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異世界に飛ばされたらメールだけ現代と繋がった!  作者: ファンタ爺LV999
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128 新生『デザートイーグル』誕生

『デザートイーグル』が屋敷を建設し新人の訓練に勤しんでいた頃、元の世界ではヨネ子が流一の帰還に向け準備していた。

平たく言うと「日本に転移して来る可能性は薄いので迎えに行くしかないだろう」と思ったわけだ。


ヨネ子は2015年6月24日に行方不明になった『加藤雷華』と言う名の日本人を調べていた、そして雷華の異世界での行動やノートの記述から『加藤雷華』と言う人間をプロファイリングしていった、そこからノートにあった『帰還の魔法陣を管理させる』と言う記述を元に、元の世界でも帰還先を維持するシステムを作っているはずだと予測した。


雷華なら何処を帰還先に選ぶか?人間の生活圏ではありえない、建造物が建ててあったり大木が植えてあったら帰れなくなるからだ。

だからといってジャングルの奥地や砂漠のど真ん中と言う訳にも行かない、元の世界に帰って来れたとしても遭難しては意味が無いからだ。


しかし雷華が転移させられた西暦2015年に雷華が知っていたと思われる場所で都合のいい場所は思いつかなかった。


なので思考を一段階進める、こちらの世界にも管理者を送っているのではないかと、ただこちらの人間と交流する事が出来る場所では意味がない。

2000年の地球の歴史を考えれば、もしこちらの世界の人間と出会えば管理者が絶滅させられる危険があるからだ。


管理者が生活出来てこちらの人間と交流しない場所、これに当てはまるのはジャングルの奥地だった。

そこから候補地を選定していくと一つの島が思い当たった、インドネシアのフローレス島である。


この島は2015年当時も現在もあまり開発が進んでおらず程よいジャングルが残っている、更にこの島には「フローレス原人の生き残りでは?」と噂されている「エブゴゴ」と言う名のUMAがいる。

オカルトマニアを自称する雷華がこの事を知らないはずは無い、なのでヨネ子はこの「エブゴゴ」が管理者として送り込まれた獣人の末裔ではないかと睨んだのだ。


そして確認のため流一に「獣人」について調査するよう指示した。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



屋敷が完成した翌日、『デザートイーグル』は朝から職人ギルドを訪れて残金の支払いを済ませて屋敷を正式に引き取った。


『デザートイーグル』+αは早速屋敷に帰り家具などを置いていく、家具や食器などは訓練の合間に全員で街に出て購入済みだ、もちろん屋敷が出来上がるまでエレンの収納に入れていた。


部屋割りは5つの居室に5人とも入った、最初シェーラは使用人室を使う予定であったが、シェーラもハンター登録して一緒に行動する事にしたからだ。


『デザートイーグル』は元々流一が魔法使いエレンの護衛を兼ねたパーティー構成だったが、流一とエレンの2人が抜けてミランダがメンバーになるとその護衛役が必要になったのだ。

そこでシェーラをその護衛役に当てるパーティー構成にする事にした、シェーラの短剣術はそれが可能なほど上達していたからだ。


その日はアメリアとユリアナが腕を振るいささやかなお祝いとなった、ただシェーラだけはそのアメリアとユリアナの作る料理を覚えようと必死だった。


数日後、『デザートイーグル』+αはレクスブルクへと出発した、ミランダとシェーラのハンター登録のためだ。

もちろん向かうのは馬でだ、ミランダとシェーラの分はコルムステル郊外の牧場で借りた。


この日に合わせて流一は自分の収納の中身を私物以外全部ミランダに渡した、ミランダも異次元収納が使えるようになっているのだ。

これからはなるべく流一とエレン抜きで行動してもらうようにする、そのためにも必要な事だった。


道中は宿に泊まらず野営にする、野営時の馬の世話や料理など覚える事は多いのでこれも訓練の一環だ。


レクスブルクに到着した『デザートイーグル』+αは最初にハンターギルドに行き試験登録をしてから宿を探した、翌日が日曜日で試験の日なのだ、尤もそうなるように計画して移動していたのだが。


翌日、ミランダとシェーラは試験に、『デザートイーグル』は町の散策に出かけた。

約1ヶ月半付きっ切りで訓練したのだ、ミランダもシェーラも実力的にはBランクでも十分通用するほど強くなっている、なので『デザートイーグル』は2人ともCランク合格を全く疑っていない。

