺は黙って頷いた。倉木さんはそれを見て、話を続けた。
「さっきも言ったが、お前は火事に巻き込まれた。その際、全身にケロイドになるほどの大火傷を負った。流石の【進化者】でも、火事だと死ぬ者もいるし、ケロイドになった皮膚を元に戻すのに最低1ヶ月はかかる。なのに、お前はそれをたった5日間で完治してしまったんだ。しかも、焼け焦げた髪の毛も元通りになる・お医者さんに一生残ると言われた言語障害まで完璧に回復させるというおまけつきで。確かに、【進化者】も生物だから、例外個体がいてもおかしくない。だが、お前はきっと例外個体ではなく、一種の能力によるものだと俺は考える。」
「の、能力…?」
「あぁ、そうだ。だが、この続きもまた次の機会になりそうだな…。」
と、言いながら、倉木さんは窓の外に視線を向けた。俺もそのあとを追った。
そこには、ただただ真っ黒な灰が積もっているだけだった。
お久しぶりです。修羅男です。
読んでいただき、ありがとうございます。
今回は、場面を区切ることが出来なくて、非常に読みにくいものになってしまいました…。申し訳ない!次はもっと視点を変えて書いていきたいのでよろしくお願いします。
っと言っておいてなんですが、多分、次の更新はかなり遅れます。まだTwitterでは言ってないのですが、浪人することになりまして、少し離れるかもしれないのです。その辺をご了承ください。
次はいつになるか分かりませんが、また次回お会いしましょう。