表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界のキツネさん  作者: QUB


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/163

キツネさん、住居を改善

 いつもより少し遅めに朝飯を食べに出て、キツネさんがそのまま建物の物陰から新宿へワープするのを見届ける。


「金はしっかり稼がんとの。酒代、飯代、スマホ代、家賃を払った上に遊ぶためには金がかかる。では行って来ます、旦那様」


 柔らかく笑いながら軽く手を振って、キツネさんは黒い穴に消えていった。

 旦那様とか、あなたとか、お館様とか、ダーリンとか、そういった言葉をあえて遣ってくることが最近少し増えてきた。後の方のはどうかと思うが、嬉しくはある。特別に思っていますよ、と言われているのだろうから。

 しかし、スマホ代はすでに十分過ぎるほど預かっている上に、家賃はもともと織り込み済みのものだ。で、ベッドの下のクリアケースにはもう五百万ほど無造作に突っ込まれているのだが、あの人は何を飲み食いして何を遊ぶつもりなのだろうか。


 ちなみに無造作に管理されている諭吉さん達だが、俺の部屋には異世界仕様の結界によって空き巣対策は万全である。

 そもそもなんで結界なんてものを張ったのかと言うと、夜の特訓が近所迷惑になるのではないかとキツネさんに相談したところ、その翌日には音も不審者も防ぐ部屋に仕上げてくれたらしい。大家さんや不動産屋さん、その他悪意のない人は問題ないという不思議セキュリティー。

 理屈はよくわからないが、コンクリートや鉄筋を直接魔力で弄くって、建材の強度は損なわないどころか強固にしつつも普通の人には見えない魔法陣的なものを描いたとか。耐火耐震耐久性が勝手に上げらていて誰も知らぬうちに資産価値が上がっている我が住居です。マンションの出入り口にはなんのセキュリティーもなくてビラ入り放題なのに。

「核の炎に包まれても、この建物内に居れば生き残れる仕上がりになっている自信はある!」とはキツネさん談。核の炎って言葉が出てきたのも漫画の影響なんだろう。聞いたときは、そんなヒャッハーな世界はイヤだ……ああ、キツネさんの得意分野でしたねって納得してしまった。しかしそんな状況はキツネさんがいなければ最終的には食糧難になって、いっそ核でふっとんだ方が楽だろうと考えたのは間違っているでしょうか。


 さて、キツネさんがお仕事(と言っていいのか)に行っているうちに、献上するべきゲームをどうするか考える。

 初代ゲームボーイから徐々に発展して行くなら、発売日は前後するが、次はファミコンを選びたいところだ。でもテレビも本体もソフトも手元にない。ならば、買うか。

 ちょうどいいことに、近くには中野ブロードウェイという日本でも有数のサブカルチャーショップが詰め込まれた施設がある。軽くリサーチに行ってみよう。


 中野ブロードウェイの中野駅から一番近い入り口から入り、ゲームセンターやら喫茶店やら中古パソコンショップやらが立ち居並ぶ横を通り階段を昇る。

 二階からは各種様々なサブカルチャーの古物の品々を取り扱う店が多くなる。漫画はもとより、古い玩具、ポスター、スポーツ選手のサイン入りアイテム、音楽CD。古銭なんかも、ある意味サブカルチャーと言っていいのだろうか。

 そんな中、ゲームの中古品を扱う店を訪れると、店の入り口横には昔懐かしいゲームウォッチやらプレミアのついたゲームソフトなどがショーケースに並んでいる。ざっと確認すると目的のものはそこにはなく、店内に入ってすぐのケースにニューファミコンがいくつか見つかった。テレビに接続するコードが無いものもあるようだ。ふと思い立ちニューファミコンをスマートフォンで検索してみると、新品がやたら高い値段で売られていた。中古は店の値段よりそこそこ安い。でも面倒だし大した差でもないので今ここで買ってしまおうか。

 そしてソフトだ。キツネさんに体験してもらうべきソフトは何か。

 ゲーム未経験者の入り口としてパズルゲームの代表としてテトリスをやってもらったわけだが、ファミコンのパズルゲームと言えばドクターマリオは外せない。マリオと言えばスーパーマリオブラザーズの1と3。2はマニア向けだからスルー。二人プレイで喧嘩に発展しやすいマリオブラザーズの方は……これもある意味外せないか。アイスクライマーでもいいが。次はシューティングだな。昔、うちには何故か頭脳戦艦ガルがあったが、あれはどうだろう。スターソルジャーとかのほうがいいだろうな。そして俺の好きなジャンル、RPGだ。ドラクエを1・2・3と順にプレイして頂きたい。俺は物心ついたときには兄貴が3をやっていたので、順番にプレイしていったときの感動というものを知らない。もしドラクエを気に入ってくれたなら、是非キツネさんにはその感動を知ってもらいたい。

 そんなこんな考えながらソフトを見ているうち、ふと思った。最新マシン買ってデータ販売のものでプレイした方が色々捗るのではないか。再びスマートフォンで検索してみる。どうやら中古ソフトの値段やテレビを探す手間を考えると最新マシン買った方が手っ取り早そうだ。

 でもなあ。初代の赤白ファミコンでなくてニューファミコンであるのは妥協するにしても、古い機械をテレビに繋げてやるのが文化理解としては正しいとも思える。あ、そもそも繋げるテレビどうしよう。昔と違って、今の横に長いテレビにファミコン繋げるとどうなるんだろう。みょーんと広がってしまうのだろうか。わざわざ古いテレビを探さないと行けないのか。

 うーむ。いや。逆に考えよう。テレビを探すために、キツネさんとリサイクルショップを見回るというのも良いのではないか。荷物は買ったすぐあと、キツネさんに転送してもらえばいいわけだし。


 よし。ならば、近辺のリサイクルショップを調べておくとするか。キツネさんが出かけている間に用意しておくと言ったのには反するが、まあ大丈夫だろう。

遅くなっててすいません。

取材の関係で遅れ気味になっています。

まあ取材って言っても、最近ゲームなんて全くしてなかったんでゲームしてただけなんですけど。

活かせるかどうかは不明。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