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異世界に飛ばされたらメールだけ現代と繋がった!  作者: ファンタ爺LV999
118/140

118 エルフの郷へ・・・行けるかも

人はよく、他の人の価値観も自分と同じだと勘違いする。

例えば金に執着を持つ者は金で全て解決出来ると思うし、臆病な者は相手を脅せばどうにかなると思うし、正義感の強い者は生まれた時からの悪人なんていないと勝手に決めつける。


それはエルフも同じようで、夕方『デザートイーグル』が食事を済ませてテントを用意すると、見張りのエルフは一旦郷へと戻り出した。

エルフの常識では夜に森の中をうろつくのはタブーなので人間もそうなのだと勝手に思い込んだ、そうであるならば夜は郷に帰って早朝また来ればいいと思ったからだ。


もちろんこれにはエレンが気が付いた、今はエレンだけが索敵魔法を使っていたからだ。


「見張りが帰り出しました」


「あれ?夜は監視しないんだ。じゃあ後をつけようか。誰か1人来て」


「良いわ、私が行く」


手を挙げたのはセリーヌだ、なので流一とセリーヌがエルフの後をつけていく。

索敵魔法の範囲は500メートル、これなら後をつけていても気付かれないだろう、セリーヌはその流一の護衛役である。


流一は氷河でもやったように途中所々に魔石を落としながらついていった、身体強化の応用で夜目が利くとはいえ帰りの方向を見失うわけにはいかないからだ。


追跡する事40分弱、ようやくエルフ達の郷に到着したようだ。

流一とセリーヌがエルフの郷の側まで行くと、そこは索敵魔法では分からなかったが割と頑丈そうな木製の壁が郷を守っていた。

当然ながら見張りがいるので気付かれないようそっと近付いた、索敵魔法の範囲内なら郷の中の様子が少しはわかる。

多分壁は動物避けなのだろう、魔法を妨害する対策が立てられていない、もっとも魔法を妨害する魔法が使えるエルフが居ないからなのかもしれないが。


流一とセリーヌはエルフの郷を確認すると何もせず仲間の元へと帰って行った、途中に落とした魔石は近くの木の根元など見つけにくいところに隠しながら。


「ただいま」


「お帰り、エルフの郷は見つかった?」


「ああ、ここから歩いて40分くらいのところにあった」


「それで、どうする?エルフの郷に乗り込む?」


「いや、歓迎されないと話しもしてもらえないだろうからね。多分エルフはここに何度も来るだろうからその度に声をかけてみよう」


「まっ、そうね、ここまで来て全く話しが聞けませんでしたなんてゴメンだしね」


「じゃあ取り敢えず明日の午前中は何時もの訓練って事で、おやすみ」


翌朝、早朝からエルフの見張りがやって来た、そして『デザートイーグル』が居ない事に驚いた。


「おい、人間共が居ないぞ」


「何?どこに行った?まさか俺たちの郷を探しに行ったのか?」


「だとしたら俺たちと会っていないから見当違いの方向を探しているのか?」


「まあいい、昨日の感じでは帰ったとは思えんからな、その内帰って来るだろう」


実際は亜空間で寝ているだけなのだが。


エルフが監視を始めてしばらくするとやっと『デザートイーグル』が起きて来た、そして亜空間から出て来ると朝食の準備を始めた。


「なっ?あいつらいつの間に?」


「どこから現れた?」


当然監視のエルフは驚いた、しかし監視対象が現れたのでしっかりと気持ちを引き締めた。


「エルフの監視さんもう来てますね」


「本当だ、出て来てくれたら歓迎するのにね」


流一とエレンは平常運転だ。


『デザートイーグル』自体も平常運転、軽く朝食を済ませると朝のティータイム、そして訓練を始める。

訓練メニューはいつも通り、エルフの監視がいるからと手を抜いたり手の内を隠すなんて事はしない。


「なんだあいつらは、全員めちゃくちゃ強えじゃねえか」


エルフの監視は不測の事態に備えられるよう戦士が来ている、だからこそ『デザートイーグル』の強さを肌で感じているのだ。


近接戦闘の訓練が終わると少し休憩して魔法の訓練が始まる。


「今日は森の中なので熊でいきます」


「じゃあ俺は水辺だからワニかな」


2人の宣言の後熊とワニのゴーレムが現れて戦い出す、監視のエルフはこの光景を驚愕では無く恐怖と捉えた。

監視場所から『デザートイーグル』まではかなり距離があるので声が聞こえる事はない、それでも熊とワニとはっきりわかるゴーレムが戦い出したのだ、その造形の完成度と緻密な操作に恐れをなしても仕方ない。


