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異世界に飛ばされたらメールだけ現代と繋がった!  作者: ファンタ爺LV999
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135 昇格&叙勲

無事この世界の記念となる絵を手に入れた『デザートイーグル』一行は叙勲式まで王都を満喫していた。

もっとも満喫していたのは王都滞在経験の浅いミランダとシェーラ、それに王都は初めてのマルコとメアリの4人だが。


その間も当然訓練は欠かさない、高い戦闘力を維持する為にも欠かす訳にはいかない。


という事で叙勲式2日前、何時ものように新旧『デザートイーグル』7人でハンターギルドにやって来た、勿論訓練場を借りて訓練する為だ。


普通はハンターが叙勲されると情報掲示板にその事が掲示される、しかしまだ叙勲式が行われていないので掲示もされていない、要するに王都のハンターはまだ『デザートイーグル』の事を知らないのだ。


なのでここ最近ギルドにやって来ては依頼には目もくれず訓練ばかりする『デザートイーグル』はハンター仲間から奇異な目で見られていた、そして変に注目されていた。


今回も受付に訓練場を借りる手続きのため向かう、周りのハンターは「又か」という目で注目している、まあ7人中6人が若い女性という事も注目されている理由の一つなのだろうが。


「すいません、今日も訓練場を借りたいのですが」


「これは『デザートイーグル』のみなさん、本日はギルドマスターがお待ちですのでこちらへお越しください」


そう言って新旧『デザートイーグル』を二階のギルドマスター室へと案内した。

流一達もギルドマスターのランディは知っているので『何かまた面倒ごとじゃ無ければ良いな』などと思いながら着いていった。


「よく来てくれた皆んな、まあ座ってくれ」


ランディに促され全員ソファーに座った、それを確認したランディは直ぐに話し始めた。


「早速だが、先日ギルドマスター評議会が行われてな、今後各ランク2年の経年措置が撤廃される事になった」


「えっ?じゃあ俺たちは直ぐにBランクに上がれるって事ですか?」


流一は驚いて聞いた、もっとも本当に驚くのはこれからだが。


「いや、そうじゃない。お前達はすでにドラゴン討伐の英雄だ。流石にそのお前達をBランクにしておく訳にはいかん。そもそもドラゴンを討伐した時点で能力はSランクだと証明されている。しかしギルドの体面もあって直ぐにSランクにする訳にも行かなかった。そこでだ、旧『デザートイーグル』の5人をAランクに、新人のミランダとシェーラをBランクにする事が決定した。今日はその通知だ」


「「「「「「「ええっ!?」」」」」」」


流石にこの決定には全員驚いた、もうすぐBランクだと楽しみにしていたのがまさかのAランク認定だ、しかもまだハンターになって1ヶ月ほどのミランダとシェーラはいきなりBランクになった、驚かない方がおかしい。


しばし放心状態の新旧『デザートイーグル』に向かってランディは続けた。


「まあそう言う訳だからランク変更の手続きをして行ってくれ。ミルフェ頼んだぞ」


最後はここまで案内してくれた受付嬢に新旧『デザートイーグル』のランク変更手続きを指示した。


受付嬢のミルフェはその場で全員のギルドタグを回収し事務処理の為一階に降りていった、それに続いて流一達も一階に降りていった。


一階で手続きが終わるのを待っていると別のギルド職員が情報掲示板に新たな情報を貼り出した、中身は叙勲の事ではない、新たにAランクハンターとAランクパーティーが生まれた事だ、そう流一達の事だった。


ハンターの最高位はSランクだがそれはほとんどいない、というよりいない期間の方が長い、なので実質のハンターの最高位はAランクとなる。

そのためハンターがAランクに昇進した時やAランクパーティーが生まれた時は大々的に通知するのが慣習となっている、なので流一達も情報掲示板に掲示されたのだ。


その掲示を新旧『デザートイーグル』以外のハンター達が確認に行く、そして口々に「誰だ?」「どんなパーティーだ?」と話し合っている、その中で目端の聞くハンターが流一達に目を付けた。


