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異世界に飛ばされたらメールだけ現代と繋がった!  作者: ファンタ爺LV999
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14 異世界の常識って?

レクスブルクまでは乗合馬車で一週間、途中2日目と4日目に小さな村に寄って水や食料を補給しながらの旅だ。

村ではもちろん宿屋に泊まって良い、なので村にはそういう旅人用に安くてモーニングコール付きの宿屋がいくつか有る。


翌朝、馬車の乗り場に行くとアメリアとユリアナは同乗者たちから歓迎された。

どうやら剣と槍を持っているためハンターと思われたようだ。


二人はハンターになるためにレクスブルクに行くと説明すると、それでも歓迎された。


この世界では乗合馬車はもっとも安全な移動手段として浸透していた。

何故なら魔物領域には近づかないコースを進む事ではぐれ魔物に襲われるリスクを下げ、盗賊から襲われることはほぼ無いからだ。


昔は盗賊に襲われる事もあったが、乗合馬車のギルドがハンターギルドと手を結びハンターギルドの人員の移動や物資輸送を業務に支障の無い範囲で無料にする事で、盗賊に襲われた場合は直ちに討伐に向かい徹底的に叩き潰すようにしたのだ。

そのおかげで、今では乗合馬車は護衛がいなくても盗賊に襲われる事がほぼ無くなった。


完全に0とならないのはどこの世界でも頭の不自由な人はいるからなのだろう、外見的な意味では無く。


ハンターギルドとしても輸送費がほぼゼロになることで沢山の買い取り出張所を設置する事が出来たので、ハンターの狩りの効率を上げることで収益増がはかれたので正にウィンウィンの関係だ。


しかしごく稀にはぐれ魔物に襲われることは有ったので、『未来の』との冠が付いてもハンターは歓迎されるのだ。


今回ははぐれ魔物が出る事もなく無事予定通り一週間でレクスブルクに着いた。


もっとも三人ははぐれ魔物に遭遇したおかげで今ここにいるので、またはぐれ魔物に襲われるとしたら宝クジ当選並みの不運・・・いや三人にとっては幸運か?なので何も無くて当然なのだが。


移動の途中で流一はこの世界の常識について二人からレクチャーを受けていた。

途中とは言っても馬車の中では他の乗客に不審に思われるため、二回泊まった村の宿屋の中でだ。


それによると、北欧神話の『アースガルド』や某吊り目の猫が主人公の物語の『◯チフィールド』のようなこの世界そのものを表す言葉は無いらしい。

しかしこの世界は未だ天動説が主流のため『地球』のような星を指す言葉も無い、そのためこの世界全体を指す言葉としては『大陸』となるがほとんど使われる事は無いらしい。


通貨は単位がマニで銅貨(1マニ)・小銀貨(10マニ)・銀貨(100マニ)・金貨(1000マニ)・白金貨(10000マニ)の5種類の硬貨が流通している、因みに1マニは現代の100円相当の価値になる印象だ。

さらに、通貨の管理は各国の商業ギルドが国の委託を受けて行い、ほとんどの国の商業ギルドが連携しているためデザインは違っても金属の含有量を統一する事でどこでも使用可能としている。

おかげで国ごとに両替えする必要は無い。


1年は365日で12ヶ月、1・3・5・7・9月が31日でその他は30日、さらに4年に一度11月が31日になる閏年がある。


曜日は日曜日・月曜日・火曜日・水曜日・森曜日・風曜日・土曜日の7日で1週間となる。

ただし、これは流一にそう聞こえるだけでこの世界では太陽の日・月の日・火の精霊王の日・水の精霊王の日・森の精霊王の日・風の精霊王の日・土の精霊王の日と言っている。

因みにこの世界では精霊王の上に皇帝である精帝がいるが太陽と月がそれぞれ昼の精帝と夜の精帝を表すらしい。

そして1月1日の日曜日に始まり12月30日の日曜日で終わるが、閏年は12月29日も30日も日曜日になる。

日曜日を特別視するのは、日曜日がもっとも精霊の加護を受けられると信じられているためだ。



1年が365日で閏年まであるのは『始まりの魔法使い』とやらが伝えたらしい。

『始まりの魔法使い』は他にも数字や輪栽農法など魔法以外にも様々なものを伝えたらしいが資料も何も無い状態ではあまり思い出してもらえなかった。


しかし1週間が7日なのは偶然らしい。

元々1年は現代の冬至の翌日に始まり冬至で終わっていたが、これは冬至の翌日を太陽の復活の日、冬至を太陽が再生を迎えた日と考えていたためだ。

そのため曜日も今のように固定されておらず、現代でいう冬至とその翌日および夏至と春分の日と秋分の日が太陽の日、満月の日が月の日それ以外は火・水・森・風・土の精霊王の日を順番に迎えた。

因みに太陽の日と月の日が重なった時は『大いなる精帝の日』としてお祭りが開かれる等特別視されていたらしい。

それを『始まりの魔法使い』の出現により冬至近辺の日から365日に固定すると共に7日で1週間、日曜日に始まり日曜日に終わる暦が定着したそうだ。


国の形態は近隣全て王政で、アメリアとユリアナはそれ以外の政治形態そのものを知らなかった、なのでそれ以外の政治形態の国があるかどうかは分からなかった。


他にも魔物の解体についてはアメリアとユリアナが本を持っていてかなり勉強している、そのお陰で狼の魔物の解体には困らなかった。

もし知らない魔物であっても、本には既存の魔物の大半が書かれているのでそれを見て解体すれば大丈夫だそうだ。


素材の内、魔石は色により黒い低級から赤い高級まで5段階に分かれていて低い方から1級、2級と等級が上がっていく、そして等級により買取額がかなり変動する。


魔石については赤みがかった透明、現代のピンクダイヤのような色合いの最上級というのもあるらしいがこれは現在世界に2つしかなくどこかの国の国宝となっているそうだ。


しかも1つは『始まりの魔法使い』が精帝から貰ったもの、もう一つはドラゴン同士の闘いに偶然遭遇したハンターが負けて死んだドラゴンから取り出した物であり、討伐した魔物から取り出した物は無い。


そのため『赤みがかった透明の魔石を持つ魔物は強すぎて討伐は不可能』が常識となっていた。

もっとも今わかっているのはドラゴンだけなのでヒュドラやワイバーンのような亜竜はともかくドラゴンは討伐不可能というのが常識だそうだ。


そしてこの世界には医者と呼ばれる存在は居ない、病気は薬師か祈祷師が治し、怪我は治癒魔法使いが治すのが一般的だ。

祈祷師について詳しく聞くと、現代と同じでかなり怪しい存在のようだ。

しかし薬師はかなりの知識と調合技術が必要なため数が少ないので小さな村などでは祈祷師に頼るしか無いのが現状のようだ。


ハンターが良く使うポーションは外科的な傷にしか聞かない上、作るのが魔法使いのため薬師の調合薬とは別物と考えられている。

因みに魔力回復のエーテルは薬では無く現在の栄養剤的な扱いだ。


レクスブルクでそれらを思い出し、始めてドラゴンを討伐した冒険者になるぞと(無謀な)希望に胸を膨らませてハンターギルドレクスブルク支部へ向かう流一。

もっとも困った時のヨネ子、いやマーガレット頼みでなんとかなるはずという甘い考えがあるのは否めないのだが。


そして流一がそんな事を考えているとは夢にも思わずに意気揚々と同じくハンターギルドレクスブルク支部に向かうアメリアとユリアナだった。



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