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キツネさん、体を洗う

何だか、2ちゃんに晒しもランキングに載りもしなかったのに、前回はブクマの伸びが良かったような気がします。

ラブホテル効果でしょうか。何もしないのに。

 スマートフォンの使い方を説明していたら結構時間が経ってしまっていた。肩枕から膝枕に移行してスマートフォンを弄っているキツネさんに一言断り風呂の様子を見に行くと、お湯がちょうどいいところで止まっていた。

 タマとサキが風呂場を這いずりまわっている。ちょうどいいところでお湯を止めてくれていたらしい。さらには風呂掃除もしていたようだ。自宅じゃないから別にそこまでしなくてもと思ったが、とりあえず感謝だけ伝えてソファー前に戻る。


「風呂の準備は出来てました。キツネさんからどうぞ」

「どうぞと言われても、こちらの風呂の入り方なんぞ分からんのじゃが」

「体を洗って湯に浸かるだけでしょうに」

「儂には使い方の分からんものが色々あったようじゃがの。タダシ殿、教えてはくれんかの?」


 つまりは、一緒に風呂に入らないか、ということだろう。いまいちキツネさんの感性が分からん。抱きつかれたことを恥ずかしがったりしたのに、部屋では下着姿で乗っかって来たり、着替えを手伝わせられたり。

 まあいい。幸か不幸か、浴室はガラス張りになっている。


「分かりました。恥ずかしいですが、洗い方をガラス越しに教えます。よく見ていて下さい」


 そう言い放って逃げるように脱衣所に向かい、タオル一枚腰に巻いた状態になって浴室へ入る。

 ガラスの方を見ると、キツネさんが口元を緩ませながらソファーに座りこちらを見ている。なんだこれ。言った以上にすげえ恥ずかしい。

 凹型の椅子を見て、これの使い方までは教えなくてもいいよなあ、とか考えつつ座る。まずは桶に湯を出し、頭からかぶる。腰のタオルを外し、液体石鹸を泡立たせ、体を洗う。

 ふと横を見るとキツネさんがガラス越しにかぶりつくような位置でこっちを見ていた。なんだこのセクハラ。


「そこまでじっくり見ないでもいいでしょう」

「いやいや、大事なことじゃからの。裸を見るのはお互い様じゃろう」

「見せてとは言った覚えはないですよ」

「よく見ていてください、とは言われたがの」


 言ったけどさ。これどう考えても男女逆だろう。キツネさん相手にそんなことするつもりはないけど。

 ちょうどいいと考え直して、石鹸の説明をする。


「今体を洗うのに使っているのが、このボディーソープって書いてあるやつです。家では石鹸を使ってます。トイレの横に置いてある、手を洗うように使うと言ったやつです」

「ほう、あれか。手だけではないのか」

「ハンドソープって言う手に使う用のものもあったりしますが、うちには置いてないですね。狭いし」


 体を洗い終わったらシャワーヘッドをとって桶に置き、シャンプーのボトルを手に取る。


「次はこれ、髪と頭を洗う用のものです。これを使わないで体用のものを使うと、髪の触り心地が悪くなったりフケが出やすくなったりするので注意して下さい」


 とは言っても、俺の頭はバリカンで刈るだけのとても短い髪しかない。ざっと洗って上からシャワーの栓を開き、目を瞑って泡を落として行く。


「洗ったらこうして泡を落とします」


 返事は聞こえないが、見てれば分かるだろう。

 そう言えば泡で隠れていたが、落としてしまうと股間があらわになってしまう。まあいいか、タオルでまた隠せば。

 シャンプーを流しきって横を見ると、キツネさんが居なくなっていた。どこに行ったのやらと思いつつ、体を流しきり、シャワーを桶に入れてお湯を流しっぱなしにしながらタオルをよくすすぐ。

 硬く絞ったタオルを手に、浴槽に入って入口を向くと、何やら磨りガラス越しに人影が見える。と思ったらガラスのドアが開いた。


「よく見させてもらったからの。次はタダシ殿に見てもらわんとの」


 キツネさんがタオル一枚手にして入って来た。キツネさんフルオープン。俺が呆気にとられているうちに、キツネさんは椅子に座った。

 湯船の中でキツネさんの正面が見えない位置に移動する。


「入って来るなとは言いませんでしたけど」

「なに、構わんじゃろう。あちらでは男女入り混じって風呂に入る所もあったしの」


 江戸時代の銭湯は男女一緒だったってのは何かで読んだことがある。しかし、年頃の女性には男が無闇に近寄らないような空気になっていたとかだったような。


「夫婦になる前に肌を晒すことはないのかの?」

「いやまあ、珍しくはないと思いますけど」


 キツネさんは俺に尋ねながら、俺がしたように体を洗い始める。長い髪と尻尾が揺れる。ああ、そういやキツネさんは狐なんだっけか。頭を見たら耳も元に戻っていた。


「あ、髪の長い人は、髪は体用の石鹸がつかないようにまとめて、体を流した後に洗うようです」

「ふむ。髪が傷むのじゃったかの。タダシ殿の手ぬぐいを借りてもよいか?」

「ええ、まあ」


 髪を後ろ手に一捻りし、俺が使っていたタオルを髪を抑えたままの手と空いた手を上手いこと使って固定するキツネさん。

 白い肌がさらにあらわになり、細いのに女性らしい丸みを帯びた後ろ姿がさらされる。丸く太い尻尾が濡れて小さくなっていた。

 しかし、つい頷いてしまったが、俺の体を隠すものが無くなってしまった。どうしよう。俺フルオープン。さっきからそうだけど。

 どうしようかと湯船に首まで浸かって天井を見つめると、サキかタマかどっちなのか分からないが天井にびろーんと広がっていた。何してんの。

何もしない(裸にならないとは言っていない

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