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キツネさん、恥ずかしがる

 キツネさんが着てみて分かったが、乳房の下をリボンでちょうちょ結びに締めて、そこから下がスケスケの生地で、上はスケスケ生地とレース生地が複合しているようだ。レースの濃さというか、密度、隙間が、乳首から斜め下の体外側に向けて薄くなっている。パンティーもセットにあって、黒く面積少なめにキツネさんの下腹部を覆っている。

 端的に言うと、裸よりエロい。


「何を着ても似合うと思いますが……これはなんと言うか。そちらに姿見の鏡があるので、自分で見てみて下さい」


 一人暮らしする際、姉から貰ったもののほとんど使っていない鏡が一応あるので、それを指し示す。


「厠の前にあったのう。どれ。おお!これはなんとも……助平じゃな!」


 快活に自分の格好を助平と言っている人にどう反応すればいいのだろう。事実なんで、そうですね、としか言いようがない。


「しかし、透ける生地だからじゃろうが、薄く軽く、肌触りも妙に柔らかい。他のブラジャーとやらと形を比べても、歩いて揺れるのを助けるほどしっかり支えるものでもないの。出歩きには使うものではないか」

「そりゃまあ、そうでしょう」

「家で過ごすには楽じゃ。これはこれでよいかの」


 どういう下着であるかは理解しているようだし、俺に見られても構わないんなら、俺も眼福なんで部屋着にするのは別に止めはしませんがね。大事な部分は隠れていても、美人さんの艶姿は大歓迎です。

 大歓迎ですが、百歳オーバーだって考えると、なんともモヤモヤする。祖父祖母より歳上のスケスケである。つい、存命の父方の祖母がこの下着を着てるに等しいのではと想像しそうになってしまった。頭を振る。


「しかし、ばーちゃんより歳上かあ……」

「ぬ、流石に婆呼ばわりはやめて欲しいが、間違ってはいないのう。百歳どころか千歳を越えていたかもしれぬ。呆けているつもりはないが、これだけ長生きすると自分の歳など覚えてなくての」


 千歳とかだと、非現実過ぎて逆にイケる。人外化生で美人とか最高じゃないですか。

 元から色々と人外化生っぽいけど。

 カラカラ笑って自分の頭を軽く叩きながら、キツネさんは元居た俺の前に座る。


「そんなことはしませんよ。というか、千歳越えた人を、年齢的な呼称はどう呼ぶかなんて考えもしませんよ」

「そうさの。まあ歳で言えば婆じゃし、孫もいたからその意味でも婆じゃ。今の身内には大祖様と呼ばれるしの」

「孫?え?たいそさま?」

「うむ。直接の母親は母様やら母上やらまちまちに呼んでいるようじゃが、儂の子孫達にはそう呼ばれるの」


 年齢以上に衝撃を感じた。今朝見た腹部は、妊娠したとは思えない綺麗さだったはずだが。


「子持ちだったんですか」

「一人娘が居ての、儂の長寿と力を継いだようで息災じゃ。孫以降は普通の寿命じゃった」


 普通の寿命だったということは、亡くなっているということか。

 俺は結婚していないし子供もいないが、自分より若い人が死ぬいたましさなら想像出来る。しかし、寿命を迎える事態なんてまるで想像出来ない。


「普通、ですか」

「寿命も生き様もな。多少他の者より術が得意な程度じゃった。それと、儂のような耳を持つ者は娘だけじゃ。狐の血より人の血の方が強いのかの」

「獣人と人との間でも子は出来るんですね」

「当たり前じゃろうに……いや、獣人がおらぬ世なら当たり前ではないのかの」


 遺伝子どうなってんだ。

 虎とライオンの合いの子とかなら聞いたことはある。異世界では人と人以外でも子を成せるのが当たり前なんだろうか。ハーフエルフ的な。つか、獣人ってのがそもそも獣と人との混血なんだろうか。ケモナー大歓喜ですね。


「色々と常識が違うのでしょうね。失礼ですが、キツネさんも子供を一人産んだとは思えないほど綺麗な体型ですし」

「いや、儂は産んではおらぬが」

「え?」

「ぬ?」


 二人同時に頭を傾げる。


「子供が居るのに産んでないって……え?キツネさんの子供なんですよね?」

「そうじゃが。ああ、子を産んだのは他の女子おなごで、儂は孕ませた方じゃ」


 なにいってだこいつ。

 (見た目は)年頃のお嬢さんが「孕ませ」とか言っちゃいけないと思います。


「体を変えられると言ったじゃろう。それで、昨日読んだ漫画のように男のモノを生やしてじゃな。見たいか?」

「いえ、遠慮しときます」


 マジで生やせるのかよ。いわゆるシーメールとかじゃない、女性ベースのファンタジーふたなりとは。イケるかイケないかではイケると思うが、掘られたくはない。

 しかし、獣耳、巫女、不老長寿、ふたなり可、それに百合か。満貫じゃねーか。百合と言っていいのかよく分からんが。つか精子とかどうなってんだよ。


「キツネさんは女の方が好きなんですか」

「そうではないはずなんじゃが……男に惚れたことだってあったしの。ただ同衾したことは未だなくての。女なのに入れたことはあっても入れられたことはないのは、儂も何か間違っているとは思う」


 付け加えて処女かよ。跳満じゃねーか。子供はいるけど処女だから巫女でも大丈夫ってやかましいわ。属性付き過ぎだろう。


「そもそも、なんで生やしてまで女性と子作りすることになったんですか」

「いやあ、その、成り行き?」


 話を流したいなら、そっとしておこう。

 はにかんで狐耳がピコピコ動く様は可愛らしい。

 裸になっても恥ずかしがらず、馴れ初め話で恥ずかしそうにするのも、何かおかしいと思う。

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