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キツネさん、テレビを買う

「ポータブルDVDプレイヤーがあれば、どこでもアダルトDVDが見られるということになるのう」

「普通はしませんよ、見られますけど」

「いや、異世界あちらに里帰りする時の土産に持って行こうかと」

「普通はしませんよ、そんなもの土産には。男同士の気が知れた友人ならしないでもないですが」


 阿呆なことを語りつつ次の店を目指す。

 アダルトなプレゼントといえば、前の職場を辞める時に餞別でアナルプレイのハウツー本をプレゼントしてくれた山口君は、今どうしているだろうか。貰ったものの、ろくに目を通さずに袋に入れたまま何年経っただろう。


「というか、土産なら他にも色々と選択肢はあるでしょうに」

「もちろん他にも持って行くつもりじゃがの。ちょっとした悪戯としては面白いかとな」


 山口君もそういうつもりだったのだろうか。当時、彼女がいなかった俺にはどうしようもないものだったが。

 あ。やべえ。キツネさんにハウツー本見つけられたらどうしよう。売っても捨ててもいないはずだから家の中のどっかにあるはずなんだが。キツネさんが居ない時を見計らってなんとかしないと。


「む。次のリサイクルショップはあれかの?」

「え?ああ、あれですね」


 エロゲマニアからのプレゼントをどうしたものか考えつつ歩いているうちに目的の店に着いていたようだ。とりあえず家の不発弾処理は一旦置いておこう。


「さて、タダシ殿の探すテレビはあるかの」

「あって欲しいですけどねー。ここともう一軒回って無かったら、別の手段を考えます」


 あって欲しいと思いつつ、正直もう取り扱ってないんじゃないかとも考えながら二軒目の店に入る。


「ふむ。雰囲気は先ほどの店と同じようなものじゃの」


 大手チェーンではない個人経営っぽいリサイクルショップはどこも場末感というか、「この店潰れやしないだろうか」という気配を感じるのはなんだろう。

 二軒目の店の中もごった煮のように所狭しと様々な商品が並んでいる。一軒目より店内は狭い。


「さて、電化製品はこっちにあるみたいですが……あ」


 入って左手の壁にテレビなどが並ぶ奥に、ブラウン管らしき奥行きのあるテレビが一つぼつりとあるのがすぐに目についた。

 おお、あるとは。テレビ上部に何か内蔵されているタイプのようで、普通のテレビと違い上部の縁が太い。近寄って物を確かめる。

 テレビの下の棚には値段と軽く商品説明が書いてある紙が貼られていて、20000円と書いてある。いまどきただのブラウン管テレビにそんな価値はない。その価値の意味が値段の隣に書いてある。


「スーパーファミコン内蔵テレビ、21型、動作確認済み、コントローラー二つ付き、箱無し取説無し……なんとまあレアなものが」

「タダシ殿、何か珍しいのかの?他のものと比べて随分と大きいし、形も真四角に近い」


 俺の横に追って並んだキツネさんが疑問を投げかけてきた。


「形や大きさは珍しくないです。以前はこういうものが主流だったんですよ。それよりも、これにはゲーム機が内蔵されているのが珍しいんです」

「ほう。ということは、これであれば帰ってすぐにゲームができるのかの?」

「ソフトを買わないとできません。ゲームボーイの後ろに差し込んだようなものが必要です。でも丁度いいので買って行きましょう」


 値段の九割がたは内蔵スーパーファミコン代だろう。構わず即決現金購入。

 店主らしきおっさんに配送するかどうか聞かれる。


「先に持って出ておるぞ」


 もとより外に持ち出したあと自宅へ転送してもらうつもりだったが、現金のやりとりが終わるやいなやキツネさんは即座に片手で担いで外に出てしまった。

 呆然とキツネさんの後ろ姿を見送るおっさんに、配送は結構ですと伝えて足早にキツネさんを追う。店の外に出ると、すでにキツネさんはテレビを転送した後だった。


「うふふん。タダシ殿、次はゲームソフトとやらを買いに行くのじゃろう?どこに行くのじゃ」


 ゲームが楽しみなのか、キツネさんは小躍りしそうなほどご機嫌に尋ねてくる。


「ソフトの他にも他のゲーム機も欲しいので、ブロードウェイに行きましょうか」

「魚が安い店が地下にあるところじゃな。よしよし、ではさっさと行くとしよう」


 そう言うと、人の目につきにくい建物の隙間に入って行く。そこからワープして行くつもりのようだ。

 中野ブロードウェイの地下街には、上層部のオタショップなんて知らんがな、とばかりに食料品店が連なっているが、俺の知らぬ間にキツネさんはその辺も探索していたらしい。

 お馴染みの真っ暗闇色の穴を通ると、そこは中野ブロードウェイ西側の自転車置き場付近に出た。


「ほれ、タダシ殿。早う早う」

「そんなに急がなくても大丈夫ですから」


 遥かに年上のはずのキツネさんが小学生のように俺の手を引っ張りオモチャを買いに行きたがる様子を見て、微笑ましく思いながら建物の中に入って行く。


「どこに売っているのじゃ」

「二階です。そこの階段上がったところですね」

「あの辺りには、何やら胸元をはだけた男の表紙の薄い本がやたらある店があったような。ああ、その向かい辺りに妙な機械が並んでいたところがあったが、あそこか」


 俺の知らぬ間に探索するのは構わないが、薄い本まで知っていたか。説明したくねーな。ゲーム買ったらとっとと帰ろう。

ものの見事になろうコン一次も通りませんでした。

あれか、音楽タイトルやらを実名で使うのがいけないのか。それとも投稿ペースか。登場人物の少なさと冒険成分や何かしらの無双要素がないことか。商業に乗せる気概がこれっぽっちもないことか。

全部か。そうか。

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