「おい、このハンターってあいつらじゃねえのか?」


「そう言えばあいつらが二階から降りてきた後貼られたな」


状況証拠は流一達が掲示板にあるハンターとハンターパーティーだと言っている、しかしその見た目は若い男1人と若い女性6人だ、とてもAランクハンターとは思えない、なので全員遠巻きに流一達を見ていた。


結局その答えは直ぐに分かることになった。


「『デザートイーグル』の皆さん、手続きが終わりましたので受け取りに来てください」


ミルフェが大声で流一達を呼んだからだ、これによりハンター達のザワつきがさらに大きくなったが流一達は無視して訓練場に向かった。


しかし今回の訓練は非常にやりにくいものになった、暇なハンターが全員流一達の訓練を見に来たからだ。

ただそれも仕方ないと言える、ほとんどのハンターにとってAランクハンターは憧れであり目標である、そのAランクハンターの訓練などそうそう観れるものでは無いからだ。


とりあえず手を抜く訳にも行かないので普段通りに訓練を終えると流一達は帰っていった、ただその訓練を見ていたハンター達はその実力の違いに驚愕すると同時に納得していた。

ただこれで少なくともこの訓練を見ていたハンター達は流一達に絡む事は無いだろう、これまで何度か絡まれていた『デザートイーグル』にとっては少しだけ面倒ごとが減ったと言う効果はあったようだ。


そしていよいよ叙勲式、王宮には『デザートイーグル』と流一とエレンだけが行く、マルコとメアリは宿で留守番だ。

前回徒歩で来たからかもしれないが今回は王宮から馬車が派遣されてきた、これも普通ではありえない待遇だと思われる。


王宮では控え室に通された、そして叙勲式用の衣装を渡された、流石に式典に何時もの格好では問題があるからだ。

アルバート王国の貴族だけの集まりなら問題無いのだが、叙勲式はエムロード大王国でもリシュリュー王国でも同じだが近隣の大使を招いて行われる。

そのため何時もの衣装では外国の大使にアルバート王国は『デザートイーグル』に軽く見られていると言う印象を与えてしまう、だからこそ衣装を用意していた。


式典用の衣装というものは堅苦しいので着たくないと思ってはいても、王国の立場もわかるので全員「仕方ないかー」という思いで着替えた。


叙勲式ではいつも通り(?)「有難き幸せ」の一言だけで済ませた、ただ前二回と違い今回は全員を代表したのはセリーヌだった、『デザートイーグル』のリーダーとして当然ではあるが。

ただ勲章は3つある、『デザートイーグル』はパーティーに流一とエレンは個人に授与したからだ。

流一とエレンは既に『デザートイーグル』を抜けている上2人でパーティーを組んだりはしていないためにそうなった。

それでも挨拶や答礼をセリーヌだけに任せているのは問題があるのだが、そこは『デザートイーグル』だからで済ませてもらった、『デザートイーグル』という名前がなんだか都合の良い免罪符のように扱われている気がする。


叙勲式の後はお決まりのパーティーだ、今回参加した外国の大使は隣国だけだが、『デザートイーグル』はその全ての国と因縁がある、しかもその全ての国の王族と面識があるのでパーティーではこぞって挨拶に来ていた。

どの国も『デザートイーグル』が叙勲されると聞いて面識のある貴族を派遣して来ていたからという事もあるが。


普通Cランクのハンターでは王族どころか下級貴族にさえ面識を持つ事は難しい、それがアルバート王国を中心に隣国全ての王族と面識があるという事実はミランダとシェーラにとってセラフィムのドラゴンの姿以来の衝撃だったようだ。