結果、予想通り2人ともCランクで合格してきた。


「Cランク合格おめでとう」


その夜は当然お祝いだ、泊まっている宿屋でいつもより豪華な食事となった。


「それで、メンバーの入れ替えはどうする?」


流一が聞いた。


「拠点をコルムステルにするんだからコルムステルに帰ってからでいいんじゃない?」


「そうね、それでいいと思うわ」


セリーヌとアメリアが答える。


「私たち本当にハンターになったんですね」


ミランダが感慨深げに呟く、シェーラも頷いている。


「そうだ、馬番とメイドはどうする?訓練ばっかりで探してなかったよね」


「あっ!?忘れてたわ」


流一の質問で思い出したセリーヌ、しかし他のメンバーも忘れてたようなので非難される事はない。


「誰かツテはない?」


「あのー、メイドなら1人あります」


声をあげたのはシェーラだった。


「本当?誰?」


「私と一緒にベルギウス準男爵家を辞めたメイドでメアリって言います」


「ああ、メアリね。たしかに彼女なら信用できるし良いかも」


シェーラの言葉にミランダも同意する、どうやらミランダも知っているようだ。


「その子とは直ぐに連絡取れる?」


「ええ、大丈夫だと思います。ただ、ベルギウス準男爵領にいるので・・・」


トラウマと言うほどでは無いが、やはりまだベルギウス準男爵領に近付くのは抵抗があるようだ。


「そんなのは大丈夫よ、じゃあ帰りはベルギウス準男爵領によってメアリを雇ってから帰りましょう」


「わかりました」


セリーヌの決定に少し不安そうな顔をしながら答えた。


「後は馬番ね、そっちは誰かいない?」


「あのー、未経験者でも良いですか?」


またしても声を上げたのはシェーラだった。


「えっ?それはまあ私たちで教えられるから良いけど、誰かいるの?」


「私の弟が13歳でそろそろ仕事を始める年齢なんです」


シェーラは準男爵家の給金で家族の生活を支えていた、それがなくなったので家族の生活を心配していた。

なので元々『デザートイーグル』に雇われた後は弟を引き取るつもりではあった、しかしどうせなら仕事もさせた方がいいだろうと思ったのだ。


「本当?丁度良いじゃない。これで決定ね」


何気に人材が確保出来た、シェーラ、以外に使える女なのかもしれない。


翌日、早速ベルギウス準男爵領に向かった、全員馬なので大した遠回りでも無い。


ベルギウス準男爵領に着くと先ずはシェーラの実家に向かった。


「ただいま、マルコいる?」


「シェーラ!あなた無事だったの?あら、これはミランダ様。こんな所にいて大丈夫なのですか?」


シェーラの実家に帰ると母親が出迎えてくれた、どうやらまだベルギウス準男爵に狙われていると思っているようだ。


「ええ、もうその話しは解決したわ。それより大事な話しがあるの、家に入って良い?」


『デザートイーグル』+αはシェーラの実家に入っていった、そしてこれまでの経緯を説明した。

その後シェーラの弟マルコを馬番として雇いたいと母親に言った。


「本当にマルコを雇ってもらえるの?」


「お母さんとマルコ君が良ければそのつもりです」


セリーヌが答えた。


「この子をよろしくお願いします」


「よろしくお願いします」


母親とマルコが雇われる事を了解した。


話しが終わったので次にメアリを勧誘に行く、シェーラの実家とは別の村だが準男爵領なのでそんなに遠くでも無い、しかも馬移動なので直ぐにメアリの家に着いた。


ここでもやはり心配された、なのでシェーラの実家と同じ説明をしてから勧誘をした。

答えはもちろんイエスだ、ミランダとシェーラの扱いに納得出来ずにメイドを辞めたがその後の就活に苦労していたらしい。


話しも終わったので翌日迎えに来る事にして一旦シェーラの実家に帰った、マルコもメアリも準備期間が一晩しかないが、それはこの世界では普通らしい。


この世界では引越しに大量の荷物を持っていく事は無いので、就職が決まったその日に家を出る事も珍しく無いらしい。


この日はシェーラの実家のある村の側で『デザートイーグル』+ミランダは野営する、シェーラは当然ながら実家に泊まる。


翌日、『デザートイーグル』+αはマルコをシェーラが、メアリをミランダがそれぞれの馬に乗せコルムステルへと帰っていった、2人の荷物はミランダの収納に入れた。


コルムステルの屋敷に着くとメアリとマルコはその屋敷の大きさに驚いた、それも当然かもしれない、何せ2人ともそれまで見た中で最も大きな建物は準男爵の屋敷しかないのだから。


