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異世界に飛ばされたらメールだけ現代と繋がった!  作者: ファンタ爺LV999
34/140

34 氷河の情報です

「異世界だけど地球?」と「異世界人と接触せよ」を書き換えました。

流一達は『雪花亭』に帰るとエレン、セリーヌも加え全員揃って食事をする事にした。

『デザートイーグル』の他にもハンターと思われる宿泊客が多数食事している。


一通り注文が終わると、5人はギルドで貰った地図を広げて翌日からの狩りについて話し出す。


「さすがに氷河って何も無いよね。取り敢えず明日は初日だし1番近いこの目印の近くで狩りをしてみない?」


流一が地図に書かれた1番近い目印を指差しながら言った。


「うーん、そこだと他にも行く人が多そうだから獲物が少ないんじゃないかな?」


セリーヌがもっともな意見を言う。


「それはそうなんだけど・・・俺たち氷河は初めてだろ、だから移動とか氷の上での戦い方とか少し慣らした方が良いと思って」


「そうか、確かに。何かあってもすぐに帰れるし、他のハンターに助けを求め易そうですしね。うん、良いんじゃないですか?」


「そうね、私も氷河での戦いって初めてだから感触を掴まないとね」


ユリアナの言葉にアメリアが続いた。


そして明日は地図で1番近い目印の近くで狩りをする事が決まった。


食事を終えるとアメリアとユリアナは揃って部屋へと帰って行ったが流一は何やら考え込んでいる。


セリーヌとエレンも部屋に帰ろうとしたが


「師匠、どうしたんですか?」


とエレンが不思議そうに聞いてきた。

エレンは馬の調教中ずっと流一に魔法を教えて貰っていたので、最初は冗談半分で師匠と呼んでいたのだがいつのまにか癖のようになってしまい、以来ずっと師匠と呼んでいる。


「ああ、俺氷河についても氷河の魔物や動物についても何も知らないだろ、だから誰かに聞けないかなと思って」


流一は氷河どころかこの世界自体をまだあまり良く知らない、それでもこれまではどこへ行っても他の誰かが知っている事ばかりだったので気にはならなかった。


しかし今回、氷河については提案したセリーヌを含め全員知らない事ばかりだったので不安になったのだ。


今なら周りにはハンターらしき人がたくさんいて食事をしている、なのでその人達から何か情報は聞けないかと考えていた。

しかし流一はその手のコミュニケーションが苦手なのでどうしたものかと考え込んでいた。


「そう言えば私も何も知りませんね。セリーヌは氷河の事をどれくらいしってるの?」


「私もレアな素材が取れるくらいしか知りませんね、提案しておいて申し訳ありません。しかしこの町に知り合いがいますので今から話を聞きに行きますか?」


セリーヌは、まだ国に仕える騎士だった時に外交使節団の護衛としてこの国を訪れておりライヒブルクにも来た事があった。

そしてその時にライヒブルクの騎士とも交流を持っていたのだ。


そして今回、ライヒブルクに行く事が決定してからその内の1人に手紙を出して会いたいと打診していた。

セリーヌは移動続きのため返事は受け取っていないが今夜会いに行く予定であった。

当初は1人で行くつもりだったが、流一の言葉に納得したセリーヌはエレンと流一も連れて行こうと考えたのだ。


セリーヌが会う予定の人物はイリアと言う女性騎士で、男性の多い職場にあって共に女性騎士として同じ悩みを共有する同士のような友人だ。


イリアの家は騎士爵のため馬房は大きくは無いが、3頭くらいなら繋いでおける庭くらいはあるらしい、そのため少し距離が離れている事もあって馬で行く事にした。


通常夜は馬での移動はしない、周りが見えないので大切な馬が怪我をする危険が大きいからだ。

なのでセリーヌは最初歩いて行くつもりだった。

しかしここは町の中のため道路が整備されていて危険が少ない事と、流一とエレンがライトの魔法で周りを照らしながら移動出来るので馬を使う事にしたのだ。


イリア邸に着くとイリアが笑顔で迎えてくれた。


「久しぶりだねイリア、元気そうで何よりだ」


「よく来てくれたねセリーヌ、あなたこそ元気そうだ。ところでこちらの2人は?いやそれは中で聞こう、さあ遠慮せず入ってくれ」


そう言って突然の訪問にもかかわらず歓迎してくれた。


「突然押しかけて申し訳無かったね」


「何を言う、手紙を貰ってからいつ来るかいつ来るかと楽しみにしてたんだよ。ところでこちらの2人は?」


「私が騎士を辞めたのはもう知っているだろう?」


「ああ、突然の政変で驚いたが他国の事なので何も出来なかった、すまない」


「なにを謝っているんだ。政変はあなたのせいでは無い、止められなかったわたし達の責任だ、だからそう気にやむな。それより私は今ハンターをやっていてね、この2人はそのパーティーのメンバーなんだ」


「ハンターパーティー『デザートイーグル』のリーダーをしてます流一と言います。突然の訪問にもかかわらず歓迎していただきありがとうございます」


普段は使わない丁寧な言葉で謝意を示した。


「私はエレンと言います、魔法使いで後衛を担当してます、よろしくお願いします」


「そうか魔法使いなのか、こちらこそよろしく」


イリアは魔法使いに興味があるのか好奇の目でエレンを見ている。


「後2人アメリアとユリアナって言う前衛の子がいるんだけど今日は来ていないんだ。そうそうイリア、実はこんな格好だが流一も魔法使いなんだよ」


「えっ!流一さんも?」


セリーヌにもこんな格好とか失礼な言い方をされたがもう慣れてしまった。


「ところで今日2人を連れてきたのは氷河の事について知りたかったからなんだ。明日から氷河に行くつもりだけど何も知らないのは危険だと思ってね。イリアならライヒブルクも長いしいろいろ知ってると思って連れて来たんだ」