2人にとって旧『デザートイーグル』はまだまだ未知の存在のようだ。


それでもミランダとシェーラも流一達と同じように貴族と話せるようになってきた、自分たちも異常になって来たとの自覚が無いまま。


そんな中、コウェンバーグ侯爵に促され嫌々『デザートイーグル』に挨拶に来た貴族がいる、ミランダの兄ベルギウス準男爵だ。


「やあ『デザートイーグル』の皆さん、今日はおめでとう」


「お兄様!あ、ありがとうございます」


「これはご当主様、ありがとうございます」


少しオドオドとした態度での挨拶にミランダは驚いたように返事した、シェーラも恐縮した感じで答えた、もう主人でもなんでも無いのだが。


「あら、この人がミランダのお兄さんなの?」


「ハイ、兄のデイビス=フォン=ベルギウスです」


セリーヌの質問にミランダはヨソヨソしく答えた、実の兄とは言えチョット前まで自分を殺そうとしていた相手なのだ、まだまだわだかまりがあっても仕方ない。


「初めまして。『デザートイーグル』リーダーのセリーヌです。ミランダはもう私たちの大切な仲間ですのでどうかご安心ください」


セリーヌは目が笑っていない笑顔で普通仲間の家族にするのとは少し違う挨拶をした、勿論その真意は『二度とミランダに手を出すな』だ。


それについてはデイビスも理解した、そもそもドラゴンを討伐したパーティーの一員に手を出す勇気があるほど優秀な人間では無い。

雇っていたハンターから聞いて二度と手を出さないとは思っていたが、このセリーヌの言葉でその思いを強くした。


ベルギウス準男爵が『デザートイーグル』の元を離れるとコウェンバーグ侯爵がやって来た。


「儂は兄妹が仲直り出来ぬかと思って行かせたのだが、逆効果だったのう」


「それは仕方無いですね、捕まえるならともかく殺そうとされたらもう関係の修復は無理ですよ」


「まあ、そうかもしれんのう」


コウェンバーグ侯爵の言葉に流一が答えた。


「ところで、お前達に相談があるんじゃが」


「相談?何でしょう」


「この前のセラフィムというドラゴンの事じゃ」


「セラフィムさんがどうかしたんですか?」


「うむ、それなんじゃが。儂は他言するつもりは無いがこの国の貴族として王にだけは報告する義務があるのだ。だからお前達に了承して欲しくてな」


「ああ、なるほど。それはわかります。じゃあ国王様だけなら良いですよ」


「そうかありがとう。では早速行こうか」


「えっ?僕もですか?」


「うむ、本人を呼ぶ訳にはいかんがお前ならこの前書いた絵を持っているだろう?それを見せて説明するのだ」


「それなら説明の間だけ貸しますよ」


「まあそう言うな。悪いようにはせん」


しばらく押問答をしていたが結局流一はコウェンバーグ侯爵と共に国王の所へ行くことになった、今回も流一の『不運』は大活躍だ。


「国王様、少し宜しいですか?」


「おおコウェンバーグ侯爵、何かあったか」


「はい、報告したい事があるのですがここではチョット・・・」


「わかった、では隣の部屋で聞こう」


そう言うとアルバート国王はコウェンバーグ侯爵と流一を連れて隣室に向かった、勿論その3人以外は誰も居ない。


「では報告いたします。実は『デザートイーグル』にはセラフィムと申す上位龍の友がおります。流一殿セラフィム殿の肖像を」


コウェンバーグ侯爵に促され流一は収納からセラフィムの絵を出してアルバート国王に見せた。


「なっ?この絵は確かに上位龍。この絵のドラゴンがお前達の友人だと申すか?」


「はい、そうです」


「ではバハムートの討伐はもしかして」


「いえ、セラフィムさんに弱点は教えて貰いましたが倒したのは今の『デザートイーグル』の5人です」


「そうか、そうだな、このセラフィムとか申すドラゴンがその場にいればベルカンプ達が報告しておるか」


その後は少しセラフィムについて話しをしただけでパーティー会場に戻っていった。

アルバート国王は『デザートイーグル』と敵対しなくて良かったと心の底から思った。


パーティーが終わると『デザートイーグル』は来た時と同じように王宮の馬車で『琥珀の森』まで帰って行った。

王国が用意した衣装は着たままだ、王国としても返されても使いようが無いので貰って欲しいという事だったので、ただ流一達もいちいち着替えて帰るのも面倒だと思っていたのでちょうど良かった。


翌日、王都での用事は全て終わったので朝食を食べると直ぐにコルムステルへと帰って行った。


余談だが、翌日王都のハンターギルドの情報掲示板で『デザートイーグル』の叙勲が発表されると、『デザートイーグル』を一目見ようと多くのハンターが依頼も受けずに『デザートイーグル』が来るのを待っていた、既にコルムステルへの帰路に着いている事も知らずに。



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