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異世界に飛ばされたらメールだけ現代と繋がった!  作者: ファンタ爺LV999
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32 お風呂は大事

時間が無くて閑話的に書きました。

それから前半を少しずつ書き直す事にしました、まずはプロローグだけ描き直してます。

ベイルーンでの初の依頼も完璧にこなした『デザートイーグル』の面々、依頼品以外の素材も結構な額になった為ちょっと高級な宿屋に泊まろうということになった。

要するに大商人や下級貴族の泊まるレベルの宿屋だ。


とは言え別に『デザートイーグル』が贅沢になったわけでは無い、主に流一が主張したせいだ。

曰く

「たまには風呂に入りたーい」

と言う事で。


流一は元の世界では当然平均的日本人として毎日風呂に入っていた、それがこちらの世界に来てからは川で水浴びをしたり濡れタオルで身体を拭くだけだったのでそろそろ限界が来ていたのだ。


ただ、遠慮して言い出せなかっただけで、元王族のエレンと貴族のセリーヌも同じ思いだったので直ぐに賛成してくれたのもちょっと高級な宿屋に決定した理由の一つだ。


そして貴族街に程近い『黄金の夜明け』という名の宿屋に決めた、宿屋と言うよりはホテルと言った方が良い作りである。

『〜亭』と付かないのも高級店らしくて良い、ちょっとだけだが。


当然の事だが金額がもっとも高級店らしさを表している、今までは1人一泊40〜50マニだったのが今回は1人一泊300マニだ。

つまり5人で1500マニ、前回の依頼料の全額である、依頼品以外の素材の売上があるため赤字では無いのがせめてもの救いである。


時間ももう遅いのでさっさとチェックインする、受付は当然と言うべきか若い人族の女性であった。

少しだけ獣耳を期待していた流一は何気にガッカリしているが、今回は誰にも気付かれていない。

気付かれないからどうしたという感はあるが。


部屋は流一がシングル一部屋、アメリアとユリアナでツイン一部屋、エレンとセリーヌでツイン一部屋の三部屋である。


因みに風呂は部屋には無く大浴場のみである、一部屋ごとに風呂が有るのはそれこそ貴族の贅沢、いや特権なのだ。


部屋に入ると早速食堂で夕食にした、風呂を先にすると集まるのがバラバラになると考えたからだ。

そして今後について話し合う。


「明日からはどうする?このままここベイルーンで依頼をこなす?」

アメリアが切り出す、リーダーは流一なのに・・・。


「ここは王都だよね、この国で1番大きい街なんだしここで良いんじゃないの?」

何も知らない流一がそう答えると、


「それは違うよ流一、この国では北のラインハルト辺境伯領のライヒブルクが1番大きな街なのよ。そしてそのラインハルト辺境伯領の北に広がる氷河地帯が多数のレアアイテムの取れる魔物領域なの」

とセリーヌが教えてくれた。


「そうなんだ、じゃあライヒブルクに行った方が良いって事?」


「まー普通はそうなんだけど。もうすぐ冬でしょ、冬の氷河は慣れない人には厳しいらしいから。もっともそのおかげで素材の値段も上がるんですけどね」


「そうか、寒さ対策が必要なのか。じゃあ皆んなはどうしたいの?」


「私は出来れば行きたいんだけど、実は私の剣はもう寿命みたいなんだ。それでライヒブルクなら良い剣の素材があるはずだから剣を新調したいと思って」

とセリーヌが意見を言った。


「そういえば私の剣も新調した方が良いかも、でもパーティーの予算は二本分までは無いわよね」

とアメリアがユリアナにふる。


「そうね、まだそこまでの余裕は無いわね」

頬に手をやりため息交じりに答える。


「じゃあ、取り敢えずライヒブルクに行って現地で依頼をこなして買えば良いんじゃないの?」

流一の言葉に全員賛成して翌日はライヒブルクに向け出発することにした。


女性陣は賛成はしたがあまり乗り気ではない、ノー天気な流一とは違い全員寒さは苦手なのだ。


そして大浴場、当然男女は別だが浴槽は3人がやっとくらいの広さしかない。

なので女性陣は部屋毎に2人づつ交代で入る事にしたらしい。

それでも久しぶりの風呂に癒されている。


流一は1人なので他のお客さんが来なければ十分な広さだ、そして運良く誰も来なかった。

というより他のお客さんは皆食事前に入っていたのだ。

なので久しぶりに風呂を堪能して幸せに浸っていた。


その夜、よほど嬉しかったのか早速ヨネ子に報告する。



「マーガレット、久しぶりに風呂に入ったよ」


【あらそう】

ヨネ子の反応は鈍い、ヨネ子にとってはどうでもいい事なので当然だ。


「もっと何か無いの?反応薄いよ」


【貴方がはしゃぎ過ぎなのよ、異世界だって人が生活してたら風呂くらい入るでしょ】


「俺にとってはこっちに来て初めての風呂だよ、そりゃあはしゃぐだろ」


【だったらこれからは毎日入るようにすればいいでしょ】


「それが出来たら苦労は・・・・・方法があるの?」

なぜかいつに無く勘が鋭い、というより偶然である。

ヨネ子は別に何も考えずに言っただけだから。


しかしそう言われればあると答えるのがヨネ子クオリティである、『マッド才媛ティスト』の名に掛けているかどうかは知らないが。


【収納魔法と身体強化が有るんだから風呂ぐらい持ち歩けるでしょ。なんなら設計図を書いてあげましょうか?】


「確かに、でもお湯は?ウォーターで溜めてファイアーボールで温めるとか?」


【そうね、ならウォーターの魔方陣に温度設定をつけてあげるわ、攻撃にも使えるようになるし一石二鳥ね。取り敢えずマイナス2度から120度くらいの間でどう?】


「あれ?水って0度から100度の間じゃないの?」


【流一、過冷却って言葉知らないの?それから高圧状態だと沸点が上がる事も、高校ではちゃんと勉強してたの?】


「あー、そういえば。こっちの生活に慣れ過ぎてて忘れてただけだよ」

実際、流一には過冷却水や100度超のお湯の使い方なんかは思いつかないが出来ないよりは出来た方がいいのでそのままお願いした。


翌日、ヨネ子から風呂の設計図とウォーターの改良魔方陣が送られて来たが、実際に風呂を作るのはまだ先になる。


そしてその事はまだ女性陣には内緒にしている。









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