セリーヌがイリアに説明すると


「長いって、イリアさんはライヒブルク出身じゃないんですか?」


と流一が変なところに食いついてきた。


「そうだよ、イリアは王都の少し南西にあるローランド伯爵領の出身なんだ。と言うか正式な名前はイリア=フォン=ローランドと言ってローランド伯爵家の長女なんだ」


「えっ!イリアさんは貴族だったんですか?」


セリーヌからの意外な情報に驚く流一。

しかしエレンは驚いていない、というより知っていた。


エレンは社交界デビュー前に政変があったためエレノア=ベスティア=フォン=フランドルの名前は広く知られていたが顔は殆ど知られていない。

逆に社交界デビューを目指して勉強はしていたので近隣国の貴族は殆ど覚えているのだ。


「そう硬くならないで、確かに家は貴族だけど私自身は準貴族の騎士爵なんだから」


イリアはそう言って流一に微笑みかけた。


この世界の王制国家の階級は第1位王家、第2位公爵、第3位侯爵及び辺境伯、第4位伯爵、第5位子爵、第6位男爵、第7位準男爵とここまでが貴族で第8位騎士爵、第9位名誉貴族が準貴族となる。

貴族と準貴族の違いは爵位を相続出来るかどうかである。

そして、騎士爵は貴族の子弟、名誉貴族は国への貢献が著しい平民に与えられる。

因みに地位が上がる昇爵が有るのは第8位の騎士爵までである。


なので普通は騎士爵の時点で貴族の子弟とわかるのだが流一はまだそこまでこの世界に詳しくなかった、ただ騎士爵は貴族では無いということしか知らなかったのだ。


一通りイリアについて聞いた後本題の氷河の事についても詳しく聞いた。


それによると、氷河では魔物領域と呼ばれる範囲はあるが目印や境界が無いためベテランのハンターでも位置を特定出来ないらしい事。

氷河では野営が困難なためあまり奥地の方に行った者が居ない、そのため今でも数年に一度は新種が発見される事がある事。

氷河では弱い北風が吹いている日が多いので目印を見失った時は風を頼りに移動する事。

狩った獲物を解体する場合、もしそこが魔物領域であっても解体しても問題無い事。

もし新種を発見した場合、それが動物でも魔物でも報奨金が10000マニ出るので解体せず持ち帰る事。

ごく稀にマンモスに出くわす事があるが、魔物で無くてもAランクパーティーが全滅覚悟で討伐するのがやっとの強敵なので見かけたら遠くても逃げる事、因みに魔物化したマンモスはまだ一度も発見されていないらしい。

氷河の中での野営は極力避ける事。もし避けられないのであれば風を凌げる場所を見つけ眠らない事。

氷河では厚着のため普段より早く疲れるのでこまめに休憩を取る事。

などベテランハンター並みに教えてもらえた。


「ありがとうございます、これで心置きなく氷河に出発出来ます」


「どういたしまして、セリーヌの仲間なら私にとっても友人なのでお役に立てて嬉しいです」


「イリアありがとう、私からも礼を言う」


「いいわよ、これくらい。それよりエレンさんと流一さんは魔法使いなのよね、属性とか聞いても良い?」


イリアはやはり魔法使いに興味があるようだ。


「イリアさん、それについては教えても良いんですが他言無用でお願いしてもいいですか?」


流一は基本的には『デザートイーグル』のメンバー以外に魔法の秘密を教えるつもりは無かった。

しかしイリアはセリーヌの友人であり、何の見返りも求めず氷河について詳しく教えてくれた恩人でもある、なのでイリアだけならと考えたのだ。


「あら、人に言えない特殊な魔法が使えるの?それとも2人ともダブルとか?何にしても興味深いわね。いいわ、他の人には絶対に話しません」


「実は僕達は2人とも全属性使えます」


「なんですってー!!!」


思わず大声が出てしまった。


「どう言う事?ダブルどころか全属性って、それも2人ともって」


そして流一は魔法の秘密をイリアにも教えた、ただしイリアにも使えると言う事は内緒にして。


「はーそうだったの。確かにそれはあまり人に言わない方がいいわね。ところで、それなら貴方達は身体強化も出来るのよね」


「はい、出来ます」


「それなら貴方達は氷河では有利よ。もうわかるでしょうけど目印の近くはハンター達が多い分獲物が少ないの。目印を見失うと命に関わるからね」


「そうですね、僕達も目印を見失わないようにしようと思ってます。あっ、そうか!身体強化で視力を上げれば他のハンターより遠くまで行けるって事か」


「そうよ、明日から頑張ってね」


「はい、ありがとうございます」


「じゃあ今日はもう遅いので帰りましょうか。イリア、今日はありがとう。私達はしばらくここにいる予定だからまた来るわ」


「ええ、待ってるわ。次は残りの2人も連れてきてちょうだい、歓迎するわよ」


「「「ありがとうございました、おやすみなさい」」」


3人仲良く挨拶すると『雪花亭』へと帰って行った。


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