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進化者の聖典(仮)  作者: 修羅男
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1章 その5

倉木(くらき) 光織(みおり)さんとお医者さん、看護師が出ていってからおよそ10分が経った頃、倉木さんと七瀬(ななせ) 優弥(ゆみ)さんだけが帰ってきた。かなり深刻そうな面持ちだった。やはり、俺が何かしたんだろうか…?おそらく、俺も不安げな顔をしていたのだろう、倉木さんが俺の顔を見て、

「心配させてすまないな。お前が悪いんじゃないんだ。ただ、本当にお前が噂どおりなもんだから、少しお前の身を案じているだけなんだ。」

どういう意味だ?俺が噂どおり?噂されるほど有名でもないし、噂されるような凄い頭脳も運動神経も俺は持っていない。どの界隈で俺は噂されていたんだ?

待て、そもそも、何故俺は病院にいる?何故拘束されなきゃならない?この人たちは意味もなくあまり知らない人のことを拘束するような人たちじゃないのは、この少しの間でも伝わる。じゃあ、俺に問題があるのか…?そういえば、全身に包帯が巻かれていた…。全身に包帯を巻くってことは、火傷か…?全身に火傷を負うとなると、かなり大規模な火災のはずだ。

ここで、俺は激しい頭痛に襲われた。と同時に、自分が記憶を失っているのがわかった。咄嗟に失った記憶を思い出そうとするが、頭痛が邪魔して、思い出すことに集中出来なかった。頭痛によって顔を歪めると、七瀬さんが心配そうに俺の顔を覗き込んだ。

「無理しなくていいよ!私たちももっとしっかり調べるから!だから、今は無理しないでしっかり休んで…」

「大丈夫です。おふたりに迷惑かけるわけには行きませんから。」

あれ?話せた…。何となく、身体に元の感覚が戻ってきたような気がした。やはり、2人は話せたことにかなり驚いたらしく、七瀬さんは開いた口が塞がらない状態だった。すると、そんな七瀬さんの様子を見た倉木さんが、ふと一息つき、

「口がきけるようになったなら話が早い。互いに知ってることを教え合うとしようか。じゃあ、まず、お前の名前と生年月日、好きな食べ物、家族構成を教えてくれ。」

と言った。

俺は素直に答えた。名前は神島(かみしま) 翔一郎(しょういちろう)、西暦2000年1月25日生まれ。覚えている。好きな食べ物は母さんが作った唐揚げ……。どんな味だっけ、全く思い出せない…!?なんで?と、とりあえず、家族構成を思い出そう…。家族構成は父さん、母さん、(はるか)、あとインコが1羽と犬が3匹………。ここで、俺の口が止まった。みんな、どうしたんだろう?俺が病院沙汰になったのに、なんでみんなお見舞いに来てくれないんだ?まさか、みんなの身に何かあったのか?俺が火傷を負った火事が影響してるのか…?顔が青ざめていくのが一気にわかった、でも確信が持てない…。その様子を見たのだろう、倉木さんが口を開いた。

「大丈夫か?一旦俺の話に集中しろ。その様子だと、基本的なことは覚えているらしいが、何があったかは思い出せてないらしいな。まぁいい。では、こちらからも知ってることを話そう。まず、お前の身に起こったと思われることだが……」

ここで倉木さんは少し間を置いた。俺も身構えた。

「……おそらく、お前は放火にあった。」



その一言を聞いてから、翔一郎くんは荒れに荒れた。私は彼の苦しみを知っている。私も、七瀬 優弥も家族を殺され、私自身も殺されたからだ。突然訪れた永遠の別れ、初めは嘘を聞かされた気分になり、その後なぜ自分が生き残ったのか、なぜそんな目に合わなければならないのか、自問自答が始まり、最後は自暴自棄になり暴れる…。彼は私と一緒だ。だから、私も師匠にされたように、彼を救ってあげなきゃな。



「まだ犯人は見つかってない。周辺住民の聞き込みから、出火したのは夜の10時頃と推測されるんだが……。」

泣き疲れて、俺はただボケーッと聞き流すような形になっていたが、ここで、俺はある疑問を抱いた。10時?俺が出かけたのは確か8時半だった…。アイスを選り好みしていたとはいえ、10時まで伸びることはない。その旨を話すと、倉木さんは顔をしかめた。

「おかしいな……。近所の住民が嘘をついている様子はなかったし、でも何かが燃えれば匂いですぐ気づくはず。しかも、お前が帰ってきたのが9時だと仮定すると、9時頃帰宅したお隣の旦那さんも何もなかった、誰も見てないという証言と矛盾する……。」

話を聞く限り、俺が見たことと実際に起きたことはかなり食い違っている。真実を知りたい、その一心で俺は倉木さんに頼んだ。

「俺を、家に連れていってください。お願いします。」

「ダメだ。お前はまだ完治していないし、第一ショックから立ち直っていない。今のお前が行っても現場の邪魔になるだけだ。」

「大丈夫です。お願いします…!」

倉木さんは俺の目を真っ直ぐ見つめ、それから少し悩み、口元に人差し指を当てて言った。

「……医師には秘密だぞ。」

「光織ちゃん!流石に…」

「大丈夫だ、優弥。コイツの(つよ)さを確かめるいい機会じゃないか。」

「でも!下手したらもう…!」

「大丈夫。信じよう。」

俺も口を挟んだ。

「七瀬さん、大丈夫です。ご心配ありがとうございます。でも、俺は知りたい、知らなきゃいけない!」

七瀬さんは黙って少し考えて、それから、

「分かったわ。でも、絶対に無理はしない。辛くなったらいつでも言ってね?」

と言った。俺は黙って頷き、そして拘束を解かれ、立ち上がった…。

皆さんどうも、修羅男です。

今回も読んでいただき、ありがとうございます。


ペースが早い?いい事じゃないですか。もっと喜びましょう!今回は移動の間に書いたので文章量も多くなり、俺的にはかなり満足でございます。


実は、俺はアンナチュラルにかなりハマりまして、「これから死について書こうって思ったのに、アンナチュラルにかてるきがしねぇぇぇ!!!(幼児化)」っていいながら最終回を見てました。良かったですね、最後。あんな深い作品書いてみたい。(小並感)


さて、ようやく「」が増えてきて、小説らしくなってきました。今後ともよろしくお願いします!

ではまた次回お会いしましょう。

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