2人の部屋はもちろん使用人部屋、しかしメアリはあまりの広さにここでも驚いた。

準男爵邸でメイドをしていた時は2人部屋だった、それがその部屋より一回り大きい上に1人部屋だったからだ。


その点マルコは実家を出るのが始めてで比べる対象が無いのでメアリほど驚いてはいない。


その後流一とエレンは牧場に馬を返しに行った。


「馬の返却に来ました」


「はい確かに、ありがとうございました」


「ところで、ここは馬の世話の仕方を教えてもらえたりしないんですか?」


「それは・・・牧場長に聞いてみませんとなんとも」


「では聞いてもらえませんか?」


流一がそう言うとすぐに牧場長を呼んでくれた。


「お前さんか、馬の世話を教えて欲しいってのは」


「いえ、今度馬の世話をする人を雇ったんですが、その人に教えて欲しいんです」


「それはここに習いに来るのか?それとも俺たちの方がそっちに行くのか?」


「出来れば来て欲しいと思っています。なんなら何日か泊まり込みでも構いません」


牧場長はしばらく考えた、しばらくは販売も受け入れも予定は入っていない、なので今なら人材に余裕がある。


「良いだろう、1ヶ月なら泊まり込みで教えに行っても良い。ただし、料金は食費宿泊費別で一日300マニだ」


「わかりました、それで良いです。いつから来てもらえますか?」


「早速明日から1人行かせよう」


「では明日商業区から住宅街に入って直ぐの所の新しい屋敷ですので来てもらえますか?宿泊場所は屋敷の中に用意します」


マルコに馬の世話を教えてくれる人材を確保してから屋敷に戻った、そしてその旨をセリーヌ達に伝えた。


宿ではアメリア、ユリアナの2人が早速メアリに料理を教えていた、貴族の屋敷なら料理は料理人を雇うのだろうがあいにくここは貴族の屋敷では無い、その分食事も全員一緒に食堂で食べる。


ここでセリーヌからマルコに明日から馬の世話の仕方を教えてくれる人が来ることが伝えられた。


翌日早朝、馬の世話を教えてくれるという男がやって来た、1ヶ月住み込みと聞いているのだろう割と大きめの荷物を持っている。


「馬の世話を教えに来ましたギルと言います」


「はい、ご苦労様。部屋はこちらです」


セリーヌがギルを使用人部屋に案内した。


「この部屋を自由に使って下さい。1ヶ月よろしくお願いします。荷物を置いたら食堂に来て下さい」


ギルが荷物整理を終え食堂に向かうと全員揃って朝食中だった、そこにギルの席も用意された。


「馬の世話を教えて欲しいのはこの子マルコです」


「マルコです、よろしくお願いします」


セリーヌの紹介の後マルコが挨拶した。


「ギルと言います、1ヶ月ですがよろしくお願いします」


ギルも改めて全員に自己紹介した。


朝食後、ギルとマルコは早速馬小屋の方に向かった、そしてメアリは後片付け、残りは全員ハンターギルドに向かった。


「メンバーの変更をしたいんですが」


朝の喧騒を避けて少し受付に余裕が出来た頃全員で受付に向かった。


「はい、承ります」


「『デザートイーグル』です。流一とエレンをメンバーから抜いてミランダとシェーラを追加して下さい。リーダーもセリーヌに変更して下さい」


そう言って流一がハンタータグを受付に渡した、それに続いてエレン、セリーヌ、ミランダ、シェーラがタグを出した、アメリアとユリアナは変更無しなので出していない。


受付は手際よく手続きを始めた、しばらくして全てのタグの書き換えが終わると受付から渡された。


「さあ、これで新生『デザートイーグル』誕生だね。早速依頼を探してみる?まあもう大した依頼は残って無いと思うけど」


「そうね、見るだけ見てみましょうか」


流一の意見にセリーヌが乗って全員で掲示板に向かった、だが依頼掲示板の前に情報掲示板に目が止まった。


《至急。テレイオースの魔法具屋でドラゴンの素材を提供した者の情報求む》


「これ、俺の事だ」


「あら、本当ですね。何があったんでしょう」


流一の呟きにエレンが応えた。


「至急って事だし、取り敢えず受付に戻ってみる?」


「そうだね、そうしよう」


流一が答えると全員で受付に向かった。


「すいません、情報掲示板の事ですが」


「ああはい、ドラゴンの素材を提供した人をご存知なんですか?」


「はい、僕です」


「えっ?ドラゴンの素材を持っていたのはあなたですか?」


「はいそうです」


「少々お待ちください」


受付嬢は慌てて二階に駆け上がった、多分ギルドマスターに伝えに行ったのだろう。

しばらくして受付嬢が戻って来たかと思うとギルドマスターのところへと連れていかれた、なんとなく面倒なことになったような気がする流一だった。



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