何時もの訓練メニューが終わると休憩、そして昼食の準備を始める。


そうこうしていると、前日と同じように10人ほどのエルフがやって来た、目的はもちろん水汲みだ。

流一はそのエルフ達に声をかける、しかし前日と違い完全スルーされた。

午後はこれまで大森林の移動中に狩った獲物の解体をする事にした、名前も知らない食材動物が大量にあるからだ。


それを見た監視のエルフはもう何度目かわからない驚愕の表情になった。


「なんだあの動物の量は、あれ全部あいつらが狩ったのか?」


「そうだろうな、しかし許せん、あの人数であんなに狩ったらほとんど腐らすだけだぞ。森の恵みを無駄にしやがって」


「たしかにそうだな、やっぱりあいつらも強欲な人間に変わりない」


エルフは『デザートイーグル』の能力、とりわけ今は流一とエレンの収納の性能を知らないので、勝手に勘違いして勝手に怒り出した。

流一達の思いとは逆の結果になりつつある。


索敵魔法を使ってエルフの監視を監視していた流一にもその感情の変化がわかった、敵意のない反応から数秒ほど敵意ある反応に変わったからだ。

しかし原因が獲物の解体にある事は簡単に推測出来たが理由までは分からなかった、自分達にとって普通の行動がエルフにどう見えるかなどわかるはずもないからだ。


夜、エルフの監視はまた郷へと帰って行った、その後に作戦会議を開く。


「明日はエルフの監視を朝食に招待しようと思うんだけどどうかな?」


流一の突然の提案に驚く女性陣。


「どうしたの流一、しばらくは様子見じゃ無かった?」


「それが、昼間獲物の解体をしている時に一瞬敵意を向けられたんだよ」


「えっ?それって監視から?」


「そう、監視から。でも理由がわからないんだよね。このままじゃあどんな事をしたらエルフの好感度が上がるかわからないから少し実力行使をしようかなと」


「その少しが朝食への招待なの?」


「そう、実力行使って言っても戦う訳にはいかないんで。どうかな?」


「いいんじゃないですか?いつまでもここでキャンプするより良いと思います」


エレンが最初に賛成してくれた、他の3人も無駄に時間を過ごすのは好きでは無いので賛成した。


そうと決まれば翌日は少し早めに起きて朝食を作ろうとアメリア、ユリアナは就寝した、しかし流一とエレンとセリーヌは食後のケーキを作る事にした。


先ずはケーキのスポンジを作成、その後セリーヌにコンチング中のチョコレートを1つ出してもらいテンパリングを行う、テンパリングが終わるとエレンにその最後の温度を維持してもらう。

そして流一はケーキのスポンジにテンパリング済みのチョコレートを塗っていった、初のチョコレートケーキの出来上がりだ。

因みに今回は3種類のチョコレートを作っている、前回と同じカカオ70パーセントと60パーセントの外生クリームを混ぜた生チョコレート、もちろんケーキに使ったのは生チョコレートだ。


その後は残り全てのチョコレートをテンパリングして型に流し込んでチョコレート作りは終了、チョコレート用の型もダルーザで購入していた。

最後にチョコレートケーキと型に入れたチョコレートをセリーヌの亜空間に入れて終わり、そこで自然に温度を冷ませば翌朝には完成している予定だ。


翌朝はエルフの監視が来るより早く起き出した、そしてアメリアとユリアナはいつもより多めに朝食を作る。

エルフの監視がやって来るといつものように少し遠くの茂みに隠れて監視を始める、人数はやはり2人。


朝食の準備が終わりに近付くと流一、セリーヌ、エレンの3人はこっそりその場を離れた、監視はアメリアとユリアナの動きを注視していて流一達の動きに気付いていない。


「一緒に食事にしませんか?」


流一がエルフの後ろから声をかけた、驚いた2人のエルフはビクっとなった後振り返る。


「あ、い、いや、俺たちは、その」


うまい言い訳を思い付かないあたり自分達が見つかるとは微塵も思っていなかったのだろう。


「早朝から監視も大変でしょう?どうせなら僕たちの側で監視しませんか?」


「どうしてそう思うんだ?」


エルフとしてはもう隠れていても仕方ない、なので開き直って聞いてきた。


「一昨日からずっと2人1組で監視していたのはわかってましたからね、大変だろうなと思って声をかけました」


これには顔色を変えたりはしなかったがかなり落ち込んだ、エルフとしては監視している事がバレないようにとかなり気を使っていたのだ、それが全く意味が無かったと知れたからだ。

