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異世界に飛ばされたらメールだけ現代と繋がった!  作者: ファンタ爺LV999
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3 異世界と言えば魔法でしょ

時間が出来たので連続投稿してみました。

流一は写真を送った後火を起こす準備をしていた。

釣り道具と同じくサバイバルナイフの柄にはマッチも入っているからそれを使って。


流一は取り敢えずヨネ子から返事が来るまで何もする事がない、なのでそろそろお腹が空き始めた事もあり釣った魚を焼いて食べようと思ったのだ。


こんな状況でもお腹は空く、とはいえ初めて見る魚を食べようと思う者はそういない。

毒性生物や寄生虫のリスクが高いからだ。

とはいえ、それでも食べようとする流一の鈍感力はサバイバルには大切な能力とも言えるのだが。


だがまだ火を起こす前にヨネ子からメールが来た。

【そこは地球じゃ無い可能性があるわ】


流石の流一もそんな言葉を直ぐに信じたりしない。

いや、普通の人間ならばほぼ全員信じないだろう、そういう意味では流一の反応は普通である。

なので『はあ?何を言ってるんだヨネ子のやつ』

と呆れたようにメールを見つめる、そしてヤレヤレという感じで返信する。


「お前、こんな時にそんな冗談言うキャラだったか?」


「俺は本当に困ってるんだから真面目に答えてくれよ」


あまり助けてもらおうという人間の言葉遣いでは無い、しかも『困ってる』とは言いながら慌ててもいない。

この時点では流一はまだ地球に居ると思っているので、なんとか人のいる場所に辿り着ければ帰れると思っているからこそだ。


すると直ぐに返事が来た。

【冗談では無いわ、私は真面目よ】


それを見た流一は少し怒った、それが普通の反応だろう。

「ここが地球じゃ無ければ何処だって言うんだよ!見たことも無い魚がいるからってだけで決めつけるなよ!」


普通であればヨネ子も怒るところだが、自分の置かれた状況を理解していなければ当然の反応なので今回は怒る事は無かった。

しかし、だからこそ流一に現状を認識させなければならない。


【それだけじゃないわ、流一は自分の撮った石柱の写真を一度でも見た?】


ヨネ子からすれば諭すような問い掛けだが、ただの文字なので流一には今ひとつヨネ子の気持ちが通じない。

しかしメールが出来るようになった時の事を思い出して少し冷静に考えられるようにはなった。


「いや、見てないよ!そういえば最初に撮った石柱の写真を見た時にそのアドレスが勝手に登録されてメール出来るようになったんだ、あれは不思議だった。そもそも圏外だったのに」


【それ以外の写真は見てないの?】


「ああ、見てない!って言うか見ようとしたんだ、でも最初の写真を見た時にメール出来るようになったからすっかり忘れてた」


【じゃあ今見てみて、知らないはずの文字が全て読めるようになってるはずよ】


そのメールを見て『まさか』とは思ったが、直ぐに見らずにはいられなかった。


そして写真を見る、

『ファイア:火を生み出す魔法』

『ウォーター:水を生み出す魔法』

『フレイムランス:炎の槍を作り出し攻撃する魔法』

等々、文字自体は知らないはずなのに読めた、いや正確にいうなら理解出来たというべきだろう。


驚いた流一は直ぐにヨネ子にメールした。


「どういう事だヨネ・・・マーガレット!なぜ読めるんだ?」


今度は少し慌てている。

『知らない文字なのに読める』このあり得ない事実が物語る事、それはヨネ子の言う通り地球では無い場所にいる可能性があるという事だ。


【写真の中に超言語と書かれた魔法陣があったでしょ、その魔法が発動したからだと思うわ】


「なんだって?じゃあここは魔法が使える異世界って事なのか?」

魔法が使えるイコール異世界、オタクである流一の認識はこうだ。

あながち間違ってはいないのだが何故か声が弾んでいる。

もっともそれは文字しか見れないヨネ子に伝わる事は無い・・・運良く。


【確証は無いけどね。魔法にはマナと呼ばれる物質が関係してると聞いた事があるわ、地球にはほとんど無いものだから魔法が使えたら異世界確定ね】


「ほとんどってなんだよ!地球にも少しはマナとかいう物質が有るっていうのか?」


流一もマナについては知っている、とは言えオタク小説の中の知識でしかないが。

なので地球には無い想像上の物質だと思っていた。


【全然無ければそもそもマナという言葉さえ出来ないでしょ、少しは有ってそれを使える、もしくは感じることが出来た人が過去には居た可能性が高いって事よ】


そうは言うがそもそもヨネ子自身が言っている通り確証は無い、つまり自信満々で答えてはいるがこれは全てヨネ子の仮説である。

もっとも『マッド才媛ティスト』の仮説がそう外れるわけもない、確証は無くとも確信はしているのだ。


【それより他の魔法が使えるか試してみてちょうだい。もし使えたらほぼ異世界と思って間違いないわ】


そう言われれば魔法を使ってみるしかない、しかし流一はここで重要な事に気付いた。


流一は表向きはミリオタである、なので予測不能の事態に慌てて何も出来ずに負けた戦史をいくつも知っている。

さらにヨネ子のせいで忘れがちだが高校生としては優秀な方なのである。

つまり今の予測不能の事態にも冷静になれるだけの知識と資質があった。

そして冷静になったからこそ気付いたのだ、『ヨネ子も超言語の魔法を使っている』という事に。

なのでその疑問をぶつける。


「なんでだよ、地球でも魔法が使えるんじゃないの?マナも0ってわけじゃないんだろ?そもそもマーガレットも超言語の魔法が使えてるから気が付いたんだろ、地球でも魔法が使えてるじゃないか」


