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いつか  作者: 夜崎
4/4

4話

「てことがあったんだ」


「そう、大変だったね」


青斗、無茶したら嫌だよ。


「そういえばレポートって何が書いてあったの?」


「それは....」


言えないようなことなのかな。


「あの世界を終わらせるには石を壊す必要がある、だが石はとても硬く壊せないであろう。そして壊せたとしても壊したやつは帰ってこられない、隠蔽は簡単だ」


なっ、そんなことが書いてあったんだ。


あれっ、隠蔽?何か引っかかるけど何か分からない。


「そうだ、青斗は隠蔽のために死んだりしない!?」


「さあな、でも多分大丈夫さ」


青斗はいつもそうだ。何となくで考えてしまっている。


心配だよ、青斗。


「大丈夫だ、祠堂家は俺に手は出せない。安心しろ」


そう言いながら抱いてきた。


なっ、青斗のバカっ。いきなり何すんのさ!


言おうと思ったけど声が出てこない。


「侑希」


「青、斗」


バカバカバカ、青斗の大バカ。大き....らいになれるわけないね。


「ごめんな、侑希」


青斗。


私はほんとに青斗に名前で呼ばれるのが好きだ。青斗と話すのが好きだ。青斗が好きだ。


「さて、そろそろ授業行こうぜ」


青斗がそんなことを言う。時間を確認すると結構経っていた。


「おや、おはようございます八神さんと霧影君」


「おはようございます相沢先生」


「おはようございます」


相沢先生はどこか鏡夜に似ている。


「二人は仲良しですね」


笑顔でそんなことを言ってくる。


「なっ、そんなんじゃありませんよ!」


私は勢いで青斗を突き飛ばしてしまった。


「ってぇな、何すんだよ侑希」


「うるさいっ!」


こんな八つ当たり子供みたい。私ってば情けない。


私は走り出していた。無我夢中で走って気付いたら教室についていた。


「あっ、侑希ちゃん。霧影君は?」


「あ、うんトイレだって」


もちろん嘘だ。今この場で思いついた嘘。


あとで謝らなきゃ。


「ただいま」


青斗も教室に戻ってきた。


私は無意識に俯いてしまった。


「ごめん、青斗」


小さく呟く。誰にも聞こえないように。


「いいさ、侑希」


どうやら私の呟きは青斗に聞こえていたらしい。そして私も青斗の呟きを聞こえていた。


聞こえてないと思ったのに。


「さっさと行こう」


「あっ、うん」


時間の経過を忘れていた。


「青斗も行こ」


「ああ、侑希」


青斗というと青斗も侑希って言ってくれた。二人の時間があったから別に不自然ではないだろう。


「いいな〜、私も青斗君って呼んでいいぃ〜?」


そんな声がちらほら聞こえる。


「ああ、いいよ」


青斗がそう答えた。


青斗のバカ。女の子にちやほやされて天狗になるなんて。


そう歩いているとまた相沢先生に会った。


「おや、また会いましたね」


能面笑顔、相変わらず何考えてるか分かんない。


そう思った直後、先生は真面目な顔になった。


「話があるのであとで八神さんと霧影君は僕のところに来てください」


「はい」


「わかった」


青斗のお役目のことだろうか、それとも祠堂家の、鏡夜のことだろうか。


いろいろ講義が終わり言われた通り私と青斗は相沢先生のとこに向かった。


「来ましたか」


「呼んだのはそっちでしょう」


青斗が即座にそう言う。


先生はははっという風に笑う。


「さて本題です、祠堂鏡夜についてですが」


鏡夜、やっぱり鏡夜のことだったか。


「彼にが命令が下りました」


「それは何だ!」


青斗が珍しく感情的になっている。私は、驚きすぎて一瞬思考停止していた。


「あの世界の後始末、と言えば分かりますか」


あの世界とは多分青斗が止めたあの世界だ。


「何故、鏡夜なんですか」


私は無意識下に聞いていた。


「祠堂家が隠したいからでしょうね」


「どうしてそれを俺らに話した」


「それは、二人に鏡夜君を止めてもらいたいからですよ」


先生の話ではこのままだと鏡夜は如月先生や青斗を殺すことになるらしい。だから鏡夜が人殺しにならないように止めてもらいたいとの事だった。


「相沢先生、話は分かりましたがどうすればいいんですか?」


私にはその方法が分からない。


「鏡夜君に家に刃向かってでも殺したくないと思わせればいいのです」


先生は簡単に言ってくれる。実際は凄く難しいはずだ。


「てかそんな情報どっから」


「ふふっ、相沢の情報舐めないで下さい」


笑顔でそんなことを言うこの人はかなりの悪魔だ。


「これは今まで一緒にいたあなた達にしか頼めないんです」


「分かりました、青斗が死ぬのも鏡夜が人殺しになるのは嫌なので引き受けますよ」


「侑希がそういうなら仕方ない」


「ありがとう、ございます」


いつも余裕そうな相沢先生の顔に安堵の表情が出た。


幼馴染はやっぱり心配か。


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