そして諦めた、たしかにバレているなら遠くから隠れて監視するより側にいた方が良い、敵対すれば倒されるのは自分達だというのはわかる、ならば敵の懐に飛び込む事こそ良策だと思えて来たのだ。


「わかった、ご馳走してもらおう」


「なっ、そんな勝手な事・・・」


「お前もわかってるだろう、これ程簡単に背中を取られるんだ、殺すつもりならとっくに殺されてるさ」


2人のエルフは半ば連行されるような感じでテーブルのところまでやって来た。


「じゃあみんなで、いただきます」


流一の音頭で朝食が始まった、招待の仕方は少々強引だったが食事自体は和やかに進んだ。

そして食後に前日作ったチョコレートケーキとチョコレートが出た頃には結構打ち解けていた、そして2人のエルフの名前も教えてもらえた、ファーブルとラテルと言うそうだ。


アメリアとユリアナが紅茶の用意をしている間に流一がチョコレートケーキを切り分ける、普通に8等分したが人数は7人だ。


「流一、残りの1つはどうするの?」


アメリアが聞いてきた、好物の行方はやはり気になる。


「後で双六の賞品にするってのはどう?」


「なるほど、次の勝負は手加減無しって事ね」


アメリアの目がキラリと光る。


「あら?アメリア、今まで手加減していたような口ぶりね」


ユリアナの目もキラリと光った。


「フッフッフ、皆さん、1番勝率が高い人を忘れていませんか?」


エレンも負けずに目を光らせる。


「まあ、双六は運が物を言いますから」


セリーヌはここまで勝率があまり高くないので3人に飲まれてしまった、なので1人だけ目が光らない。

それがわかっている流一は、ある意味不憫だとセリーヌに同情していた。


エルフの2人はこんな事で女性の怖さを知ってしまった、こちらもこちらで不憫だ。


なにはともあれティータイムも終わるとオセロと双六を取り出す、訓練は前日したので今日はお休みだ。


先ずはお客さんファーブルとラテルにオセロを教えた、エルフも娯楽は少ないのか直ぐに気に入ってくれた。

そしてファーブルとラテルがオセロで対戦している間に『デザートイーグル』は双六で対戦する。

別にケーキ争奪戦だからエルフを加えていないわけではない、エルフには双六のマスに何が書いてあるかわからないのでオセロの方だけ教えたのだ。


しばらくその状態が続いていると10人ほどのエルフがやって来た、日課の水汲みに来たのだ。


「おい、お前たち、何をしている」


初日に話しかけて来たリーダー的エルフが監視役のエルフに向かって怒鳴った。

怒鳴られたファーブルとラテルは急いで怒鳴ったエルフの元へと向かった、そして何やら話しをしているが流一達には聞こえない。

聞こうと思えば身体強化を使い聴覚強化で聞けるがそこまではするつもりはない。


しばらくするとリーダー的エルフが全てのエルフを従えて流一達のところにやって来た。


「こいつらが世話になったな、一応礼は言っておく。だがもうこういうことはしないでもらおう」


「だったら監視なんかしないで欲しいんだけど」


「何?ここは俺たちエルフの土地だ、追い出されないだけ有り難く思うべきでは無いのか?」


「エルフの土地だって誰が決めたの?管理する者の居ない土地を自分達の物だと言われても誰も納得しないよ」


流一はエルフのリーダーと口論を始めた、どの道このエルフのリーダーは流一達を追出す事しか考えていないので好感度がどうとか考えなくて良い、口論で言い負かせるのならその方がまだ建設的だ。