【それは違うわ。私が超言語を使えてるのはそっちの世界のマナがスマホを介して流れて来てるからよ。そちらの世界とは電波での交信は出来ないから代わりにマナで交信しているのよ、そのマナが使えてるの】


これももちろんヨネ子の仮説である。


「なるほど、電波の代わりにマナで交信してるからメールが出来るのか。わかったそれじゃ試してみるよ」


ヨネ子の説明に流一も納得せざるを得なかった。

そしてワクワクしながら魔法を使ってみる。

そう、流一は既にこの異世界を楽しもうとしているのだ、鈍感力のなせる技である。


「まずはやっぱりこの『ファイヤー』からかな異世界小説のお約束だし、ってどうやったら良いんだ?・・・異世界小説なら魔法はイメージだっていうし、とりあえずライターでもイメージしてみるか」


そう独り言を言いながら心の中でライターの火をイメージしながら「ファイヤー」と小声で呟く、すると指先にイメージ通りの火がついた。



「うわぁっちちち!!!」

大声を上げて驚くと同時に熱がる流一。

あまりに恥ずかしい驚き様に、周りに人が居なくて良かったと胸を撫で下ろした。

そして学習した、魔法で出しても火は熱いと。

当たり前だがこれも経験だ。


もう一度同じようにやってみる、今度は指先から1センチほど離れるように。

するとやはり同じように火がつくが今度は落ち着いたものだ・・・熱くないので。


その後イメージのコツを掴んだ流一は水や風の魔法等一通りやってみた、すると使える魔法と使えない魔法がある事が分かった。

出来ないものは名前や説明からなんとなくレベルの高い魔法のように感じた。


流一は魔法が使える事に喜んだ、しかし使える魔法が少ない事にはガッカリした。

と同時に異世界に居る確証も取れたわけである、誰にも出来ない経験が出来て喜ぶべきか、少なくとも直ぐには帰れない事が確定して悲しむべきか複雑な心境の流一であった。


そして、うるさいほどの大声での独り言を交えた脳内妄想による葛藤を終えると、ようやくヨネ子に結果のメールを出す事にした。


✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎



流一とのメールがひと段落ついた後、超言語の魔法が使えるのなら他の魔法は?と疑問を持ったヨネ子は他のファイヤーやウォーター等の魔法を使ってみる事にした。


先ずは『ファイヤー』から、しかし使えない。

では『ウォーター』は?やはり使えない。

流石に3回目ともなれば予想はつくが『ウィンド』を使ってみる、やはり予想通り使えない。


ヨネ子も流一と同じようにイメージで使おうとした、しかもイメージ力は流一より上である。

しかしヨネ子には使えなかった、その原因が地球だからか使い方が間違っているのか今の時点ではわからない。


そこで、放出系だから出来なかったのでは?と考えて身体強化を使ってみる事にした。

先ずは『瞬発力強化』を使いその場で垂直跳びをする。

普段のヨネ子が本気で跳んだ場合1メートル50センチほど跳べる、これだけでも異常な数値だ。

しかし魔法を使ったヨネ子は身体に違和感を覚えたのか軽く跳んだ、なのに3メートルほどある天井に頭がぶつかりそうになるほどだった。

身体強化の魔法はヨネ子にも使えたのだ。


結局身体強化は一通り使える事が分かった、さらに収納魔法も使える事が分かった。

ただし、収納魔法は着ている服の内側やポケットでしか使えない。

これらの事実から導き出される答え、それはスマホを通して入ってきたマナは洋服の内側に限り使えるという事だ。


なので、実験をする事は無いが『ヒール』のような治癒魔法も自分に対してだけは使えると予測出来る。


さらに言えば『ファイヤー』や『ウォーター』も服の内側なら使えるかもしれない、もし出来たとしても使う事は無いが。


ただ、『ウィンド』は温度調節が出来ればエアコン代わりに使えるかもとはチョットだけ思っている。

一流暗殺者や『マッド才媛ティスト』とは言っても、ヨネ子にもそれくらいの茶目っ気はあるのである。


とりあえず一通りの検証を終えると、いくつかの魔法が使えることがわかったので魔力操作の訓練をする事にした。

とは言え何をしたらいいのかマニュアルがあるわけでは無い、とりあえずは瞑想すれば魔力を感じる事が出来ないかと思い瞑想から始めた。


しばらくすると検証が終わったのであろう、流一からメールが来た。


【マーガレットの言う通り全部じゃないけど魔法が使えた!本当に異世界に来たみたいだ】


流一のオタクぶりを知っているヨネ子はもう少し興奮した感じのメールを予想していたが、意に反してシンプルで冷静なメールで驚いた。


だからと言う訳では無いが、どう返事して良いかわからずにいた。

シンプル過ぎて流一の感情が読めなかったからだ。

しかし次のメールで方針が決まる。


【マーガレット、俺はこれからどうなるんだろう?どうしたら良い?】

と聞いて来たのだ。


やはり不安の方が大きいようである、まぁそれがもっとも一般的な反応ではあるのだが。


ヨネ子は流一を助けようと決めた、出来れば地球に帰還出来るようにと。


間違っても流一を題材に異世界小説を書こうとか、今のままの方が自分も魔法が使えて便利とか思った訳では無い・・・・・とも言えない。



今回からいよいよ異世界らしくなって来ました。

でもまだ登場人物が2人のみなんて。

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