しかしその時エルフの背後から強大な魔物の反応が近付いてきた。


「まずい、強い魔物が来る」


「突然何を言っている。ここは魔物領域じゃ無いんだ、魔物が来るわけないだろう」


「え?姿が見えない!」


流一とエレンは驚いた、索敵魔法では確かにエルフの後方30メートルほどのところに強大な魔物の反応がある、しかし肉眼では見えない。

流一達のいる水場は6つの池を中心にして半径50メートルほどは背の低い草しか生えていない、多くの動物もこの場所を水場にしているため背の高い木は動物に踏みしだかれて育たないのだ。

なのでエルフの後方30メートルに何か居れば見えないとおかしい、しかし見えない。


「後ろの方のエルフはこっちに来て、そこは危ない」


流一の必死の説得もエルフには届かない、エルフには索敵魔法の使える者はいないのだろう、一応後ろは振り返ったが肉眼で確認出来ないので信じていない。


「おい、いい加減にしろ!」


そして当然エルフのリーダーは怒る、がその時事件は起こった。


ドガッ


「グワッ」


一番後ろにいたエルフが何者かの攻撃を受けて吹き飛ばされた。


ドガッ


バシャーン


もう1人エルフが吹き飛ばされ池の中に落ちた。


「イ、インビジブルアサシン」


「うわー、インビジブルアサシンが出た、逃げろー」


急にエルフ達が騒ぎ出した、どうやら見えない魔物に覚えがあるようだ。


「ダメだ、そっちに行くな。俺たちの後ろに回るんだ」


流一の叫びも虚しく逃げ出したエルフがまた1人魔物の餌食になった、そこで初めてエルフ達は『デザートイーグル』の後ろに逃げてき出した。


インビジブルアサシンと呼ばれる魔物は二頭いる、しかしその姿が見える者は流一とエレンの2人しかいない、流一とエレンの2人で倒せそうな弱い魔物では無い、しかし見えなければ他のメンバーは戦えない、エルフ達が居なければ確実に逃げ出しているところだ。


そんな時流一の横に霧が立ち込めた、そうセラフィムがやって来たのだ。


「どうやらピンチのようじゃな。エルフどもなど見捨てれば逃げられただろうに」


「そんなかっこ悪い真似は出来ませんよ」


「ならば手を貸してやろう。下位龍とは言えドラゴン二頭ではお前達には荷が重いだろうからの」


「え?インビジブルアサシンって下位龍なんですか?」


「そうじゃ、我らはグラキルと呼んでおるがな」


「僕たちで倒せますかねー」


「一頭なら勝てるじゃろう、お主達にはそれだけの力がある」


「わかりました、じゃあ僕たちは左を倒します」


「うむ、では我は右のグラキルを倒そうかの」


エルフの呼ぶインビジブルアサシンことグラキルは下位龍という事だ、だからこそ魔物領域では無い場所にいるのも納得出来る。


「じゃあ先ずエレンがソーンコントロールでグラキルをグルグル巻きにして、それで魔物の形と大きさがみんなにも見えるはずだから。足止めにもなれば良いけど多分それは無理だと思うから気を付けて。じゃあ戦闘開始」


「「「了解」」」

「ソーンコントロール」


流一の作戦伝達と同時に戦闘が開始された。


セラフィムが現れてから戦闘開始までインビジブルアサシンことグラキルはその場でじっとしていた、セラフィムが上位龍だということがわかっていたので動けなかったのだ。


なので右のグラキルは近付くセラフィムに何も出来ずに怯えて動きを止めていた、そして尻尾を掴まれ仰向けに倒されると手刀で心臓を突かれ簡単に絶命した、下位龍と上位龍の間には超えられない壁があるのだ。


流一達も戦闘に入っている、エレンのソーンコントロールで付近の草がグラキルに絡みつく、その形を頼りにアメリア、ユリアナ、セリーヌが斬りかかる、流一は索敵魔法も駆使して斬りかかる。


ガシッ

ガスッ

ドシュッ

ガスッ


流石に下位龍である、流一達の武器を持ってしても有効な斬撃が与えられない、踏み込みは十分なのだが鱗が硬いのだ。

それでもそれなりに傷を与えられている、何よりユリアナの槍の攻撃がかなり有効だ、本来筋肉に挟まれて抜けなくなる事に対する対策の『潤滑』の魔法陣が硬い鱗を突き刺す事に有効に働いている。


しばらくして、既にソーンコントロールが無くても流れたグラキルの血で形がわかるほどまで傷つけていた、そこでマンモスに使った技を使う事にする。


「みんないったん離れて。エレン、スプライトを」


「「「「了解!」」」」


流一の指示に従いアメリア、ユリアナ、セリーヌの3人がグラキルから離れた、流一は指示をしながら既に離れている。


「スプライト」


ドガガガガーーーーン


流石の下位龍も体内への電撃には抵抗のしようがない、完全に感電して動きが止まった。

流一はそのグラキルに慎重に近付き診断を使った、セラフィムの戦いを見てトドメは心臓を突くのが有効だと考えたからだ。


「トドメだ」


そう叫ぶと流一はグラキルの心臓に日本刀を深々と突き刺した、それと同時にグラキルは生命活動を停止した。


「うむ、見事だった」


「いえいえ、セラフィムさんが来てくれたから倒せたんです、ありがとうございます」


「ところで報酬だがの」


セラフィムは今までと違い報酬を要求してきた。


「はい、珍しいですね。何でも言ってください」


「では1つ余っておるチョコレートケーキとやらをもらおうか、それから全員我とオセロで勝負せい」


「もしかして、そっちが本命で来ました?」


「やはりわかるか?それだけで来るかどうか迷っておったのだがな、運良くグラキルが現れたお陰で堂々と来ることができたわ。わっはっはっは」


報酬を要求してもセラフィムはセラフィムだった。


インビジブルアサシンとセラフィム、『デザートイーグル』の戦闘を見ていたエルフはセラフィムのようには笑えない、ただただ放心状態だった。


「それはそうと、吹き飛ばされたエルフ達は助けなくても良いのか?」


ドラゴン討伐に浮かれていた『デザートイーグル』に向かってセラフィムが言った。


「あっ、そうだった」


流一が我に返った、それを聞いたエルフ達も我に返った、そしてエルフ達は池の中に落ちたエルフの救助に、流一とエレンはそれ以外のエルフの元へそれぞれ駆けつけた。


「ギガヒール」

「ギガヒール」


エレンと流一はそれぞれのエルフを治療した、流一はその後エルフ達の元に駆けつけ池から助け出されたエルフを治療した。


「お、俺は生きてるのか?助かったのか?」

「インビジブルアサシンはどうなった?あの悪魔は」


治療されたエルフは皆少し混乱しているが命に別状は無い。


そしてエルフを代表してリーダーが流一達に礼を述べる。


「ありがとう、インビジブルアサシンに襲われて1人も死人が出なかったのは奇跡だ。それも皆お前達のおかげだ。失礼な態度ばかり取っていたのに我等を助けてくれて、瀕死の仲間の治療までしてくれて本当にありがとう」


リーダーは流一達に心から感謝していた、その気持ちは嘘では無い、しかし同時にその強さを恐れていた、もしエルフの郷の場所を知ったら、今度は自分達に牙を剥くのではないかと。

過去に何があったのかはわからないが、エルフにとって人間とはそれほど信用出来ない存在なのだろう。


「いえいえ、それより治療した3人は流れた血までは増やしてないのでしばらくは安静にしていた方が良いですよ」


「ああ、そうさせよう」


「まあ、エルフの郷までだったら肩を貸す程度で帰れると思いますよ」


流一は何気無く言った、実は重要な事なのにだ。


「なっ!お前達はエルフの郷の場所を知っているのか?」


「あっ」


その質問で初めて流一は自分の失言に気が付いた、そして素直に認めた。


「まあ、知ってます。ここから歩いて40分くらいのところですよね」


これを聞いたリーダーはもう腹をくくるしかなかった、エルフの郷の場所が知られているのならこれ以上拒否すると実力行使されるかもしれないからだ。

自分達が逃げるしかなかったインビジブルアサシンを倒すほどの戦闘力を持った者達が実力行使する、エルフの郷を守る戦士としては悪夢でしかない。


「わかった、我等の郷の場所が知られている以上もうお前達を拒否し続ける訳にも行くまい。一度戻って長老達の許可をもらってくるからここで待っていてくれないか」


「本当ですか。ありがとうございます。よろしくお願いします」


流一達はエルフ達を見送った、そしてグラキルを収納に収めてからセラフィムを交えてのティータイムを楽しんだ。

因みにセラフィムのオセロの腕はエレンと同等だった、流石に強い。


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